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楽においしく作れる「スープの方程式」

スープ作家の有賀薫です。毎日スープを作っています。

「ネタ切れにならないのですか?」とよく聞かれますが、わりと大丈夫です。というのも、スープの方程式をもとに、素材や味付けを決めているから。全く考えないわけではないですが、ある程度の型ができているのです。

スープの方程式は、スマート新書『忙しい現代人のための 手軽でおいしいスープ入門』でも詳しく説明していますし、cakesでも読めます。ここでは、そのスープの方程式をダイジェストで簡単に説明しようと思います。

こちらのシートがひとめでわかりやすいので紹介しますね。4月にやったNサロンで行った実習型ゼミのレジュメです。

表の空欄を埋めるとスープができる

スープの方程式

シートに書いてることをくりかえしますが、スープの方程式の基本は

具材×だし×オイル×調味料

となります。イラストでは2つの例をあげています。

キャベツと豚肉(具材1,2)をサラダオイル(オイル)で軽く炒め、昆布だし(だし)で煮て、みそ(調味料)で味付けすると、豚汁

鶏ガラスープ(だし)に、トマト(具材)を入れて煮て(調味料)を加え、溶いた卵(具材2)でとじて、ごま油(オイル)を香りづけにしたら、トマトと卵の中華風スープ

1具材

具材」は、1種類でも2種類でも、何十種類でもいいのです。料理に慣れない人は、1種類から始めれば迷いません。旬の野菜を複数組み合わせたり、肉や魚、貝、乾物などと組み合わせて無限のレパートリーができます。

副素材として牛乳やチーズなどをサポート役にすることもあります。
また、スープではパンや小麦粉、豆などの炭水化物がよく使われますが、スープがもともとその一皿だけで食事を完結する庶民のものだったからです。

イタリア・トスカーナのリボリータ。塩味のないパンが入るのが特長

2だし

「だし」は、スープの基本です。でも、これはかつおだしやチキンブイヨンなど、そのためにわざわざ作っただしだけではなく、具材から出るだしもだしに含まれます。

うまみの強い肉や野菜、きのこなどを具材として使うときにはだしなしでも、ちゃんとだしは出ていることになります。また、めんつゆなど、だしと調味料が一体化したものもあります。

もちろん顆粒だしでもOK。こだわりはじめるときりがない

3オイル

「オイル」は、食用油。スープの性格づけをします。料理の国籍を決めるのは油だと私は思っていますが、ごま油なら中華や和風、オリーブオイルやバターなら洋風、ココナツオイルを使えばアジア風になります。同じ素材でスープを作っても、味の雰囲気ががらりと変わります。炒めるときに使うケースと、風味づけに使うケースがあります。

サラダオイル、オリーブオイル、ごま油。家庭にそなえておきたい基本の油。これにバターが入ると、かなり幅広いスープが作れる

4調味料

「調味料」は、まずはスープに塩味をつける、塩、しょうゆ、味噌を基本に考えます。塩味は、めんつゆ、漬物、塩昆布、チーズなど、加工食品に含まれる塩分を利用する場合もあります。

さらに、砂糖、酢、胡椒や唐辛子などの香辛料(スパイス)などを使って味を複雑にしていきます。

基本調味料のさしすせそ(砂糖、塩、酢、醤油、味噌)

スープの可能性

この4つの要素を組み合わせていくと、理論上は無限にスープができていくことになります。もちろん合う素材と合わない素材もありますが、こればかりは経験しかありません。私も毎日トライアンドエラーしつつ、作っています。

ワークショップで、定番野菜と、肉や魚介を少し用意して、みなさんに好みのスープを作ってもらいました。同じトマトを使っても、量で味がかわります。組み合わせる肉や魚で変わります。だしをかえたり、味付けを変えるとまた変わってきます。ルールはなく、おいしければOKですし、ほとんどの場合はおいしくなります。

だしがしっかり出ていること(足りなければ顆粒だしを使えばよい)、塩味がある程度ちゃんとついていて、でも濃すぎないこと。このふたつがスープのおいしさの鍵です。慣れないうちは誰かのレシピに頼るとよいと思います。

スープの方程式は、料理にも使えます。料理の場合はだしを意識しないことが多いですが、考え方は全く同じですね。

みなさんもぜひ、自分のオリジナルスープを作ってみてください!




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有賀 薫
読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。