自分の愛は最強だって信じたい
私は元F1レーサーのミハエル・シューマッハが大好きだ。
98年最終戦鈴鹿、ミカ・ハッキネンと争っていたワールドチャンピオンがここで勝てば決まる。
予選トップ、ポールポジションで迎えたスタート。
しかし、まさかのエンスト。
再スタート最後尾になってしまった。
でも彼は諦めていなかった。
赤いマシンは最後尾から鬼気迫るオーバーテイクを積み重ねてゆく。
シルバーのマクラーレン、見えた!
もう少し、もう少しで掴めそう!
その瞬間、タイヤがぱちんとはち切れた。
力なくマシンを止め、しばらくタイヤバリアの上に座って茫然としていた彼の顔が焼き付いた。
私はそれが初めてF1をちゃんと観た日だったけれど、彼の表情から、きっとたくさんのパワーや時間や想い、測りきれないものを注ぎ込んだのだろうことが見えたのだ。
彼がリタイアしたそのレースは、その後ミカが優勝を決めた。
パドックに戻ってきたマクラーレンのマシンに近寄り、ミカにおめでとうと手を差しだしたミハエル。
この瞬間、心を掴まれてしまった。
それから、無知だった私はあろうことかアンチミハエルの多いサイトでチャットデビューを果たし、
アゴって突っ込まれようと、
過去のお痛な行動をなじられようと、
私服が最高にユニークであろうと、
嫁がイマイチ冴えなかろうと、
そんなことは意に介さなかった。
F1を観る時は録画であろうがレース中は両手を握ったまんまにするのがマイルールだった(トイレなんか行けない)。
初めて鈴鹿で生観戦をした時は、レース前のドライバーズパレードの時点で号泣した。
そこまで?と呆れる友人の反応さえ、自分の愛の深さが際立つようで、悪い気はしなかった。
誰かに共感してもらわなくて構わない、それは幸せな感情だったのです。
映画「君が君で君だ」
もっとポップな内容をイメージしてたので衝撃で、
うそでしょ?って思いながら否定できない自分に疑問だったけど、
ミハエルファンとして、同じジャンルだと、はっとしました。
一歩間違えば、突き抜けてそうなるのかもしれない恐怖(笑)
きっと、心当たるひとはおおいのではないかしら。
結論、面白いです。
みんなに体験して欲しい、そんな映画だったよ、というお話でした。