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2022.3.17 ニラとしらすのスープ、コム・ア・ラ・メゾンのこと

しらすをさっと水煮して、刻んだニラを加えたクイックスープ。ほんのりごま油の香りをつけています。ニラは刻んで、煮切った酒と塩、スープの素などで味付けしたものを作りおき。サッと取り出して使えるので便利です。


きのうは、赤坂にあるコム・ア・ラ・メゾンで食事を。スープがスペシャリテの店で、毎年寒くなると出かけます。今シーズンは2回目。外食になかなか行けないので絶対につぶれて欲しくない店を選んで出かけるようになりました。

フランスの西南地方、スペインと隣接したエリアの料理を出す店で、この地方の名物「スープ・ド・ガルビュ」が食べられます。

スープ・ド・ガルビュ

この店の凄さは、シェフのこだわりにあります。コースはなく、アラカルトのメニューもA4の紙1枚に箇条書きで12品ほど。しかもそのメニューは一年を通して変わることがありません。ワインも、この土地のワインのみ。ボルドーやブルゴーニュのワインが飲みたい人が来てはいけない店です。

ほぼ全品、食べてみたことがありますが、パテ、鴨の心臓の串焼き、じゃがいものグラタン、魚のすり身の赤ピーマン詰め…どれもとびきりなのです。とくに私のお気に入りが、ロカマドゥールという山羊のチーズを温めてのせてあるサラダで、レタスなどの葉野菜がナッツのドレッシングにうっすらくるまれていて、そこに温かいチーズが絡んで、毎回感動します。同じものを毎日毎日作り続けているうちにおいしさがにじみ出る、そういうタイプの味なのです。

メインであるスープ・ド・ガルビュは、生ハムの骨でとっただしで、様々な野菜や白いんげん豆をグダグダに煮込んだ田舎風の素朴なスープ。蕪、キャベツ、根セロリなど、様々な野菜が使われています。
一種の郷土料理で、この地域ではガルビュールの大会が毎年行われるそうです。コム・ア・ラ・メゾンではシェフがフランスへ行って買ってきた記念プレートにスープを盛り付けて出してくれます。食べるとお皿の模様が出てくるのが可愛らしく、食べ終わった皿をつい撮りたくなるんです。

食べたことのない人にスープ・ド・ガルビュを説明するなら、ものすごく濃厚な豆のポタージュ、といったところ。豆や野菜、それに生ハムのだしなど、すべてが混然一体となってどろりとしています。スープというよりピューレですね。唐辛子の粉が振ってあり、それがアクセントになって食べ進んでしまいます。
山間の寒い冬を、その土地でとれる野菜やハムの骨などの残り物で煮込んだ熱々の一皿でしのぐ。そんな、生活の中から生まれたスープです。

デザートも特筆すべきもので、ミヤソンという、とうもろこしの粉で作ったプディングみたいなケーキみたいなお菓子があります。コーヒーまで楽しんで、シェフのサービスである焼き立てカヌレが締めに提供されると、ああ食事が終わっちゃったなと少し泣きそうになります。

大事な人、そしてここの味がわかってくれる方をお誘いしたい店です。ぜひ一度、行ってみてください。小ぢんまりした店なので少人数がおすすめです。

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有賀 薫
読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。