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2022.2.17 塩豚と千切りキャベツのポトフ、人の本も好き

キャベツと塩豚のスープ。豚の塊肉でスープをとって、スープがしっかりできたら千切りキャベツをさっと煮します。ポトフの変形ですね。豚肉は2%の塩と胡椒で、丸一日置きました。1時間ぐらい煮込んでいますが、お肉が柔らかい!それに、スープが染みた千切りキャベツのおいしさといったら。いくらでも食べられます。

今週は、私の大大大好きな樋口直哉さんと、大大大好きな今井真実さんのレシピ本が1日違いで相次いで出ました。
と、いうことでお二人の新刊を紹介。まずは樋口直哉さんの『ぼくのおいしいは3でつくる』。

樋口さんが料理のことで知らないことってないよね?とみなさん思っていませんか?……その通りです。何を聞いてもクリアな答えが返ってきて、まあ、知らないことがないというより、質問するこちらのレベルが低すぎて樋口さんの知らないところに届かない、というのが正しい言い方ですね。

そんな料理の神・樋口さんが装丁家の鈴木成一さんと組んで作った『ぼくのおいしいは3でつくる』。帯まで美しい。紙がすべすべしていて気持ちいい。編集は私の豚汁レボリューションを担当してくれた神吉佳奈子さんです。このタッグで素敵な本ができないわけはありません。

今回の本のテーマは献立。3という数字をキーワードに、前菜、メイン、デザートの3皿で献立を作ろうという提案です。フレンチというわけじゃなくあくまで献立の組み立ての話で、ハンバーグやそぼろ丼、レンジの蒸し魚もこの発想でちゃんと献立化。組み合わせが実においしそうなのです。四角いハンバーグ、わかめと梅干しを使った和風アクアパッツァのように、特別な素材がなくても人を驚かせる料理はできるんですね。構成、配色、盛り付けも3で考えればうまくできる。

「前菜は時間の流れをつくること(ポテチとビールでもいいよ)」「メインはシンプルに食材を打ち出すのが一番」「デザート作りの肝は無理をしない」なんて優しい言葉をかけてくれる樋口さんですが、そんな中にふと「付け合わせを選ぶときは主食材の水分量を意識する」みたいな料理好きを震えさせる一言を挟んだりして、たまらん。

樋口さんの料理は端正で理があって、おいしいです。いつかオンラインイベントでご一緒したときに教わったナスをつなぎにした胡麻あえも収録されていてあれよかったなーと思い出すなど。

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今井真実さんは、この本が初のレシピ本出版というのが信じられないぐらい、今ひっぱりだこの人気料理家。本だって堂々たるものです。

彼女の料理のセンスは卓越していて、組み合わせはもちろん、料理の時間をしっかり楽しめる料理が多いなと感じます。驚くような作り方なのに、作ってみるとすごく納得する、肩の力の抜けた料理が多いんですよね。

肉、魚、野菜、スープ、ごはんもの、オールマイティなのも今井さんの魅力。さらにお子さんがいてリアルに日々の料理をしていて、そんな生活者としての声を届けられるのも強みです。noteの食事日記がとてもいいのですが、本にもほわっとした文章が挟まっていて、スタイリング、写真、デザインなど、今井さんのやさしさ、おおらかさがよく出ているなと思います。ちなみに写真は夫さんの今井裕治さんなんですよ。

私、今井さんのこんにゃくちりちりっていう料理が好きなんです。これを作ってみたとき、ああ、こうやって根気よく素材に火を入れ切るようなしかもこう言っちゃなんだけど地味なレシピって、今のように時短料理全盛の時代になかなか作れないなって思ったんですよね。料理家さんの粘り強さが出ていると感じました。

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私は自分もレシピ本出しているけれど、人のレシピ本も大好きなんです。今やレシピはネットで検索する人が多くなっていますが、やはり料理家のスタイルが表れるのは書籍。面白いものはどんどん紹介したいし売れて欲しいです。

ということで今日は推しの新刊2冊のご紹介でした。さあ、今夜は何にしようかな。


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有賀 薫
読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。