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『プロだけが知っている小説の書き方』(森沢明夫著)を読む|4|

STEP1 ネタを考える: Q4 自分の人生を小説のネタに使うのはありですか?  

A 第三者の目を持てればOK
注意すべき点は、「つい感情的になって、つらつらと『心情』ばかりを書き連ねて冗漫になりがちなこと」。
大切なのは、
・「常に、しっかりと第三者の目を持ち続けること。」
・「その第三者の目で、過去の自分を『外側から観察する』こと。」
・「そして、観察した過去の自分の『行動』を中心に書くこと。」
なお、
「慣れるまでは一人称ではなく三人称で書いたほうが、冷静な目で『過去の自分』というキャラクターを観察できると思います。」

納得です。「心情」ではなく「行動」。
読者目線といいますよね。
書き手は己の実存の根幹を書こうという時も、表わして公開する以上、読者を置き去りにしてはいけない。
そう思います。

シリアスなもの、テーマ性のあるものを書く場合でも、第三者の目、突き放す目、「心情」と分離した「観察者」の目を、自分から欠落させてはいけない。

なぜなのか?

相手は自分とは違う人間だから。
そうとしか言えない。
違うことを前提にしなければ、本当の意味のコミュニケーション、心の触れ合いもないでしょうね。

芥川は小説の技巧を放棄して「精神」や「魂」を強調した自然主義文学を批判していますが、そのことも思い起させます。

自分には技巧は不要でしょう?
自分でない他人だから、訴えるための技巧がいるのです。

(以上、断定的に書きましたが私見です。)

|5|につづく



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仁矢田美弥|つなぐ、結ぶ、創る ミモザとビオラ
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