コロナ禍で仕事が完全になくなったイベント裏方がもがいた、書き残し #10
今回は記者×記者の合わせ技について
ある日、芸能人同士の結婚が発表された。
(男性の方が有名なパターン)
ここでは男性芸能人をAさん、女性芸能人をBさんとする。
よくワイドショーで「報道各社へのFAXでの報告によると」と報じられるが、各所からFAXが本当に送られてくる。そのためサポート当番は送られてくる無数のFAXを捌くのも仕事だ。
(職場の役割についてはコチラ)
この日、●時解禁と指定された状態で結婚発表が流れてきた。
大物の結婚なため、仕事場がザワつく。
デスクがすぐに、今いる記者を見極めて記事を振る。
ベテラン記者が、本線の記事を書く。
「AさんとBさんが●日、結婚したことを、それぞれの所属事務所がFAXで報告した」といったニュースそのものを書く。
一方、若手記者が数人がかりで、補足的な記事書きや、本線に差し込む画像を用意する。今回のケースではBさんがそこまで有名ではなかったので、Bさんの経歴まとめや代表作の洗い出し、記事に差し込める画像探しが急がれた。
「Bさん、●●のCM に今も出てます!」とか「✗✗の会見の写真、著作権ウチ(自社)なので使えます!」などなど解禁時間ギリギリまで素材やネタ探しが続けられ、それらをまとめた上で、Bさんの経歴をまとめた記事が補足記事として準備された。
外野がガヤガヤ準備している間に、本線は執筆が着々と進み、サポートが用意した画像がそこに差し込まれ、さらに補足記事も書かれ、全てが解禁時間の1分前くらいにタイマーセットが完了して、解禁時間に無事に世に放たれた。
こと新聞社では日ごろはそれぞれが黙々と、延々と、個々にひたすら、書き続けている。けれど、大きなニュースが飛び込んできた時にだけ、スペシャルな"合わせ技"が発動する。見ていてワクワクする瞬間だ。
ニュースは、いつどこで、起こるか分からない。
「水もの」だ。
私が携わる舞台の世界でもよく「舞台は水ものだから」と言われる。
もしかしたら私は「水もの」が性に合っているのかもしれない。