見出し画像

リチャード・ブローティガン「ブローティガン東京日記」

1976年の5月半ばから6月の末にかけてブローティガンは初来日し、東京でホテル住まいをして日を過ごしていました。

その時の日々の思いを詩の形で記述したがこの作品です。
雑多な印象が強いですが、詩には俳句的な趣があり、全てを語らず雰囲気や彼の気分を表すなど文学的な手法もちゃんと生かしています。

ブローティガンの他の作品と比べ、心細さや弱々しさが表れていて、少し可愛らしさすら感じられますね。慣れない東洋での旅愁のせいでしょうか(笑)

題名こそ「東京日記」ではありますが、なんと我が街岐阜にも来ていました。
長良川河畔で行われた黒テント劇団の公演を見ているようで、その舞台裏の様子が描かれています(「長良川河畔の黒テント劇団の公演のあとで 岐阜 1976年6月7日」)。

特に何か足跡を残して帰った訳でもなく、単なる記録でしかない感じもしますが、この作品は「はじめに」の文章に大きな意味があるように思います。

ブローティガンは子供の頃、太平洋戦争で愛していた叔父を日本軍に殺されたこともあって戦争相手の日本を憎悪していたのですが、大人になって日本の文化を知り、逆に日本に対する好奇心が高まっていったようです。

たまに読むけど、面白いですよね。ブローティガン。

いいなと思ったら応援しよう!