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ご質問にお答えします(29)作品にダメ出しをされたときの対応はどうするか

衝撃的な暑さの日々が続きますけれども、皆さまいかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。もはや日光が殺人光線のようですな!
外を出歩く際は、ほんとに気をつけなければならない世界になってまいりましたね。こまめな水分補給、日よけ対策など、皆さま十分お気を付けください。

と、引きこもりが申しております。冷房最高。

さて、今回もご質問をいただいたのでそれにお答えしていこうと思うのですが、29回目にして、初めてプロ作家さんからのご質問をいただきました。その質問がこちら!


今回のご質問

いや、今回はですね、ちょっと切実と言いますか、非常にこう、僕もよく気持ちがわかるご質問でして、できるかぎりきちんとお話しできればなと思います。いや、いつもきちんとお答えはしているのですがね。今回は特に、同業者としてなにか伝わるものがあるといいなと思っております。

モノカキTIPSをご覧の方はアマチュアという立場の方が多いと思いますが、プロ作家の厳しさとかむずかしさみたいなものもわかる内容だと思いますので、新人賞を受賞した先、プロ作家になった先のお話として、とても参考になると思いますし、まだ関係ない、などと思わず、是非最後まで読んでみていただけるといいなと思います。


では、お答えしましょう!



■プロ作家の生存率

さて、いきなり世知辛いお話になりますけれども、まず最初に、作家の現実を直視しなければならないかなと思います。質問者さんには、ちょっと嫌な話になると思いますが、しばしお付き合いください。

毎年、文学新人賞を受賞して作家デビューする人は、おそらく業界全体、純文エンタメラノベも合わせると数百人、エンタメ系だけでも100~200人はいると思います。が、そのデビューした作家を待ち受けるのが、質問者さんも苦心なさっている「二作目の壁」です。

現実として、作家デビューしたプロ作家のうち、だいたい半数の人は二作目を出せずにそのまま業界からフェードアウトしていくのだとよく聞きます。二作目を出すことができた残り半数の作家も、5年後の生き残り率はその半数、さらに10年続く人は、5年生き残った人の中の半数、なんてこともよく言われますね。

僕も、2012年新人賞受賞、2013年にデビュー作刊行なので、ようやく10年を超え、中堅と呼ばれるくらいのキャリアになったところですが、大したヒット作もないのに、よくぞまあここまでやってこられたなと思います。僕が受賞した「小説すばる新人賞」は、業界内でも受賞者の生き残り率が高いので有名な賞ではあるのですが、それでもやっぱり、二作目、三作目がずっと出ないな、みたいなかたもいらっしゃいますね。僕も、ここまでやってこれたのは運の助けみたいなもんもあると思います。

作家の置かれている状況というのは年々厳しくなっておりまして、僕がデビューしてからのたった10年の間でさえ、文芸誌が次々廃刊して原稿料収入が激減し、新人が入り込める場所がなくなってしまいました。紙や印刷代の高騰を受けて平均的な初版部数も減り続け、単行本は年々売れなくなり、重版ラインも厳しく設定されるようになり、と、作家が経済的に生き残っていくのも大変な状況になっています。「書けない」という壁にぶつかって筆を折る人が一定数いる一方で、経済的に厳しい、という理由で業界を離れていく人もいます。

もちろん、ベストセラー一発で人生大逆転が可能なお仕事ではありますが、そのベストセラーの絶対数が減り続けていますし、デビュー後にその一発を当てられるまで書き続けることができるか、というところが、昨今の作家の勝負どころになってきているわけですね。
デビュー作がいきなりばーんと行く人も、ほんとに一握りですし。

出版社も、近年出版不況で書籍の売り上げが減っていますので、ひとりひとりの作家にかけられる予算というのが限られたものになってきています。編集者一人が抱える作家の数もどんどん増えていますね。なので、昔に比べると、作家を一から育てていくということに、時間的、物理的に手が回らなくなってきているのではないかなと思います。

そういう事情もあって、質問者さんのように、新人賞を受賞した新人作家さんも、編集者と密に関係を作っていくのが難しくなって、うまく育ててもらえずに苦戦する、といったことが起きているように思います。

■僕の場合

で、今回、質問者さんの質問が我が事のようにぶっ刺さっているのは、僕も、デビューから三年、本が出せなかったからです。ほぼ、質問者さんと同じような経験をしていて、他人事には思えないのですね。

僕は、デビュー作が初めて完成することができた長編で、もともと作家になるという目標があったわけでもなく、知人友人に勧められるまま賞に応募して、それがぬるっと受賞してしまい、あれよあれよという間に業界に飛び込んだタイプの人間ですけれども、質問者さんと同じように、僕もその当時はまだまだ小説を書く技術も知識もテクニックもなくて、二作目を書くなんて無理もいいとこだったのです。

質問者さんと唯一違うところは、デビュー後についた編集さんはどちらかというと放任主義で、プロットなどはあまり作ることを求めずに、書きたいものを書きたいように書いて、書けたら見せてくださいね、というタイプだったことですね。が、書きたいことを書く能力が僕になかったので、読んでもらうとこまで全然行かなかったのです。3年も。

新人賞受賞後は、業界内には「デビュー版元で2作目、3作目を出す」という暗黙の了解みたいなものがありまして、そのデビュー版元と作っていた作品が刊行されないと、他社さんの編集さんも企画をなかなか持ってこられず、僕も3年間、他の出版社のお仕事ができずに停滞してしまったわけです。二作目が出たら一緒にやりましょうと言ってくださった編集さんもいらっしゃったのに、お待たせしている間に連絡が途切れてしまい、不義理をしてしまった(後日謝罪の機会はありました)なあと思います。

で、3年経って、版元内の部署異動で僕の担当編集さんが変わってしまい、新しい担当編集さんとの間で、「この企画は一回全ボツにして新しい企画を最初からやりましょう」と仕切り直しになったことで、別版元からの二作目刊行も許容してもらえることになり、その当時、二作目が出たらウチで本を出しましょうと言ってくれていた他社の編集さんとの企画が進められることになったのが状況を打開するきっかけになりました。

その他社編集さんは、僕の尻をめちゃくちゃぶったいて書かせるスタンスの人で、企画を進めると決まってからは、締め切りもガチガチに決められましたし、書け書けとものすごい圧をかけられました。編集さんによってスタイルも千差万別ですね。
ちょうどその頃、体をぶっ壊した僕は会社を辞めて専業になっていたのですが、その編集さんから、自宅に大量のユンケルとレトルト食材が送られてくるとかありましたね。もう専業なんだし家から出ねえで寝ずに書け、というメッセージなわけですよ。実力が足りないので書けないです、などとも言えず、毎日ほぼ寝ずにひたすら書き続けてなんとか長編を一作仕上げ、それを刊行することで、二作目の壁を三年目にして乗り越えた、という経緯があります。

あ、もちろん感謝してますよ、その編集さんには。
それくらいしないと、二作目を書けないまま終わっていたと思いますので。


二作目ってね、僕は、やっぱり難しいと思います。
元々アマチュアでの執筆経験が長くて、ストックがいっぱいあって、それらをブラッシュアップしていけるくらい経験値のある状態でデビューした作家さんはいいんですけど、そうじゃない作家も、ポテンシャル採用的に新人賞を受賞することがあるので、そういう人間にとっては二作目ってほんとに壁だなと思います。

僕は、二作目を書いている最中は、これはマジで終わりが見えない、絶対書けないこんなの、とずっと思っていました。面白いのかな、とか、これは小説として形になってるのかな、とか。でも、10年以上経った今もそう思いながら書いているので、きっとこれは一生続くことですね。二作目の壁を越えたら三作目の壁、四作目、五作目の壁を越えても、六作目、七作目、と、永遠に壁は続いていくのです。その壁の乗り越え方を覚えるとか、壁にぶつかるのに慣れてくるとか、そういうのが経験値ですよね。目の前から壁がなくなるわけではないですね。


■ボツはみんな食らう

新人作家は、デビュー時点から完成度の高い作品を書ける人でもない限り、ボツは食らいます。質問者さんも自分の経験をもとにしたプロットになかなかOKがでないということで、自分を全否定されているかのような気持ちになっている、ということですが、とりあえず、ボツは結構みんな食らうものです、というのは一つ理解しておきましょう。

僕の知り合いに、今や押しも押されもせぬ売れっ子の作家さんがおられますが、その方も、新人時代は1500枚くらいの分量を書いて、全ボツ食らった、とおっしゃっておりました。長編4作分をボツられるとかメンタルぶっ壊れそうですが、僕も700枚書いた長編一本全ボツにされましたし(その後、書き直して他社で刊行しましたが)、短編も何度もボツられております。

一度などは、編集者さんから実にさわやかに「全然面白くないですね!」とはっきり言われてボツられたこともありますので、まあ、どんな作家も、新人の頃はそういう洗礼を受けるものです。

その頃は僕も、ボツ、って言われたら、対応とか何もできなかったですねえ。そうですか、ボツですかあ、って、全部呑み込むしかなくて。自分が否定されたような感じというのはよく覚えていますし、それが続くと自信を失い、書く意欲がなくなってしまったり、迷路にはまり込んだりする気持ちもよくわかります。

でも、今思えばですが、ボツを食らった作品って、自分でも書きたいことを書き切れてなかったな、まとめ切れていないな、と思うのです。で、同じ時期に書いた作品でも、OKをもらった作品というのは、今でもいい作品と言ってくれる人がいます。なので、ボツを食らうものは、ボツを食らうだけの理由があるのだろうとは思うんですよね。

基本的に、作家が憎くてボツにする編集というのはいなくて(稀にいるかもしれないけれども)、質問者さんの担当編集さんも、おそらくは「この作家ならもっとできる」という期待があるんだろうと思います。ただ、作家のポテンシャルを引き出して、その作家が素晴らしい小説を書けるよう導いていく能力というのは編集さんによってピンキリなので、編集さんの言うことに全のっかり、というのもあまりいいことではないように思います。

なので、ボツは受けるにしても、だからといって作家としての才能を全否定されているわけではない、というのはわかっておいた方がいいですね。実感は難しいとは思いますが、頭では理解しておくとよいと思います。

■書くのはあくまで作家


今回、質問者さんはプロット段階で結構ダメ出しを食らっていて、なかなか前に進めない状態のようですが、アイデア云々の部分は置いておいて、プロットを書くこと自体はメモ書きくらいのものでもいいですし、そこまで時間がかかるものでもないと思いますので、余った時間をどう使うか、というのが大事かなと思います。

そういう時は、もう、とにかく何でもいいので、小説を書いたほうがいいと思いますね。発表する予定がなくても、ボツられたプロットベースでも、とりあえず書いてみる、というのがいいのかなと思います。

新人作家にとって、編集さんというのは最初に出会う業界の人で、いろいろ学ぶことも多いとは思うのですが、とはいえ、小説を書くということを実際にやるのは小説家、作家の仕事ですから、作家自身が書こうと思って書いたものがすべてなのです。それで、書いたものをボツられたら、それはそれ。ダメなら次、と、とにかく、今は一発のクオリティより書く字数枚数を増やしたほうがいい結果につながると思います。

僕も、長編が全然書けない三年の間、短編小説はいくつか書かせてもらっていて、それがあったから、少しずつ成長していたんだろうと思います。でも、プロット書いて、ダメ出しを受けて、またプロットなおして、という生活だと、前に進みようがないですよね。それだけになっちゃうとね。

作家は、エンドマークを打つ、つまり物語を一つ完成させるごとに、一段ずつ階段を上って成長していくものです。なので、質問者さんに今必要なのは、とにかくたくさんの物語を作り、最後まで書き切って、「作品を作り上げた」という経験をどんどん積み上げていくことだと思います。

モノカキTIPSでも、掌編小説をとにかく量産することをお勧めしています。記事はアマチュアの方向けですが、そもそも僕が掌編小説をたくさん書いたのはデビュー後で、明らかにこれを経験した後から作品をうまく組み立てていけるようになった実感がありますので、駆け出しの新人作家さんにもおすすめです。

その頃に書いた掌編作品がこちらですね。ご参考にどうぞ。


物語を完成させていけば行くほど、モノカキとして見えてくるものというのは増えていくと思いますので、プロットの立て方や見せ方も少しずつ進歩していくと思います。停滞しているときこそ、とにかく歯を食いしばって書くことです。

もし、質問者さんが今もプロットとは別に小説の執筆は続けているのであれば、それはそのまま、自分を信じて続けていきましょう。必ず前進していますのでね。で、出来上がった作品を編集さんにも見てもらいましょう。そこから、停滞している二作目の打開策と言うのがお互い見えてくるかもしれませんね。

■そのほか、雑多なアドバイス

ここからは、僕個人の考えなので、他の作家さんは違うことを言うかもしれませんし、参考程度に読んでみていただけるといいかなと思います。

(1)キレていい

質問者さんは、ボツになった時に編集さんに自分の意見を伝えている、でもそれの言い方が悪いと言われてしまう、ということですけれども、どういう議論になっているかがわからないのですが、僕は、ボツられた時はとりあえずキレていいと思うんですよ。なにが悪いんですか、きっちり説明してください、と食い下がっていいと思います。私は、これこれこういう意図をもってやってるんです、とか、私の意図を理解していないだけじゃないですか、とか、とにかくゴリゴリに口答えしてもいいです。自分の人生の時間を削りながら、必死でプロットを立てているわけですからね。ボツだ、なんて言われたら、怒りが湧いてこないほうが嘘なわけです。

ただ、単に意地を張るのではなく、その中で編集さんが答えることに関しては、きっちり咀嚼しましょう、ということです。殴り合い理論ではないですが、バチバチにやり合ったほうがお互いを理解できるようになったりします。置きにいった会話では、なかなか相互理解は進まないことが多いですし、なんの抵抗もせずにボツられるままだと、自分が納得できないと思うんですよ。なので、せめてもの抵抗はしましょう。

で、家に帰って、「あいつなんなんだ!むかつく!ハゲろ!」とか、声に出して罵っていいと思います。そういう怒りの表出が、ボツられたというショックを跳ね返し、見てろ、面白いっていわせてやるからな、という反骨心となって、書こうという原動力にもなります。もちろん、性格にもよるとは思いますけれども。

(2)見ている世界の違いに気をつける

これは、僕が10年やってきて、実感として強く持った考え方なのですけれども、作家などのアーティストやクリエイターになる人と、それ以外の人とでは、同じ話をしていても、見ている世界がまるで違うんだろうなと思います。

アーティスト脳、クリエイター脳があれば、会話をしているうちに同じ脳内世界を共有できたりするのですが、そういうクリエイター業を生業としている人ではない(誤解を恐れずに言うと)一般の人だと、それがまるで通じないことがあります。そういう人は、実際に書かれた原稿、映像、作品、というのを見てはじめて、クリエイターが見ている、想像している世界というのを理解するものです。編集さんも、自分でも創作をするタイプの人は別ですが、多くは、経験で作家と話が合わせられているだけで、話をしているときに頭に浮かんでいるものというのは全然違うと思うのです。

これは、非クリエイター職の人をバカにしているというわけではなく、明らかに思考回路の違いがあるんだろうと思うのです。僕も、他分野のアーティストさんが言っている言葉の意味を測りかねたりすることがありますし、絶対音感を持つ音楽家が耳で聞いている世界ですとか、数学者が数式を通して見ている世界なんてさっぱり共感できませんので、同じように、小説を書く人と読むだけの人とでは、見ている世界が違うわけです。

なので、編集さんと会話するときに、同じものを見ていると思っていると、どんどん話がずれていくことがあります。自分の意図が相手に伝わってないな、と思ったら、実際の原稿を見せた方がよいのです。そういう意味もあって、前述のとおり、ボツられたプロットでも書いちゃったほうがいい、ということにつながっていきます。

僕は、編集さんがプロットを見てぴんときてなさそうだな、と思った時は、冒頭50枚とか100枚とかを実際に書いて、それを見せてから話を進めるようにしています。装丁のイメージが伝わってないな、というときは(へたくそでも)絵を描きますし、帯のコピー案とか、文庫のあらすじの案も実際に書いて出したりします。じゃないと、ほんとに全然こちらの意図が伝わってないことがあるんですよ。これは、意識しておいた方が今後もよいと思いますね。

(3)読者の存在を忘れないで

小説というのは、読んでくれる人がいて初めて成立するものです。たぶん、質問者さんもそれはわかっていると思うんですけれども、ボツられすぎると、それをちょっと忘れがちになったりしないかな、と思うので、老婆心ながらお伝えしておきますね。

質問者さんが書く小説は、誰のためにあるのかと言えば、それは読者のためにあります。おそらくは、質問者さんのデビュー作を読んで、二作目を楽しみにしている読者さんもいると思います。なかなか、作家の視界にそういう人の存在って入ってこないんですけど、必ず、そういう読者はいるのです。

何回もボツを食らっていると、編集者さんのOKをもらうためにはどうすればいいか、という思考になってきて、無意識に、自分の書くものを編集者の気に入りそうなもの、と、編集者個人の趣味に寄せに行ったりしてしまうことがあります。でも、そういう作品は作家が書きたいものと違いますし、誰かの言うことにそのまま乗っかって置きに行ってしまっているので、いまいちパッションも魅力も伝わらず、どんどんドツボにハマっていくんですよね。

編集者さんというのは、自分の作品の一番最初の読者になることが多いですから、その人に媚びる作品ではなく、その人を楽しませる作品を書こうという意識が必要じゃないかなと思います。そして、編集者さんの向こう側に、顔の見えないたくさんの読者がいることを忘れないでほしいのです。

プロットを立てるときに、一番先に考えなければいけないのは、どういう話を作ったら読者さんが楽しんでくれるか、というこですので、ベクトルを編集者に向けるのではなく、その向こうの読者に向けましょう。質問者さんの作品を待っている人は、必ずいますので。


■結論


僕も、デビューしてから3年間、二作目を出せずにあえいだ時期がありまして、質問者さんのお話は我が事のように胸に刺さります。ボツを出し続けられると、自信を失い、何のために小説を書こうとしているのか、というのを忘れがちになりますが、小説というのは作家が自分の責任で書くものですから、編集者が何を言おうとも、自分が書きたいものを書くべきだとは思います。編集者の言葉は占いみたいなものと思って、良い意見だけは取り入れて、意にそぐわない部分はこそっと無視をしましょう。自分が絶対こうだ、と思う部分は、キレてもいいのでしっかり主張します。感情は表に出していいと思います。
そして、苦しい時こそ、小説を、お話を書き続けましょう。書いた文字数、打ったエンドマークの数だけ、質問者さんは作家として前に進んでいくのです。その先に、質問者さんの作品を待っている読者がいます。

今現在、壁にぶち当たっている質問者さんには精神論に聞こえるかもしれませんが、二作目の壁というのは必ず越えられます。なぜなら、壁を越えられる実力がある人じゃないと、書籍を刊行して作家デビューするところまで到達できないからです。
ポテンシャルも、能力も、質問者さんにはきっとあります。あと必要なのは、二作目の壁を越えようという意志の力だと思います。これがボツられると弱まってしまうので、今一度、自分で振り絞る必要があります。

質問者さんには、なにか光るものがあって才能を見出され、一作目を刊行し、商業作家という今の場所にいるわけです。自分を信じて、壁に向かいましょう。ボツも上等、ボツられたら、何度でも立ち向かえばいいのです。編集者さんも、3年間も質問者さんを見放さずに対峙しているわけですから、期待もあり、この人と作品を作りたいという想いもあると思います。

作家は、書くことでしか前に進めません。なので、書きましょう。なんでもいいから、お話を作り続けましょう。その先に、きっと二作目という結果があり、作家としての道があるのだと思います。



ということで、今回はいつもと毛色が違うモノカキTIPSになりましたけれども、なんとか質問者さんには頑張っていただいて、次の作品、そして次の作品と、よい物語を残していってほしいと思います。
二作目が出たら、こっそり教えていただけると嬉しいですね。
絶対買って読みますからね。

僕が何とか出版できた二作目はこちらでございます。



ではまた次回。





小説家。2012年「名も無き世界のエンドロール」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。仙台出身。ちくちくと小説を書いております。■お仕事のご依頼などこちら→ loudspirits-offer@yahoo.co.jp