ギリシャ2週間<クレタ島を去る前に>
クレタ島を去る前の4日間ほどのクレタ・ラブ満開のお話。
クレタ島で不動産探し
クレタ島には長期滞在してみたかった。ヨガのリトリートとか、田舎で物件を購入してギリシャのゴールデンビザを取得しようとか考えていた。ヨガのリトリートなら1- 2週間だけど、条件を満たす不動産を購入したらもっと長期滞在できる。クレタの田舎でノマド生活なんて素敵な夢だ。
ゴールデンビザはヨーロッパでもほかの地域の国々でも実施している制度で、一定額の不動産を所持していたら長期滞在できるというもの。いろんな国で採用しているこの制度、賛否両論で、外国人の不動産購入による価格高騰が地元民にとって問題となっている。スペインなどは今年からこの制度を廃止している。ギリシャでも同様の問題で、都市部ではゴールデンビザ申請に必要な所有不動産の最低価格がすでに上げられている。さらに今年になって都市部以外(クレタ島も含む)でも、所有不動産の最低額がこれまでの2倍になった。ただし、12月までに購入手続き全て完了する場合ならこれまでの価格でも受け入れるという条件があったため、もしかしてと思ってクレタ島に来たのだ。実際に見てみないと諦めがつかない。
とにかく物件を見てみることにした。ウェブサイトに掲載されている数多くの物件から絞り込んで、不動産屋に連絡を取り、一件だけ気に入ったものがあったので内見することにした。都市部より田舎のほうが価格もお手頃なので、かなり小さい町の物件だけど新しい建物。写真では白亜の美しい外観と内装。海も近い。ただし、そこに行くまでにレンタカーをしないといけないような田舎にある。だから静かな環境なのだが。
この写真のようにギリシャらしい白い家の彼方に海の見える素敵な物件。周囲は見渡す限りのオリーブ畑。ぼんやりとクレタの海を眺めながら過ごすには最適。行った日はやや曇りで風が強かったためか、肌寒く海はグレー。ここには10軒くらいのユニットが建設されていて、オーナーはすべて外国人。主に北欧の人たち。オーナーが住んでいないときはレンタルの手配等、手数料を払うとすべてエージェントがやってくれて家具付きアパートとして貸し出すことができ、ちょっとした収入源にもなる。
行ってみると、写真からはわからない周囲の雰囲気も感じ取れる。クレタ島の田舎は寂しい。そこに立ってみると感じる。歓迎されてないような。。。環境破壊はしていないだろうし、島の経済の活性化にはなるだろうけど。しかし周りにアジア人はいない。田舎じゃ英語もあまりわかる人はいない。ギリシャ語わかるパートナーがいたら状況は違うだろうけど、日本人の私一人じゃ、なんかちょっと違うような。どうもそこに自分がオーナーとして住むとは思えない。1ヶ月ぐらいの滞在なら楽しいかもだけど。やはり、ゴールデンビザで長期滞在というのは自分には向かないな。クレタの田舎でのノマド生活は素敵すぎる夢だった。
それで納得して、せっかくレンタカーしたのだからその日の午後はドライブを楽しむことにした。
レティムノ
少し足を伸ばして、イラクリオンとハニアの中間ぐらいにあるレティムノという町まで行ってみた。ここも古代から栄えてきた都市で、古い建物が現存していて、考古学博物館やクレタ大学もある。4月だったためか昼間でもビーチにはまだ人影は少なかったけど、夏になったらここもバカンスの人たちで賑わうのだろうな、今は混んでなくていい感じ。
レンタカー
物件を見に行くためにハニアで車を借りた。レンタカーにはマニュアルシフトの車がたくさんあって、オートマより格安。マニュアルカーなんて最近見たことないし、マニュアル運転は自信ないので、日産のオートマ車Nissan Micra(日本では日産マーチらしい)をレンタルしたのだけど、あちこちに小さな傷がある。一応最初に全部写真を撮っておいた。8ヵ所もあった。返却するとき、レンタルオフィスの前の交通量の多い道に停めて返却することになっていて、でも路上に停車する場所がなくて、こんな所に停めていいのかと不安になりながらもなんとか返却した。汗。暗くなる前に早めに戻ってきてよかったと痛感。
やっぱり知らない土地で一人でレンタカーしてドライブするのは、結構緊張する。道が狭かったり、一通が多かったりする旧市街があるような古い街並みだと特に。なので、クレタ島でのレンタカー経験はビビる経験だったけど、無事に事故もなく終わってご苦労様と自分に言い聞かせた。ちょっと大袈裟か、たった1日の話だけど。
アフリカからの風
毎日風が強い。4月に訪れたクレタ島にはアフリカからの暖かくて強い風が吹いていた。イタリアではアフリカからの風をシロッコというが、クレタ島でも同じ名前で呼ばれているのかどうかわからない。特に風が強かった日の翌日、ホテルのシャワーを浴びているとほんの微量だけど赤い砂がシャワーの水に混じって出てきた。最初は何かわからなくて、鉄サビかとも思ったけど、綺麗な赤い砂粒。きっとサハラ砂漠の赤い砂なのだろう。遠い異国に来たことを感じるエピソードだった。
ハニアのバスターミナルであせる
イラクリオンからハニアに来た道と同じ路線をバスで戻り、イラクリオンからアテネに戻る前の2泊をイラクリオンのAirbnbで過ごす予定にしていた。ハニアのバスターミナルまではホテルから歩く。ターミナルでぼんやり時間をつぶしていたら、そうだトイレに行っておこうと思い立つ、ところがトイレは工事中で使えない。お土産売り場の店員さんにトイレがないか尋ねると、外の従業員用のを使えという。そちらに回ると女の人が入っている、しかも電話中。長電話。待っても待っても出てこない。ギリシャの女性は話好き。イラクリオンまで3時間近くあるからやっぱりトイレいっといた方が。周りをスキャンしてみると、小さなホテルがある。そこに駆け込んでトイレを使わせてもらい、そのホテルのカフェでエスプレッソ買ってバスターミナルに戻る。バスが何台も来ていてどのバスがイラクリオン行きなのかわからない。従業員らしい人にきくと71とか数字を言ってくれたが、その数字がバスのどこにも見当たらない。普通フロントガラスに「XX行き」とかって表示されたりしてるからと思ってフロントガラスを見ても、どのバスにも何の表示もない。焦っていると、なんとその数字はバスのナンバープレートの最後の二桁だった。そんなクイズのような!
それで乗車するバスがわかって、さっそく乗車して一番前の座席に座る。座った途端に気づいたのが忘れ物!さっき行ったホテルのトイレにお土産なんかを入れていた袋を置いてきたのだ。もう発車時刻5分前。うわーっと慌てて、車掌さんには3分で戻ると言って走った。お土産袋はちゃんと置いた場所にそのままあって、走って戻って発車に間に合った。
そんなこんなで、ハニアを去る朝はあせりまくって疲労困憊したが、道中の風景に癒されてイラクリオンに着く頃にはすっかり気分を取り戻した。
Airbnbでだらける
イラクリオンには予定通りの時刻に到着した。
イラクリオンの港を通過してバスターミナルに到着。そこからは住宅街にあるAirbnbまでタクシーで行く。狭い一通の道でタクシーを降りるとき、支払いにモタモタしていると後ろの車がクラクションを鳴らす、運転手さんも苛立つ。これはロサンゼルスと変わりないじゃないの。
Airbnbのオーナーの女性ハロウラさんは英語が堪能で助かった。彼女は3階建のビルのオーナーで、1階がネイルサロン、2階が私の泊まったワンベットルームのAirbnb、3階が彼女の家になっている。屋上もあってイラクリオンの町が一望できる。娘さんがアメリカにいて歌手を目指しているという。私がチェックアウトする日には、彼女はハイキングに行くから会えないわね、なんて楽しそうに。なんだかとっても裕福でハッピーな人のお家に泊めてもらって、ほっこりした。
向かいには小さなマーケットがあって、フレンドリーなおじさんが「何が欲しい?」って聞いてくれるし、テイクアウトのカプチーノを入れてくれる。
キッチンもあるのでハムと卵とミニトマトを朝食用に買う。
とりあえず、すぐ食べられるものを買って、部屋でくつろぐ。なかなか広い空間でゆったりと過ごせる。
帰る前日はここに籠り切ってNetflixでひたすら映画を見た。2週間の旅の疲れを癒すことができた。1日籠ることってときには必要。
帰る朝、空港まではタクシー。Airbnbのハロウラさんが前日に手配してくれた。助かる。
イラクリオンの空港では、クノッソス宮殿で見た壁画のミノア人もお別れに来てくれている。
ブタリワインの「ブルーレディーズ」もお見送りに来てくれている。
ゼウスの生まれたイディ山も、最後に雲の上に顔を出してくれた。
クレタ島では古代文明を堪能させてもらった。ビーチで泳いだりハイキングやヨットで大自然を楽しんだりというアクティビティはしなかったけど、自分なりにクレタ島を存分に楽しめたと思う。
オリーブ、オリーブオイル、ヒツジとヤギのチーズやヨーグルト、魚介類にワイン。健康と長寿の秘訣とされている地中海式ダイエットは元々はクレタ島の食事を指していたらしい。今回の旅でそれらの食材の一部を楽しませてもらった。
また来るね。
今度はギリシャ語のわかる友人を作って一緒に旅するってのはどうかな。
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