2022.3.19 かつおだしのくず湯、茶道とミニマルライフ
濃いめにとったかつおだしに醤油と塩、酒で味つけをし、濃いめのとろみをつけました。具はなしですり生姜を落とし、あったまるお吸い物です。もう少し味つけととろみを濃くすれば、和食でよく使う銀あんに。やさしいとろみとかつおだしの香り、心休まるひと椀です。
食の仕事をはじめたこともあり、数年前からお茶を習い始めました。まあ、この年齢からです、一向に上達しません。恥の多い50の手習いです。それでも学ぶ意味は大きかったです。
お点前の流れは、動作、しつらえ、道具など、簡素の極み。今どきで言うとミニマルスタイルですね。細かい決まりが多いようで、その一つ一つに理由があり、最小限のリソース(道具や動き)で最大限の成果(お茶の場合は相手をもてなすこと)を上げられるよう、完成された型になっています。自由な遊びも取り込める余白があるから、型を守りつつゴージャスにしていくことも可能です。
いまの日本の食卓は和食からかなり離れていて、洋食、中華、エスニックなど雑多になっているけれど、一汁一菜のように懐石が提案してきた和食の型は、いまだにしっかり残っています。ごはん、味噌汁、香の物という質素な3点だけの食事でも、いい素材で丁寧に作られた、出来立てのものだったら、ご馳走だなあ、贅沢だなあって日本人は感じることができるんですよね。
これは選択と集中、ということでもあります。今日紹介したような、だしに味をつけただけのようなスープは、少しよいかつお節を使ってだしをとるところからやると、頬がゆるむようなおいしさです。こうしたものを、食べさせる相手がどこにいて、どう出すかというところまで考える、それがお茶の心なのかしらと感じます。日本人は商売にもこういうことを取り入れています。
初級者はひとつの動作を意識する癖がつくだけでも進展です。お茶の動作には、茶釜のふたをあけたら少し傾けて待ち水を切る、というきまりが入っています。スープの鍋のふたをぱっととったら、少し傾けて1秒、2秒。ボタボタ水が落ちないのを確認して、動かします。えらそうにお茶の世界を語れるほどではない私でも、なるほどこういうことか、と思うことは多いのです。