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二、〈平均遊具品〉の巻――文章の基本――
この章では、「平明(1)――わかりやすさの秘密」「平明(2)――読む人の側に立つ」「均衡(1)――文章の後ろ姿」「均衡(2)――社会の後ろ姿」「遊び――異質なものとの出あい」については割愛いたします。ご興味のある方は、辰濃さんの本をお読みください。
具体性――細部へのこだわりを
「新聞の記事では『具体的な事実』が命です。」
自分は新聞記事を書くつもりはないよ、という方も、おつきあいください。
毎日新聞の編集委員だった早瀬圭一『過ぎし愛のとき』より。
この文章を評して、辰濃さんは以下のように述べます。
考えさせられる指摘だと思います。小説であっても、具体性・リアリズムの追求は必ず必要になることと思います。
たとえ表された文章は抽象的で観念的なものとなったとしても、その底に具体性・現実性がないものは力を持たないと私は思っています。
これは異論があるでしょうが、私自身はそういう考え方で文章を書きます。
上の文章では「取材」とされていますが「観察」と言いかえてもいいように思われます。
観察と描写の訓練は日頃から(たとえ文章化しなくても)、心がけておきたいところです。
|45|につづく