添削屋「ミサキさん」の考察|33|『文章の書き方』を読んでみた③
広い円――書くための準備は
池波正太郎の「食べ物」の文章
「広い円」の例がいくつか述べられていくのですが、まずは作家の池波正太郎の文章です。
彼は、欠かさず「食べもの日記」をつけていたそうです。
その”成果”が以下の文章です。
個人的な話になりますが、私は食べることもお料理もあまり好きではありません。で、どうしてもおいしそうな料理や食べ物の描写は苦手です。
でも、たとえば、柚木麻子さんの『BUTTER』などでは、ここまでうまそうな匂いまで漂ってきそうな食べ物、あるいは食べることの描写ができるのかと驚いたものです。
それはともかく、この場合単に「食べもの」とか「食べること」が好きといいだけではやはりこういう描写はできないということですね。
「食べもの日記」という「広い円」あってのこと。
自分も「○○日記」をつけたくなってきました。
宇野千代の、「毎日、書く」
作家の宇野千代は、ある八十過ぎの人形師に言われます。彼は縁側で一日中、ノミを使って木を刻む……。「十六の年から、こうして毎日、木を刻んでましたのや」。
宇野千代はそれを聞いて「そうだ、毎日、書くのだ」と思いそれを実行します。
実際には、書けないときは休んだ方がいい場合もあるかもしれません。けれど、宇野千代はそういう方法ではなく、書けなくても書く、という道を決めて実践しました。
こういうと僭越ですが、私もまったく書けないと思っていても、毎日パソコンの画面を開くようにしています。
いいなと思ったら応援しよう!
Webライター 兼 添削人。あなたのサポートはnoteを運営するうえで有効に活用させていただきます。