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果物の話


先日、散歩がてら近くのコンビニへ行き、コーヒーフロートをテイクアウトした。
店先に簡易なテーブルと椅子があり、そこに座りながらのんびり食べていると、隣のテーブルにパフェを持ったご婦人二人が座った。


聞き耳を立てるわけではないが距離が近いこともあり、ポツポツと彼女たちの会話の内容が聞こえてきた。


それは最近食べた果物の話だった。
「誰々から貰った桃がとても美味しかった」とか、
「あそこの果物屋のフルーツは美味しい。でも葉を早々に取ってしまうから熟れるのが早いので、そこが難点」だとか。


私は彼女たちの話を「なるほど、葉の部分を取ると熟すのが早くなるのね」と半ば感心しながら聞いていた。
そういう風に、私は人の話す果物の話が好きだ。

確かに好きなのだが…
それにも関わらず私は果物をほとんど食べない。


嫌いではないが、あえて食べようとは思わないのだ。


果物の話、活字の果物、絵の中の果物は好きだ(実物を見るのも)
だけど、口にするとこれじゃない感じがあるのはなぜだろう。
そこから想像する果物たちの味が、あまりにも美味しそうだからだろうか。


果物を美味しく食べれるようになったらいいのにと、もどかしく思う反面、話で聞く果物、活字の果物を楽しむだけであっても、なかなか良いものがあるので、このままでもいいかなと考えたりもする。


でも、どこかのタイミングで好みが変わり、美味しく食べれるようにもなったらそれがいちばん嬉しいかもしれない。



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