2020 五輪で大活躍!? 最先端光触媒!!
〜 環境都市東京 〜
環境省は 2020 年の五輪運営にあたり、「環境にやさしい五輪」を掲げ、五輪終了後にも目を向
けて「環境都市東京」を打ち出していくとしています。
そんな中、注目されているのが日本発の「光触媒」です!!
〜 触媒とは 〜
「触媒」とは、化学反応が進むのを手伝う物質のことです。
なかなか進まない反応も、触媒があると早く進みます。
光触媒というのは、光が当たると触媒作用を示す物質です。
〜 光触媒の代表 酸化チタン TiO2 〜
光触媒として多く利用されている「酸化チタン TiO2」という物質に注目してみましょう。
酸化チタン TiO2 は、「塗料(白い)」、「歯みがき粉(硬い)」、「ホワイトチョコレート(無害)」、「日焼け止め(紫外線を吸収)」など、様々なものに利用されています。
日本では一人当たり年間2kg(!)の酸化チタン TiO2を消費していると言われています。
今から50年前、この酸化チタン TiO2 に光を照射すると、水が酸素と水素に分解されることを藤 嶋 昭博士(※参照)が発見しました。
〜 酸化チタン TiO2の性質 ① 分解力(酸化力)〜
光触媒としての酸化チタンTiO2について、注目する性質が2つあります。
1つ目が「分解力(酸化力)」です!!
酸化チタンTiO2は光が当たると、強い分解力(酸化力)を示します。
汚れや臭いの原因物質、菌やウイルスを分解します。
(ゴキブリだって分解して二酸化炭素に変えるんですよ!!)
これにより、優れた脱臭作用、抗菌作用があります。
現在改良された光触媒は、蛍光灯の光だけでもウイルスを不活性化させるんです。実際に病院や空港で検証試験が行われ、効果が確認されています。
五輪の際は多くの国からの来日があります。空港などに利用すれば感染症対策として利用できるはずです。
下の実験は、光触媒を使っているタイルと、使っていないタイルに、インクで模様をつけ、紫外線を照射したものです。
光触媒を使ったタイルは、紫外線を照射することで、インクが消えるのがわかります。
開始直後
10秒後
20秒後
30秒後
〜 酸化チタン TiO2の性質 ② 超親水性 〜
そしてもう1つが「超親水性」です。
酸化チタンでコーティングした表面は水に馴染みやすくなります。水をかけると薄い膜になっ
て流れます。
これにより、分解した汚れは流されていくため、「セルフクリーニング効果」があります。
写真は、光触媒を使用しているもの(左)と、していないもの(右)を、2年弱屋外に放置したもの
です。全然違いますよね!
みなさん、東京駅の八重洲口にあるグランルーフ、見たことありますか?
あれ、光触媒が利用されているため、基本的に掃除しなくても、白いままなんですよ。
その他、ミッドダウンや丸ビルなど、屋外で掃除がしにくい場所を中心に利用されています。
なんと、国内だけでなく、世界中(ルーブル美術館、クフ王のピラミッドなど)、そして宇宙(国
際宇宙ステーション)でも利用でされているんですよ!!
また、「打ち水効果」もあるため、真夏に開催される2020五輪では、選手や観客の熱中症対
策、ヒートアイランド現象への対策になるはずです。
実際に、2005年日本国際博覧会で光触媒テントに水をながしているのが涼しいと来場者から高評価だったようです。
〜 2020 五輪 ワクワクは競技だけじゃない! 〜
先日「日本企業の研究開発費のランキングが大きく落ち、研究開発が世界に遅れをとっている」
というニュースがありました。
そんな中で、日本の研究開発の良さや凄さに注目したり、それらを世界に発信できる一つの機会が五輪になるといいなと思います。
2020の五輪。
競技だけでなく、環境の取り組み、そしてその技術についても、日本を応援してみませんか?
〜 総評〜
当初、酸化チタン TiO2が光触媒として作用するには太陽光の紫外線が必要でしたが、現在改良
されたもの(表面に触媒作用を手伝う物質を付着させたり、酸化タングステンという物質を利用)
は、室内の蛍光灯レベルの弱い光でも光触媒の効果が発揮されるようになりました。
しかし、こうして改良され、蛍光灯でも使えるようになった頃には、世の中は蛍光灯から LED
へと移行していたんです。
時々、新しい技術や素材が紹介されると「これは〜〜な点が良くない(例えばコストがかかる)」
といった、否定的な意見も聞きますが、世の中に紹介される頃には、そのような問題点を改善するよう、さらなる研究が進められています。
ほとんどの技術には、優れた点とともに問題点も生じます。
しかし、それをカバーする技術がまた研究され、徐々に完成度の高いものになっていくのです。
全ての技術が同時進行で進歩していくわけではありません。
そうした積み重ねの上に、今の生活やこれからの未来があるのです。
ちなみに、「光触媒ミュージアム」に取材に行った当時(1年半前)、LED でも光触媒効果を示すものができたと聞きました。
これからも、進化し続ける光触媒に期待したいと思います。
※藤 嶋 昭博士(2017 年文化勲章受賞)
光触媒発見当時は大学院生。本多健一助教授の指導のもと実験中に偶然発見。
1972 年 Nature 誌に発表。「本多・藤嶋効果」と言われる。
藤嶋氏の学位審査では「こんな怪しげなことを発表していいのか」という声があったとか。
しかし藤嶋氏は光触媒の可能性を誰よりも強く感じていたため、学生の身で特許を取得。
〜 おまけ 〜
最近、この歳にしてディズニーに行くようになりました。
若かった頃のように、乗り物に乗ってはしゃいだりではなく、夜の幻想的な園内を歩いて、食事をして帰るくらいです。
仕事が行き詰まったときなど、軽い旅行気分でリフレッシュできます。
みなさんもいかかですか?