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春です!自炊をはじめる人たちを応援してくれる心強いレシピ本

新生活が始まって、自炊を始めた方も多いのではないでしょうか!
2020年にnoteで一人暮らしを応援するレシピ本を紹介しました。今回はひとり分に限定せず、料理をはじめたい人をサポートしてくれる料理本を何冊か、選んでみます。

料理本は自分のごはんのスタイルに合ったものを選ぶと、とても強い味方になってくれます。ということで、タイプ別におすすめ本を選んでみました。

はじめての自炊!どこから始めればいいのか、わからない人のための本


これ、人にもよるのですが、初心者の人はいきなりレシピ本から入るより、ざっくり自炊の全貌をつかんでからスタートすると、スムーズに回せるかなと思います。ということで、最初は「自炊の概要」がわかる本からご紹介しましょう。

〇白央篤司『自炊力』/『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』

料理をやったことが全然ない、本音は外食で済ませたい、けどお金も続かないし自炊するしかない…そんな人には白央さんの自炊本がおすすめです。
コンビニで今日食べるものがうまく買えたらそれは立派な自炊力!そのハードルの低さは、自炊の定義は“健康と経済をある程度満たす食事を自分でなんとかすること”と、非常に幅広くとっているから。

活字を読むのが苦にならない方は、こちらの『自炊力』がおすすめです。レシピ本ではなく、自炊をどうとらえるかという考え方が書かれています。

『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』のほうは、さらにシンプルで具体的。安くておいしくて栄養価のある「たまご」を軸に、たまごの買い方、割り方から教えてくれます。レシピは全てたまご、そこに自炊の考え方が織り込まれていますので応用が効くということです。
めざすのは料理上手ではなく「それなりに食べられる力」を身につけること。そこそこ満足でいい、というゆるさが大きな魅力です。調理道具も持っていない、何から始めればいいのかわからない、そんな人でも安心ですね。

掲載レシピ/たまごかけごはんとアレンジ、目玉焼きとそのアレンジ、たまごサンド、たまご温玉のっけカレー、炒り卵+トマト、キムチ入り落とし卵味噌汁 など

〇山口祐加『ちょっとのコツで、けっこう幸せになれる自炊生活』

料理が苦手だからって、食べることに関心がないわけじゃない。簡単レンジ飯やどんぶりやパスタばかりでお腹をふくらませたくはない。仕事帰りのスーパーでササっと買い物をして(あるいは冷蔵庫の残り物で)ちょっと気の利いた料理がチャチャっと作れるようになりたい。そう思っているなら、この本です。
なんということのない野菜炒めやあえもの、汁ものなど。ほっと安心できる料理をどう作ればいいのか、そのコツを自炊料理家の山口さんがセンス良くわかりやすく教えてくれます。
「缶詰+αで立派なおかずが作れます」「さば干物と塩鮭はベーコンのように使うべし」「煮込まない煮物をマスターしよう」「野菜をとことん食べるならオイル蒸し」など、具体的なアドバイスをしながら目指すところがはっきりしているのが山口さんの本の特長。ハンバーグや唐揚げ、カルボナーラなどの定番料理はなくても豊かな自炊生活。最初に揃えたい道具、調味料の話もしっかり載っています。

掲載レシピ/ごちそう冷や奴、カット野菜の野菜たっぷり豚汁、さば味噌缶となすの炒めもの、豚トマト丼、鶏のおろし煮、小松菜と油揚げのさっと煮など

ラクしておいしく!上手なショートカットを教えてくれる料理本

自炊、がんばっているけどマンネリになっちゃう…もうちょっとバリエーションがほしいけど手間のかかるのは無理。そんな人はこちらの3冊をどうぞ!

〇上田淳子『ラクするご自愛ごはん』

ベテラン料理家の上田さんが最近出された、ひとり暮らしの自炊のための料理本。分量は一人分がメインで、レトルトや冷凍食品、カット野菜。レンジやトースターも徹底活用、はからないレシピ、洗いものは最小限と、初心者には嬉しい内容です。
この手のテーマはSNS系の料理家の独壇場だったわけですが、長年活躍してきた料理家のレシピはさすがの厚み。本一冊を通して緩急があるんですよね。派手あり地味あり、味付けもバリエーション豊富でひとひねりがきいている。それでいて難しさは感じない。すぐ作れておいしそう。

ボリュームあるレシピの中におつまみやヘルシーごはん、ちょっとした野菜や乾物の小さなおかずなんかも盛り込まれていて、これで食生活がずいぶんラクになるのではないかと思えます。上田さんには社会に出たばかりの息子さんがいらっしゃいます。自炊に奮闘する若者への愛を感じた一冊でした。

掲載レシピ/ロコモコ丼、天むす風からあげおにぎり、コロッケサンド、レンジで濃厚カルボナーラ、サッポロ一番マトリックス、ごまさばだれのつけうどん、クロックムッシュ など

〇ごはん同盟 しらいのりこ『ポリ袋でレンチンおかず』

レンジ調理は自炊を始めたばかりの人の強い味方だとはわかっているのですが、どうも水分が飛んだりムラになりがちで、うまくいかないんですよね。このポリ袋レンチンはレンジ調理の本としても画期的だし、自炊の大きな障壁となる「洗い物」を大きく減らす、画期的な一冊です。

レンジの欠点を補えるよう湯せんにしたり、タレと具材を袋に入れて振って味をなじませることでおいしく仕上がるよう工夫されています。かたまり肉のゆで豚や麻婆豆腐のような、初心者が一から作るにはハードルが高い(でも食べたい)料理が気軽に作れるのは強い。

私はこの本の最初に載っているサラダチキンを覚えてから、ゆでたり蒸したりする作り方はやめてしまいました。だって簡単で洗い物も出なくておいしくできるんだもん。

しらいさんの料理はとにかく間違いなくおいしい。そういう信頼感があります。今一番乗っている料理家と言っても良いのでは。こういう攻めの本もうまく作られているなと思います。

※ひとつだけご注意!ポリ袋にはレンジが使えるものと使えないものがあります。レンジ対応のポリ袋も一緒にご紹介しておきますね。

掲載料理/レンチン蒸し鶏、レンチンチャーシュー、えびマヨ、麻婆はるさめ、肉じゃが、タッカルビ、煮込みハンバーグ、ルーローハン、小松菜ナムルなど


〇大庭英子『家の和食はシンプルでいい』

知り合いの料理編集者に「どの料理家さんの料理が一番好きですか?」と聞いたら、間髪入れず「大庭英子さん!」という答えが返ってきました。しかもその場にいたもう一人の料理編集者も首をぶんぶん縦に振って、ねー!と盛り上がっていて。とにかく何を作ってもおいしいというのです。確かに大庭先生のレシピは非常にシンプルで、それでいて味のど真ん中を行く料理が多いんですよね。

中でもこの本は料理初心者の人におすすめで、目次を見ると「煮もの、炒めものは2食材でいいんです」「焼き物は照り焼きとグリル焼きでいいんです」「副菜は野菜ひとつでいいんです」と、いいんですオンパレード。肩の力をいい具合に抜いてくれます。特に、料理に慣れていない人にとって食材2品と限っているのがすごくいいんですよね。レシピを見ると材料も調味料も手順もすごく少なくて、すっと入ってきます。

和食といっても今どき和食で、満足度もばっちり。料理が得意な人も持っていて損はない一冊と感じました。

掲載料理/鶏手羽先とれんこんの酢煮、豚バラ肉と大根のみそ煮、鶏肉のフライパン照り焼き、さんまの七味唐辛子焼き、鶏のから揚げ、ごぼうのきんぴら、ナスのごま煮、まん丸ピーマンとツナの炒め煮 など

がんばって料理を学びたい人のための基礎本

自己流で料理をやってきて、やっぱり基本を覚えたいなという人のための本も紹介しておきます。
料理の基本といっても、肉じゃが、ハンバーグ、サバの味噌煮、ポテサラなどからスタートしていた「昔ながらの基本料理」から、最近では「ありものや、少ない素材で料理を作るための基本」へとだんだん変わってきていて、今はその両方が同居している感じです。

料理は誰でもできる作業の積み重ね、みたいな面もあります。きちんとガイドしてくれるような料理本があったら、どんな難しい料理でも必ずできるようになります。食べたいものを作れるようになるために学ぶ価値は大ありです。ここではタイプ違いでご紹介します。

〇市瀬悦子『これでいいんだ!自炊ごはん』

上で紹介した上田さんの本と雰囲気は似ているものの、市瀬さんのこの本では冷凍食品やレトルトはなし。身近な素材で料理をやりたい人のためのラクうまレシピです。最近の初心者向けレシピ本のお手本のようなイメージですね。道具、調味料、野菜の切り方など自炊の全貌もつかめます。

掲載料理/豚の生姜焼き、豚バラ大根、鶏と緑野菜のフライパン蒸し、トマトチキンカレー、のっけ丼各種など

〇家の光協会編『私のいちばん得意な料理、教えます』

肉じゃが、角煮、ハンバーグ、回鍋肉名前のある料理を作りたい人はこちら。第一線で活躍する料理家6人から、それぞれが最も得意とする料理を教わるという非常に贅沢な内容です。まず写真のおいしそうさが半端ない。

大庭英子さんの和の煮物…肉じゃが、筑前煮、いわしの梅煮など
上田淳子さんのフライパン洋食…ハンバーグ、チキンソテー、真鯛のポワレ、じゃがいもガレット、オムライスなど
ウー・ウェンさんの炒め物…青椒肉絲、黒酢酢豚、えびチリ、青菜炒めなど
市瀬悦子さんの揚げもの…鶏のから揚げ、とんカツ、ポテトコロッケ、天ぷら、五目春巻き、肉団子の甘酢あんなど
サルボ恭子さんの洋の煮込み…ビーフシチュー、チキンクリームシチュー、ビーフストロガノフ、チキンカレーなど
井原裕子さんのサラダとあえもの…ポテトサラダ、キャロットラペ、春雨あサラダ、きゅうりとしらすの三杯酢など

どうです、このラインナップ。このジャンルに含まれない、たとえば和の焼き魚とか餃子なんていうのはバッサリ切られている、という意味では基本を網羅しているわけではないかも。でも、先生ごとにテーマを絞ることでコツもつかみやすくなっているし、間違いのないレシピという意味ではこの上ありません。

基本的に便利な調味料やインスタントに頼る料理ではないため、手を抜きたい人にはお勧めしませんが、ちゃんとやってみたい、そういう人にはどうぞと差し出せる良書です。

自分に合った料理本をみつけよう。

さて、いかがでしたか。世の中に料理の入り口はたくさんあります。簡単にできて手間や時間がかからないレシピ、楽しそうでわくわくするレシピ、きちんと料理を覚えられそうという信頼感があるレシピ。どれを選んでもいいんです。自分のやる気と料理本の掛け合わせがうまくいけば、どれから入っても幸せな自炊生活が送れます。

ここにある本にあまりピンとこない人は、どんな本を探しているか、ぜひ教えてください。私の知っている本でいい本があったらご紹介します。

最後になりましたが、私の『豚汁レボリューション』は、自炊をはじめる人を想定して書きました。豚汁さえあれば、とりあえず毎日のごはんはなんとかなります。豚汁といってもたくさん野菜を刻んだり、大鍋で煮込む必要はありません。50のシンプルでおいしい豚汁が掲載されています。こちらもついでによろしくお願いします♪

あたらしい春、楽しい自炊生活を送りましょう!


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有賀 薫
読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。