2022.2.20 れんこんとアスパラの味噌汁、キャベツは白菜で代用できますかと聞かれたときの気持ち
れんこんとアスパラの味噌汁。アスパラが一本だけ残っていたので、れんこんと組み合わせて味噌汁にしてみました。れんこんは薄く切ってシャキシャキした食感を残します。白いれんこんと緑のアスパラが爽やかで、ちょっと春を感じさせる味噌汁になりました。れんこんをじゃがいもに変えてもおいしいと思います。
料理家あるあるなのですが、仕事で出したレシピに対して「材料の〇〇は別の何かで代用できますか?」と編集者に聞かれることがあります。
この質問って、レシピを作る人にとって本当はあまりいい気持ちがするものではないんです。料理家もシェフも自分だけのこれ!と思う組み合わせ、時間、調理法を編み出しているからです。
私のスープなどはキャベツとベーコンと塩だけ、みたいなシンプルなスープも多く、しかも時短でなど条件が厳しいため、限られた食材でどう新しさを出そうか試行錯誤するわけです。そうやって出したレシピに対して「キャベツは何かで代用できますか?」と聞かれると、キャベツのスープでキャベツの替わりを聞いてくる人がいることにも驚きますし、そもそもレシピとは…?という根源的な問いを自分に投げかけたくなります。
ただ最近は少し考えが変わってきました。この質問は質問者にとってはかなり重要なものであると思ったからです。
私のレシピを読んで作ってみようと考えた人の家の冷蔵庫には、キャベツではなく消費するべき白菜があるのかもしれません。ベーコンよりもハムが好きな家族がいるのかもしれません。
そもそも「キャベツとベーコンのスープ」と聞いて、それは白菜でもできるかな?ハムでいけるかな?と自己判断する力こそ、料理の力というものではないでしょうか。見ようによっては「白菜しか冷蔵庫にないからキャベツ絶対に買ってこなくちゃ作れない」と疑いなく思う人のほうが生活者としては能力の低い人かもしれない。
料理する人の手助けをするのが料理家であるなら、私としては白菜で作りたいという人がいたとき、それはそれでおいしそうですねという道を探すようにしたほうがいい。これはスープというある程度懐の深い料理だからできるということもあります。
この質問で求められているのはたぶん、正しさよりも共感です。私も自分の家のごはんを作っているとき、それいいねとか、それで大丈夫だよとか、ごはんのことをわかっている誰かに(←これが結構大事)言って欲しいなといつも思っていました。
だから今は、これを聞かれてからが私の領分だと考えるようにしています。その質問を発しているのは私のレシピでスープを実際に作ってみようとしている人たちだから。つまり私がもっともフォローしなくてはならない人々だからです。
キャベツとベーコンのスープの、キャベツを白菜で代用。
白菜とベーコンのスープの、ベーコンをハムで代用。
白菜とハムのスープの、白菜を菜の花で代用。
菜の花とハムのスープの、ハムを油揚げで代用。
菜の花と油揚げのスープの。菜の花をかぶで……
こんな代用食材でしりとりするスープのレシピを作ってみたら面白いかもしれません。案外どれもおいしそうです。