コロナ禍で仕事が完全になくなったイベント裏方がもがいた、書き残し #8
ここまでコロナ禍に突入し仕事が止まってから新しい仕事を始めて仕事の内容まで経過をつづってきたが、実は細心の注意を払っていたことがあり、それは「同じエンタメ業界で働く人には、なるべくこの話はするのを控えよう」ということでした。
理由は相手や相手が所属する会社の状況などなど分からないことが多いし、わたしがつらつらと経験談を書いていることが危機意識がないように見えたり、なんだのんきにあいつは、と不快に思われる可能性があると思ったので控えた。FacebookやSNSの投稿も気をつけるようにした。
新聞社で働き始めて1ヶ月が経ち、緊急事態宣言も解除となって数日たったある日。とあるエンタメの仕事関係の人から連絡があり、予定を尋ねられた。その日は出社日で、嘘をつくのもどうかと思ったし、かなり親しい間柄の人だったので「実はいま仕事に出てて…」と伝えたところ「まあせいぜい小銭稼ぎしてよ」と言われました。
そう言われて筆舌に尽くし難い気持ちになり、手が震えました。
はい、たしかに端から見たら、「小銭稼ぎ」です。
しかしその小銭を稼ぐために、一から新しい仕事を覚え、記事を上手く書けないプレッシャーと戦い、書いても赤字で突き返される絶望感を味わい、また同じ明日がくるのか…と虚しさと折り合いをつけながら、どうにか小銭をいただけるところまでたどり着きました。
「小銭稼ぎ」と他人からドストレートに言われると少しこたえましたが、逆に、
「小銭稼ぎをド真剣にやろう」
という想いが芽生えました。
これまでと違う仕事を頼まれるようになろう、とか、この分野なら得意ですと言えるような特技づくり、今よりなにか一つ前に進めるように全力で取り組もう、と思えました。
ちなみに今日は、はじめて、他の記者のチェックなしで直接、記事を提出できるようになった日、でもありました。
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