不登校から脱した息子③ 〜突然の登校〜

家の中からあらゆる娯楽を全て排除した。

それが私たちが結果的に息子の不登校に対して行ったことでした。

勿論、試行錯誤した結果に行ったこと。

息子の3DSを預かり、Wii Uを隠し、テレビのアンテナを抜き、DVDは外し、今までテレビやゲームで家にいる間過ごしていた息子に取って、それは生きるか死ぬかくらい大きな出来事。

暴れました、とても。

私が家にいると、身体は小さいながらにどうしても母親である私にその苛立ちが向かって来てしまう為、暴れる間は私は家にいる事が出来ない。

いつでも、息子の状態はわかる様に見守りながらも父親に対して暴れる事はない為、父親の帰りを待ってから私は家に入る。

幼い頃は我慢する事もなく、欲しいものは何でも手に入り、自分は金持ちで偉いんだとそう思っていた父親に育てられ、また本人もそれを擦り込まされていた。そう育てたのも親だし、それから無理やり矯正しようとしているのも親、本人が一番可哀想なのかも知れない。それはいつも頭にあったこと。

だけど、本人の将来を思うとこのまま何年も同世代の友達や社会からも離れて、不登校に負けたままこの先何か希望を持てることが出来るのか?

この子が自信を持って社会に出る為には、不登校をどうしても乗り越えないといけないと思ってた。

大好きなゲーム達を取り上げられて暴れて過ごす、だけどそれが一通り落ち着いて来るとそろそろどれだけ暴れてもテレビもつけて貰えないんだと言う事がわかってくる。

そして、そこから学校を休んでも家では退屈な時間が増えてくることになる。メディアが何もない。

担任の先生、支援級の先生、そして私たち夫婦で相変わらず話し合いを繰り返す。先生達には夫婦でここまで熱心に学校に通ってくださる親御さんはなかなか居られませんとまだ言って頂いた。

旦那は私たち夫婦が学校に通い先生達と関わっていることを息子にも知ってもらい、自分の周り皆んなが息子を支えていると言うことを息子本人に分かって欲しいという想いを持っていた。

先生達も決して1日も諦めることなく息子に関わり、自宅を訪問し、学校での配慮も最大限にしてくれていた。

元々本を読む事も出来ない息子、家に居てもただぼーっとする事しか出来ず、だけどその周りではいつも息子の為にと先生達も動き回って居る。先生達が近所のお友達にも、登校時に息子を誘ってもらえるように声掛けもしてくれていた。少しずつ、昼から1時間、午後の2時間と、学校に足が向かうことが増えてきた。息子の中で何を感じて何が変わったのか全くわからないのだけど。学年も上がり、毎日迎えに来てくれるお友達のお陰もあって、息子は突然学校を休むことなく毎日登校できる様になった。

あれほどまでに四六時中ゲームやメディア漬けだった息子が、今は決められた数時間の中でゲームを楽しむことが出来ている。

小学校の卒業文集。息子は隠して見せてくれなかったのだけど、息子は自分の不登校の事を文集に書いていた。

そこには本当は学校に行きたかったけど、行けなかったと言うこと、お友達が迎えに来てくれた事が嬉しかったこと、自分もそうして困っているお友達を助けてあげたいと言うこと。

息子は小学生ながらに自分の不登校に向き合うことができ、そしてそれを文書にする事も出来ていた。息子が不登校を乗り越えたことは自分の中で恥ずかしい事ではなく、そうした人たちを助けたいと思ってくれた事が本当に嬉しかった。

全国に不登校や引きこもりのお子様は本当にたくさんおられると思う。

その対応はその人の生まれ育った環境や今置かれている状況、年齢、家族構成、学校でのクラスメイトの対応、先生の対応、本人の性格や生まれ持った障害や精神疾患など、本当に100人100通りの対応があるんだと言うことを、日々Twitterなどを見て感じています。

ウチの子にはこれが良かった!と思う事でもはたから見れば、可哀想で酷いことをしているのかも知れない。

もっと寄り添ってあげていたら、と思う事もあります。

親である私が願うことは、不登校のままでもそうじゃなくてもこの子が社会に出た時に、きちんと食べていけるだけの力を持っていて欲しい。将来に希望を持って欲しい。親達は子供達をいつも心配して想っている事を知っていて欲しい。

私がずっとずっとそばに居てあげられる訳ではない。

歌手である森昌子さんが3人のお子様を育て上げた「母親力」と言う本で、昌子さんの子供達への超スパルタ子育てが一時期話題になりました。私にもそれは衝撃的でした。とにかく約束を守らないとご飯は本当に抜き、門限を破れば家から本気の締め出し、兄弟同士の敬語、などなど、昌子さんの実の母親からもあんたは鬼のような母親だと言われるほどの厳しさ。

流石に行き過ぎではと感じる部分はありますけど、子供達が社会に出てきちんと食べて行けるように育てるのが親の役目だと、本気でぶつかった結果の衝突なども書かれていました。

今思えば、本気でぶつかるのは怖くてどうしても引いてしまう自分が今でも私にはあります。それを全て本気でぶつかっていくのは相当の覚悟が必要なんだと思う。

息子の不登校に対して、旦那はそれなりの覚悟を持って接して居たんだと思う。

今日も息子は部活に出掛けている。 

早朝からの試合や朝練、ほぼ休むこと無く学校に通えている。

学校がつまらない、意味がないからどうでもいいじゃないかと言うことでは無く、自閉症スペクトラムである息子にとって、朝起きて、朝日を浴びる、朝食をしっかり取る。学校で机に向かう。

それが将来働くための、息子の訓練になるんじゃないかって思う。

今は大変かも知れないけど、今息子は嫌なことに立ち向かわずに雪崩の様に生活が崩れてしまったら、それを戻すとかは容易ではないと思う。

頑張れ息子。応援してるよ。

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