添削屋「ミサキさん」の考察|46|『文章の書き方』を読んでみた⑯
「品格――ものごとを見つめるゆとり」については割愛します。
三、〈整正新選流〉の巻―表現の工夫―
整える――気をつけたい六つのこと
――文の長さについて
書き出しから句点(。)までがあまりにも長い文は、読みにくいものです。文の長さはどのくらいが適当なのか。これは一概には決められませんし、決めるべきものでも多少長めでも読みやすい文があるし、短くても難解な文があります。
たとえば、野坂昭如『火垂るの墓』の冒頭の文。
「たとえば野坂昭如『火垂るの墓』の冒頭の文は三百字ほど続きますが、一度も句点がない。相当に長い文ですが、決して読みにくくはない。まぎれもなくそれは、野坂独自の文体です。これだけ長い文を書いてしかも読者をあきさせないのは、いわば名人芸です。」
野坂昭如はこの作品を、このような文体でしか書き表せなかったのだと私は思います。できたら、最後まで通読することをおすすめいたします。
さて、一般的には文章は短いほうが良いとされます。
「私は、新聞の短評を書いていたころ、文の長さの目安を平均で三十字から三十五字というところに置いていました。平均というのはあくまで平均です。五十字の文の次は十五字の文にする。むしろでこぼこがあったほうがいい。長い文のあとに短い文を入れる。ある場面では短い文を重ねる。そういう呼吸は、好きな文章を選んで書き写すことで身についてゆくものでしょう。」
私事で恐縮ですが、私も文章を意識的に長めにしたり短めにしたりして動きを出すように心がけています。
文章が単調になるのを防ぐためにも有効だと思われます。
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