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【ニッコールレンズのお話】AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)とAI Nikkor 50mm F1.8Sで簡易チャートを撮って絞り値による描写傾向を観察した話
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長い記事タイトルでお前ラノベかよ
以前のエントリーで記した「うっかり」入手したAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)。そのなかで、解像力チャートなどできちんと撮影したのではなく、いろいろと実際に撮影してみての印象論として、私が考えている描写傾向の話をした。
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YouTuberの「やってみた」か、あるいはラノベのような長いタイトルで、ふざけているように見えるかもしれない今回のエントリーでは、A3用紙にプリントした『たけくらべ』を撮ってみて、絞りごとの描写傾向をもう少しきちんと観察することにしよう。
照明が白熱灯色LEDである部屋で撮影していて、水平と垂直にはできるだけ注意は払っているものの正確には出せていないし、本格的な設備を用いているわけではない。あくまでも目安程度だと思ってもらいたい。
また、試写したボディも有効1,625万画素のNikon Dfだ。現在の主流である2,400万画素クラスよりも画素数が少ない。だからこれは「筆者の使用環境でどうなるか」という試写ということになる。ボディ内の自動ゆがみ補正とヴィネットコントロールはいずれもONのままで、ヴィネットコントロールは標準。この方法ではぼけについてはわからないのでぼけについては言及しない。
あわせて焦点距離と開放F値が同じマニュアルフォーカス(MF)レンズのAI Nikkor 50mm F1.8S(1980年発売)も同条件で撮影した。これは、1979年に発売されたNikon Lens Series E 50mm F1.8をもとに設計されたコンパクトなサイズのレンズだ。私の持つ個体は非Ai方式のカメラボディ用に露出計連動爪(いわゆる「カニ爪」)つきの絞り環に交換されたモデルだ。通常のAI Nikkor 50mm F1.8Sには露出計連動爪はない。以前、そういう交換サービスが公式に行われており、前所有者はそれを利用して絞り環を交換したのだろう。
MFレンズとの比較はおかしいと思われる方もいるかもしれないが、AI Nikkor 50mm F1.8Sは2020年まで発売されていたAI AF Nikkor 50mm f/1.8Dと光学系が同じだ。残念ながら筆者はAI AF Nikkor 50mm f/1.8Dは所有していないので、MFレンズを比較対象に選んだ。
いずれも古い古いエプソンPX-5500でA3マット紙にプリントした『たけくらべ』をIKEA有孔ボードに貼りつけたものを撮影している。撮影距離は「A3用紙がほぼ画面いっぱいに収まる距離」だ。三脚を立ててライブビューで拡大しながらAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)はAFで、AI Nikkor 50mm F1.8SはMFでピント合わせをしている。露出ディレーを併用してできるかぎりぶれも抑えている。ISO感度は100でピクチャーコントロールはスタンダード。
AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)とAI Nikkor 50mm F1.8Sを比較した
* AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)
F1.8ではごくわずかに被写体の周囲にフレアがかかる。これはF2.8で消失する。絞り開放ではヴィネットコントロールを「標準」にしていても周辺減光も目につく。これはF2.8でほぼ解消される。
解像感のピークはF11か。ただし、周辺部と中央部の解像感の差はF8まで絞らないといまひとつ。
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* AI Nikkor 50mm F1.8S
F1.8では被写体周囲にはっきりとフレアがとりまく。ヴィネットコントロールはカメラ内では働かないので周辺減光もある。どちらもF2.8でこれは解消される。周辺減光はRAW現像時に補正できる。
F5.6で周辺部と中央部の解像感の差が小さくなりほぼ均一になる。解像感のピークはF11でF16では回折による小絞りぼけにより甘くなる。
F22まで絞ることはできるが上記レンズに合わせて掲載は省略する。被写界深度上どうしても必要というとき以外にF22での使用はすすめない。回折現象が起きるからだ。
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万能なのはAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)でも、AI Nikkor 50mm F1.8Sの健闘もおおいにたたえたい
設計が比較的新しいAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)のほうが、なにかと高性能であろうという予想はしていた。絞り開放時に被写体周囲に発生するうすいフレアが少ないこと、逆光耐性に関してはAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)のほうが有利だ。普及版レンズではあるが硝材、内面反射防止対策、コーティングなどの進化が反映されているのだろう。
超音波モーターによるAF機構とM/Aモードを備えており、AF使用時にもスイッチの切り替えなしにMFによる微調整が可能で、使い勝手も向上している。円形絞りもある。軽いからカバンに入れておくと何かの役に立つことは多い。
ただできれば……もう少し解像感があって最短撮影距離がより短いといいけれど、そう思うならマイクロニッコールを使うべきなのだろう。Dfを私はボディのみで購入したのはじつはそういう理由だった。キットになっているこのレンズを結局はこうして手にしているのだけどね。常用しているAI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dも何度修理に出してもコンディションが完全にはならないようだから、「旧製品」ではあってもFマウントのAF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDをそのうち手に入れたい。
いっぽう、設計が1970年代で1980年に販売開始されたAI Nikkor 50mm F1.8Sは予想以上に健闘しているという印象だ。絞り開放でははっきりフレアが被写体周囲に出るが、F5.6まで絞ったときの画面周囲までの画質の均一さは評価されていい。もっとも、より画素数の多いD850やZ 7で撮影したらどうなるかはわからない。傾向は変わらないはずだが解像感の面ではどうだろう。意外といけるかもしれない。絞ればいいのだ。
このレンズがAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)に勝るところは、比較的薄型のサイズと、デジタル的な画像補正なしでもゆがみが少ないところだ。AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)にはタル型のゆがみがある。現行のニコンデジタルカメラではCPU接点のあるレンズはボディ内の自動ゆがみ補正機能で補正できる。光学ファインダー上では見えるけどね。掲載しているのは補正済みの画像だ。
ただし、ボディ内でこうした補正がなされないフィルムカメラで用いるならば、ゆがみがより少ないことを考えると、このAI Nikkor 50mm F1.8SかオートフォーカスレンズであるAI AF Nikkor 50mm f/1.8Dのほうが向いている。絞り環を持たないAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)をフルに使用できるフィルムカメラ機種はわずかだ。AFレンズであるAI AF Nikkor 50mm f/1.8Dはコーティングや鏡筒がことなるので、逆光耐性はAI Nikkor 50mm F1.8Sと比べると少しは向上しているのだろうか。
常用するのは私は逆光耐性とAFの利便性からAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)だが、AI Nikkor 50mm F1.8Sもまた大切にしたい。フィルムで撮ることがあれば迷わずにAI Nikkor 50mm F1.8Sを選ぶ。両者はおそらく設計思想がことなると思うのだ。
以下はAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)で撮ったものだ。特性を知りたくて重点的に用いている。なお、私の好みで周辺減光は意図的に追加している。こういう撮影ではF1.8で撮ることは少ないが、ハイエストライト部分をにじませたいわけではないので、F2.8より絞っているものばかりだ。
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ヲタなのでニヤニヤしながらドレスアップをしているわけです
最後に、おまけとしてAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)のドレスアップを考えた。付属するバヨネット式レンズフードHB-47はそれなりの深さもあるので実用上の不満はなさそうだ。裏返しに装着することもでき、レンズキャップも装着できる。
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ところが、ここでカメラヲタ歴が意味なく長い私は自宅にあった傷だらけのフードを探し出すわけですよ。フィルムカメラ時代の京セラのコンタックスRTSシリーズ用カール・ツァイスレンズシリーズのレンズフード「コンタックスメタルフード4」と「67/86リング」を組み合わせて、さらに58mm-67mmのステップアップリングを用いて装着してみると……あらやだ、意外と似合うわ。すでに何度も書いているあれね。
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しかも、これらはほとんど買い足すことなく、自宅のジャンク箱にあったものばかりで済んだというのも愉快だ。いまではコンタックスメタルフードは中古カメラ店で中古品を探すしかなく、数千円はする。また、カメラ用品メーカーのユーエヌがコンタックスロゴなしで同じものを各種販売していたのも、すでに販売終了したようだ。オリジナルの京セラにはなかった「58/86リング」というものもユーエヌにはあったのだが。
この組み合わせは逆づけできないので、かばんのなかで場所を食う。そして、レンズを前面から落下させるなどの強い衝撃を与えた場合には、純正フードのほうがプラスチックであるぶんショックを吸収してくれるかもしれない。だから、みなさんに必ずしもおすすめはしかねる。これからわざわざ買うものではないとは思う。ただし、こういうことをするのが好きな病気の方にだけ……ほら、喰らえ! というところだ。ははは。
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