添削屋「ミサキさん」の考察|4|「『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた」を読んでみた④
3⃣ワンセンテンス・ワンメッセージ
ここでは、紹介されている「悪い例」「良い例」を見てみましょう。
良い例では、①開始時間②場所③議題 の3要素をそれぞれ別の文におさめています。
これはビジネス文書、というより通知やメールの場合ですよね。
たとえばそれ以外の小説や記事、論文などではここまで細かく割る必要はないと思います。小説などでは特に、単調になって味やリズムが損なわれてしまいます。
ただ、小説の文章であっても、多くは一つの文章でいおうとしていることは一つです。
ここで、|1|で少し触れた、ワープロ(機能)が普及してからよく見かけるようになった妙な文体についてご紹介しておきます。
たとえば、実際に私が体験したことなのですが、新聞の文化欄に寄稿されていた大学教授の文章の中で、何度読んでも意味がとれない箇所があったんです(今その例をご提示できないのが残念です)。
よくよく頭をひねって気がついたのですが、その文章、主語の違う2つの文章が「……だが」というような接続句で1文におさめられてしまっていたんですね。
ワープロの場合、一つの文章の構成を考えないままさっと書けてしまうので、言いたいことが2つ(以上)頭にあるときに、そのままつなげて書いてしまったりしがちなんです。
そういうことを防ぐためにも、「ワンセンテンス・ワンメッセージ」を念頭におくのは有効だと思います。
しかし繰り返しになりますが、小説やエッセイなどの文章の場合は、作家の個性にもなるところなので、難しいですよね。
津村記久子さんの芥川賞受賞作『ポトスライムの船』の一節。
どうでしょうね?
正直に言います。私は好みではないです。うまい文章とは思えないのですが、けれど個性や味を感じる方もいるかもしれませんよね(作品の内容ではなく、あくまで文章・文体について述べています)。
小説などの場合には、文章・文体自体に価値がある(うまく表現しきれないですみません)と思うので、意味の取りづらい文体が一概にまずいとも言いきれません。
ぜひ皆さんもご意見をお聞かせねがえれば幸いです。