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2011年3月に書いたこと:真空パックもある崎陽軒

過去に書いたブログ記事は、タイムカプセルを開けたような気分になる。東日本大震災の時、本当にいろいろなことがあった。いろいろありすぎて、その前の年に越してきたばかりなのに、新たな引っ越しを決めた。自然が豊なところに住み始めた矢先に、果てしない暗闇が怖くなった。海も恐ろしかった。また電車が止まったり、停電になったりしたら帰れないこともよく分かり、子どもを見つけられないし、守りきれない気がした。
そんなことを思い出しながら、2011年3月20日にブログに書いた記事を転載する。
この note のトップ画像は、崎陽軒のシウマイに入っていたしょうゆさしの「しょうちゃん」。なんとなくかわいく、はし置きに使っています! 東日本大震災の時、常温で保存できる真空パックのシウマイは贈り物で大活躍しました。いただいた時もうれしかったです。

2011年3月20日に書いたブログ記事(その2)

明日、夫が仙台に戻る。大家さんが仙台の皆さんにと、紙袋二つ分のお土産を持ってきてくださった。現在、我が家の近所でのお店では入手できないマスクやカイロ、アルコール消毒液、携帯用レインコート。レトルトのカレーにインスタントラーメン、ちりめんじゃこ入りふりかけ、カロリーメイト(「ポテト味」なんて初耳です)。崎陽軒の真空パック入りシュウマイや甘ったるくないキャンディー。

 大家さんには茨城にご親戚がいる。津波の被害は免れたが、水道や交通機関が復旧せず、我が家のご近所で大活躍のクロネコヤマトでさえ配達は受け付けていない。その分のお裾分けをいただいたことになる。大切に使わせていただきたい。夫は、職員宿舎の同僚や寮の学生に渡すべくリュックに詰めている。

 大家さんは、現在では珍しくなった、大工さんを抱える工務店だ。注文住宅専門で、湘南のご自宅はモデルルームを兼ね、良質の木材と古民家風の意匠を活かしたシンプルで開放的な造りだ。ご主人は町内会の重鎮で(お祭りの時は工務店が御酒所に!)、奥様は生粋の湘南マダムで私(女)から見てもかっこいい。

 我が家がお世話になっている不動産屋のスタッフは、ご夫妻のご子息の元・同級生で、奥様には今でも頭が上がらず、だいぶかわいがられている様子がほほえましい。そのスタッフも尊敬を込めて「マダム」と呼んでいるのだが、今回の地震で、そのマダムはご近所の世話人のようになっている。

 このところ朝早くから年季の入ったトヨタ車で乗りつけ、工務店の所有以外の建物でも、特に高齢者のお宅を回っている。初耳だったのだが近所に90歳の一人暮らしの方がいて、地震後2日間、同じ椅子の上で「固まって」いたそうだ。また、我が家のある賃貸住宅は旦那さんがコミューターのご夫妻ばかりで、若い奥さんが一人で心細いのでは、と声をかけて回っているようだ。かっこ良すぎる!

 そうした隣人の皆さんとは、出会った時に挨拶するくらいの仲だったが、地震を通して色々話をするようになった。ろうそくやカイロ、お握りなどの物々交換、津波警報や計画停電のサイレンのなかでの井戸端会議など。この歳になっても!何となく心細いので元気をもらい(吸い取り?)感謝。

 また、古くからの友人。ご実家が我が家の近所で、ご両親が近所の共働き家庭の子どもを預かっている。交通事情などの問題でいつものベビー・シッターさんの都合がなかなかつかなくなり、友人のご両親に放課後の子どもを預かっていただくことになった。

 コミュニティと言うには大げさだが、ご近所の縁を大切にしたい、できれば自分も貢献する側に回りたい、と強く思うこの頃である。

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