【ニッコールレンズとコンタックスメタルフードの話】いろいろなニッコールレンズにコンタックスメタルフードを装着して悦に入る俺は「フード病」をこじらせたに決まってる 後日編 シーズン2 「コンタックスゼラチンフィルターホルダー」はオールドニッコールにも似合うんだぜ【2024note改稿版】
【おことわり】
本記事はブログに掲載した記事を加筆し改稿したものです。有料記事に設定していますが、無料で全文をお読みいただけます。もしお気に召しましたら、投げ銭のつもりでお支払いいただけますと、とてもうれしいです。
Fマウントオールドニッコールレンズにも似合うことに気づいてしまった
コンタックスゼラチンフィルターホルダーをAI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dに装着している。じつにいい感じだと思っている。常時つけっぱなしだ。コンタックスメタルフード4とゼラチンフィルターホルダー+67-62mmステップアップリングで組み合わせているが、35mmフルサイズで撮影しても四隅はケラれない(画面四隅にレンズフードが写り込むことがない)。
コンタックスゼラチンフィルターホルダーはその後さらにAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)にも装着している。これも似合うと思う。筆者はどうやらカメラやレンズをごつい感じに見せるのが好きみたいだ。
コンタックスメタルフードは自分にとって「標準レンズくらいの焦点距離ならばメタルフード4を合わせるといい感じ」という位置づけにある。中望遠から200mm程度までならば、メタルフード5がいい。ただし、広角レンズにはコンタックスメタルフード1〜3は重くかさばるだけで遮光効果はまったく見込めず、目の保養とレンズ保護、あるいは握力や腕力の補強にしか使えない。カッコいいけどね。
いっぽう、Fマウント時代はアクセサリーがものすごく充実していたニッコールレンズには「やや長めの金属製レンズフード」があまり多くはない。フィルター装着を見越してやや短めに感じるものが多い。あるいは、好みのものが私には多くはない。
そう思っていたある日、最近になって思い出して使っているNikkor-S Auto 55mm F1.2にもコンタックスゼラチンフィルターホルダーを介してメタルフード4を装着したところ、自分にとっては「合格点」だと思える組み合わせに思えた。
コンタックスゼラチンフィルターホルダーの装着方法
コンタックスゼラチンフィルターホルダーは、先端側には⌀86mmのねじ込み式レンズフードを装着できる。レンズ側のアタッチメントサイズは⌀67mmと、やや半端に思えるサイズだ。RTSシリーズ用カール・ツァイスレンズには⌀67mmのものが数本用意されていた。あまり例を見ないアタッチメントサイズが採用されたのは、おそらくは社外品アクセサリーをできるだけ排除したいという意図もあったはず。
常用域のRTS用レンズのアタッチメントサイズは⌀55mmと⌀67mmが多い。そこで、ゼラチンフィルターホルダーの初期出荷状態では55/67mmリングが付属する。これを使うと口径の小さいレンズに装着できる。中古品ではこのリングが付属しないことも多いので、もし購入される場合には有無を確認したい。ない場合は用品メーカー製ステップアップリングを使って、⌀67mmから使いたいレンズのアタッチメントサイズに変換しよう。
筆者はこの純正55/67リングを使い、用品メーカー製55-52mmステップアップリングを介してNikkor-S Auto 55mm F1.2に装着した。非AIからAI-SにいたるFマウントマニュアルフォーカスレンズ、あるいはその後のDタイプAFニッコールレンズまでは、ニッコールレンズのアタッチメントサイズは⌀52mmが基本だった。超広角レンズと超望遠レンズをのぞいて、大口径で⌀52mmに収まらないものは、⌀62mmまたは⌀72mmだった。だから、いつも⌀52mmにすることを筆者は考える。
「ちょっと厚みのある67/86リング」として使える
何度も書いていて申し訳ないが、ねんのため記す。コンタックスメタルフードは⌀86mmの円筒形レンズフード5種および超広角用の⌀82mmのW-1と、⌀86mmにステップアップする各種リングを組み合わせるシステムフードだ。
京セラがコンタックス事業部を2005年に解散させたのちに、用品メーカーのユーエヌから「CONTAX」のロゴのないものが発売されていた時期もある。こちらも現在はすでに販売終了したようで、2024年9月の本稿執筆時にはすでに公式サイトにも掲載されていない。中古市場ではヤシカ/京セラ製よりも安価に取引されているようだ。また、ユーエヌからはヤシカ/京セラにはないアタッチメントサイズの各種リングも用意されていた。
いずれもフード前面にはねじが切られていないので、純正レンズフード自体を複数組み合わせることは残念ながらできない。だが、前後にねじの切ってある壱帯壱路やドイツ製の⌀86mmフードなどを使って工夫することはできる。
5種の円筒形フードと同じ仕上げで質感も揃う各種リングも組み合わせると、より美しく「それらしく」なる。「それらしく」だなんて、2024年9月のいまにいたるまで、1本たりともヤシカ/京セラのRTS用カール・ツァイスレンズを所有していない筆者が言うのもおかしいか。
いつかきっとぜんぶ手に入れる
いまはカール・ツァイスレンズを東独イエナ製レンズ以外は1本たりとも持っていないが、将来的には現在の「・(ナカグロ)」なしで表記するコシナで製造しているカールツァイスレンズはぜひにぜひに使ってみたいものだ。Otus 1.4/55とかOtus 1.4/85はとくに気になる。「ボディはニコンだけどレンズはぜんぶOtusにしたよ。ミャハ☆彡」という暮らしをしたい。してやるからな。「♪いつかきっとぜんぶ手に入れる」と毎朝歌っているんだぜ(少し盛った)。
話を戻す。「・」のあるRTS用カール・ツァイスレンズのメタルフードにある各種リングは口径によって厚みがことなる。使用するレンズの口径に注意するだけではなく、この厚みにも注意する必要がある。
たとえば筆者が試した限りでは、AIAF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dにメタルフード4を装着するのに、メタルフード4+72/86リング+72-62mmという組み合わせにするとケラれてしまう。ところが、67/86リングかゼラチンフィルターホルダーならばケラれることなく使用できる。
筆者の手元にあるリングの厚みを以下に記す。
55/86:16.5mm
67/86:13mm
ゼラチンフィルターホルダー:15mm
72/86:21.5mm
RTS用レンズ以外に使うのは「非純正」の組み合わせだから、ケラれないかどうかは見当をつけながら自分で試すほかない。でも、デジタルカメラならばケラれの確認は簡単だ。一眼レフならばライブビューにして(ミラーレスカメラはファインダー撮影でもいい)無限遠にピントを合わせて、空または均一な明るさの白い壁などを最大絞り値(もしくは最小絞り。F22やF32などのいちばん大きな数字)までめいっぱい絞って試してみよう。必ず試写するように。
ゼラチンフィルターホルダーなしで使うのももちろんあり
Nikkor-S Auto 55mm F1.2にコンタックスメタルフード4を使うのに、一般的ではないゼラチンフィルターホルダーを使用することばかり書いているのは、筆者がオタで近視眼的で視野が狭いからだ(早口で)。
ゼラチンフィルターホルダーをデジタルカメラで使うことは、読者のみなさんにはほとんどないだろう。筆者もゼラチンフィルターやアセテートフィルターをデジタルカメラで使ってはいない。NDフィルターだけは使いたいかな。
筆者がコンタックスだけではなく、ニコンとキヤノンのゼラチンフィルターホルダーを使うのは、純正フードよりも長さを延長できるから。純正よりも長さを延長し、自作ハレ切りボードを挿入することで、意地の悪い光線下で古いレンズを使うことに役立てている。さらには、むかしはかなり高価だったのにいまや捨て値で売られているのを見て、活用してやろうと考えるのがおもしろい。
コンタックスゼラチンフィルターホルダーは平成はじめのころには、税別で定価8,600円もした。令和の時代に筆者はワンコインから、野口英世博士おひとり、元箱入りのものでも野口先生おふたりに満たない価格で手に入れた。そういう価格であるから手に入れたのだ。
「いまのデジカメのレンズフードはプラスチックのものばかりでそっけない」などという嘆きを、某ミニブログなどではたくさん見かけるように思う。それならば工夫すればいい。足らぬ足らぬは工夫が足らぬ、というもの。
「ほしい製品がないなら自分で作ればいい」というのはかのオリンパスPENシリーズやXAシリーズ、OM-1からOM-4の開発を主導した米谷美久さんのセリフだ。すごくかっこいいよね。私は米谷さんのような技術者でもなく、天才的な独創性も工作力もちろんないから、もっとずるをする。「作る技術がないならば、古いものでも活用できるものを探しだせばいい」と思う。
ゼラチンフィルターホルダーを活用したいという筆者の利用方法はともかくとして、メタルフード4の通常の装着方法も記しておこう。用品メーカー製ステップアップリングを使うか、コンタックスメタルフードの55/86リングか67/86リングを使うとよさそうだ。72/86リングに複数のステップアップリングを介すのも可能だが、でこぼこした感じが強くて筆者には美しくはない。なお、72/86リングとメタルフード4の組み合わせでNikkor-S Auto 55mm F1.2でケラれるのかどうかは、申し訳ないが未確認だ。
質感はもちろん純正リングを使うほうがまさる。
Nikkor-S Auto 55mm F1.2を例にしたが、Nikkor-S Auto 50mm F1.4やNikkor-S Auto 5.8cm F1.4にも似合いそう。
筆者がコンタックスメタルフードが好きな理由は、おそらくは複数のパーツを組み立てて使うところ。「男の子ってこういうのが好きなんでしょ」という感じの製品だから。そして、もともとは「士業のカメラ」のアクセサリーらしくけっこうなお値段がしたものの、いまとなっては量産品であるために、一部モデルをのぞいては価格が高騰していないところも好ましい。
「士業のカメラ」とは、筆者の造語だ。ヤシカ/京セラコンタックスユーザーには、医師、弁護士、司法書士などの高収入で可処分所得の多い士業の方が非常に多かった。コンタックスユーザーの公式写真クラブでも、指導役のプロ写真家よりもユーザーのほうがよほど収入が高く、みな「先生」と呼ばれる仕事をされている方々だったのです。
もっとも、純正のレンズとレンズフードの組み合わせしか好きではないという方には、こういう「おもしろさ」はまったくもって通じないだろう。筆者などは無粋であるとむしろ叱られるにちがいない。絞り環を交換しないで削ってしまう私製AI改造が好きではない筆者だが、非純正レンズフードの使用には鷹揚……むしろ積極的というのは矛盾していると思われるかもしれない。筆者にはこれは明確で「非可逆の私製改造が好きではない」というだけだ。非純正レンズフードの使用は原型に戻せなくなる改造ではないもの。
また、デジタルカメラ用交換レンズの純正プラスチックフードで満足という方も、じゅうぶんしあわせだろうから、よけいなことを気にせずにそのまま人生をまっとうしたほうがいい。
「それでもいい。サンは森で、私はタタラ場で暮らそう」(『もののけ姫』)
筆者自身はこういうふうに「あまり費用をかけない」「だがそれなりに効果も見込める」「非純正でもよく似合う」「かっこいい」という組み合わせを知恵を絞って見つけ出し、楽しむことができるひとたちとよりなかよくしたい。高価な珍品はいらない。実用品でおもしろいものがあればうれしい。筆者はコレクターではない。実用するのだ。
いや、コンタックスメタルフードのよさやおもしろさが通じるひとが少なくて、世間のみなさんがコンタックスメタルフードのことをいつまでも忘れていてくれますように……と、いろいろな神に祈っておくほうが、筆者にはなにかと都合がいいのかもしれない。みんな、見んな!
【筆者ブログ内のコンタックスメタルフード関連記事】
◆【カメラ機材のお話】いろいろなニッコールレンズにコンタックスメタルフードを装着して悦に入る俺は「フード病」をこじらせたに決まってる(2020年8月29日)
◆【ニッコールレンズの話】いろいろなニッコールレンズにコンタックスメタルフードを装着して悦に入る俺は「フード病」をこじらせたに決まってる 補遺(2020年10月2日)
◆【カメラ機材の話】「コンタックスメタルフードよ! 私は帰ってきた!」などといいながらDタイプAFマイクロニッコールレンズにコンタックスメタルフードを装着している話(2021年4月21日)
ここから先は
¥ 500
サポートいただけたらとてもありがたいです。記事内容に役立たせます!