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2022.3.5 にんじんとレーズンとバターのスープ、心のエンジンについて

千切りにんじんで作ったスープに、今日はひとつチャレンジを。にんじんと相性が良いと本で読んだ紅茶の香りをほんのりつけてみました。紅茶は遠くで香る程度。こわごわ食べたら、あれ、おいしい。わずかな渋味も良いアクセントです。バターもよかった。にんじんはたっぷりあるとき千切りにして油いためして保存しておくと、スープだけでなくサラダ、野菜いため、付け合わせ、弁当のおかずなど何にでも使えます。便利なのでくり返し紹介。

noteで開催されていた、ヤマハ発動機「#エンジンがかかった瞬間」投稿コンテストの結果が発表されました。私も審査員として多くの作品を読ませてもらいました。その雑感と、人の心に搭載されたエンジンについて。

まずコンテストに関していうと、「エンジンがかかった瞬間」というテーマはなかなか難易度が高かったと思います。原稿の中に「時間の経緯」を描くことが必要だからです。
たとえば「おいしい思い出」というテーマなら、誕生日のケーキを前に嬉しそうな表情をした子供の写真だって投稿できますし、イラストレシピもいい。「春」や「卒業」なども、ほんの小さな一コマをスケッチした短い文章でいけます。こういうのは投稿しやすいですよね。

一方、「エンジンがかかった瞬間」というテーマの場合、エンジンがかかる前、そしてかかった後、この心の変化がきちんと描けないと、まず伝わりません。さらに、そこに感動(あっと驚かせたり、しみじみ共感させるようなもの)を表現する力が必要で、それだけに文章を書き慣れた方の読み応えある作品が残っていました。

最終審査に残った作品はそれぞれ2回から3回ずつ、読ませていただきました。最初読んだときにはそれほどではなくとも、2回目、3回目でじわじわくるものもあります。また、審査員の方々と話をしているうちに、ああ、そういう視点で読むとすごく良いなあと思うものもありました。

前を向く気持ちだったり、たったひと言を発する勇気だったり、自分を縛っていた考え方を切り替えられたその瞬間がエンジンがかかった瞬間ということだとすれば、その原動力と、それがどういう変化を自分にもたらしたのかがよく見えたものが審査員の中でもいいねとなって、入賞しました。

ご存知の通りnoteのコンテストは審査員がお手本を書きますが、たいてい皆さんに負けてしまうんですよね(笑)。今回も人の作品を読んでいるうちに、自分の作品は変化が自分の中で完結しちゃっていたなあと気づかされました。

読んだこちら側のエンジンまであたためるような強い熱量がある作品はどれも、やはり人とのぶつかり合いの中から生まれた葛藤や発見、あるいは人からもらったエネルギーの熱さがあって、それが作品の魅力になっていました。
大賞作品のみぃやさんの『私のおかん』は母と娘のやりとりが描かれいた強い作品でした。また、審査員賞で私が選んだ大海のオタマジャクシ♪さんの『「君はどうする?」と聞かれたときに…』では、エンジンのかかった瞬間そのものは描かれていなくて、でもこの一件でエンジンがかかる人になれたんだなというやりとりが丁寧に書かれていました。

人の心のエンジンっていつかかるかわからないし、どうかかるかも想定できない。それは自分だけではコントロールできない人との関係で、偶発的に起こることを含んでいるからなんですね。

入選されたみなさん、おめでとうございます。


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有賀 薫
読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。