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あなたは正しい判断をしているか

ノーベル経済学賞受賞者ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」読んだことがある方は多いと思います。webライター必読書として知られており、私も遅ればせながら読みはじめました。行動経済学・心理学的な側面から、人の思考がどのように作られているかを伝えてくれる著書です。

まだ上巻の途中ですが、「そうだったのか!」「文章を書く中ですごく役立つ」「日常生活でも絶対使える」と感銘を受けましたので、共有したく紹介します。

はたしてあなたは正しい判断をしていますか?

プライミング効果

「プライミング効果」とは心理学用語で、事前に受けた経験や見聞きした情報が、その後の行動に影響する効果のことです。プライミング効果は、本人の自覚なしに作用します。

・・・ある単語に接したときには、その関連語が想起されやすくなるという明らかな変化が認められることがわかった。たとえば、「食べる」と言う単語を見たり聞いたりした後は、単語の穴埋め問題で "SO🔳P" と出されたときに、 SOAP(石けん)よりSOUP(スープ)と答える確率が高まる。

出典:ファスト&スロー(上)ハヤカワ文庫 村井章子訳

例えば「今日のお昼はカレーが食べたいな」と思うとき、あなたは意識していませんが、実は昨夜の番組で美味しそうなカレーを見ていた。カレーのコマーシャルを見ていた。これがプライミング効果です。

マジックの一つで、ターゲットが選ぶ数字がわかる、何を言うかがわかる、これも実は潜在的に誘導されているのかもしれません。(すみません、マジックはタネも仕掛けもあるので、一概には言えません)

あれが食べたいな、あそこに行きたいな、と思ったら、さりげなく話題にしておくと相手からの "Yes"を引き出しやすいかもしれません。

連想一貫性

「連想一貫性」とは、二つの事柄や物ごとに対し、何らかの因果関係を持たせて連想することを指します。今までの自分の経験から、一貫性のあるストーリーを連想し、作り上げてしまうのです。

ではここで、次の文章を読んでほしい。

一日中ニューヨークの混雑した通りを散策し、名所見物を堪能したジューンは、夜になって財布がなくなっていることに気づいた。

この短い文章を読んだ人に単語保持テストを受けてもらうと、「名所」よりも「スリ」の方を強く覚えていることがわかる。しかし実際には、「名所」は文中に出てくるが「スリ」は出てこない。なぜこうなるのかは、連想一貫性で説明できる。財布をなくす理由は、ポケットから抜け落ちた、レストランに置き忘れた等々、いろいろと考えられる。ところが、財布がないという事実にニューヨーク、混雑が重なると、スリが財布を盗んだのだという説明が浮かんでくる。

出典:ファスト&スロー(上)ハヤカワ文庫 村井章子訳

直接の描写をすることなく「連想させる」、ドラマや小説の伏線みたいなものでしょうか。実に見事に人の心理を突いていると、賞賛しました。

終わりに

感じたのは、今日紹介した「プライミング効果」も「連想一貫性」も、言ってみれば人の判断エラー(先入観、思い込み、思い違いetc言い方はいろいろです)です。とすると、エラーの基準は人それぞれなので、人によって受け取り方が全く違う場合があるということです。

言ったつもり。わかったつもり。言葉で伝えられているのはたった5%だそうです。「自分の常識は相手の常識ではない」ということをいつも念頭に置いて、丁寧に言葉を使っていきたいと思います。

冒頭申し上げたように、まだ上巻の途中ですので、これからも驚きや発見が続くと思います。機会を作ってまた紹介させてください。

*この記事は「Webライターとして。」ではなく、ひとりの個人としての考えから書きました。 



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