老いて開店するとしたらどんな店がいいですか?(藤村公洋)
マイ・フェイバリット・真田広之
「ごせ・・・」あせって手近な缶詰めを差し出し、レジに座ってる天本英世に「5300円です」と言われたときの狼狽した真田広之のセリフである。
ご存知『快盗ルビィ』でのワンシーン。盗みのターゲットである食料品店の爺さんであるところの天本英世。偵察がてら店を訪ねると、オーラたっぷりの店主に「何かお探しかな」と逆に凄まれて手近の商品を差し出すんですね。それがキャビアだったって話なんですが、これが素晴らしいシーンでね。そのあと家でご飯に恐る恐るキャビア乗っけて「うっめ、超うめ、なにこれ」ってかっこむ姿までの一連が真田広之ベストアクトのひとつだと思う。僕が30数年前に1度だけ観たこの作品で唯一覚えてるシーンなのですよ。大好きなキョンキョン観にいったのに彼女のシーンは綺麗さっぱりまったく覚えてないっていうね。さすがはナチュラルボーン映画メシ探偵ですな。
でね、なんでこのシーンを覚えてるかっていうと、年とったらあんな店をやりたいなと憧れたっていうのもあって。天本英世みたいにひと癖ありそうな爺さんになって日がな1日レジに座り、気の弱い若者にキャビアを売りつける(笑)。お客にとっては事故のようなその一件も、見方を変えれば若者に旨いものを通して新たな風景を見せるといったことでもある。ウィンウィンな関係。と言えなくもない。かな。どうだろ。
ホストとゲスト、どちらが気が楽ですか
「座持ちが悪い」という言葉を覚えたのはずいぶん大人になってからだ。
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