コロナ禍で仕事が完全になくなったイベント裏方がもがいた、書き残し #5
もがきながら走り出すこととなった新聞社での日々。
今回は新聞社で”どんな人たちと出会ったか?”
コロナがなければ出会うことすらなかった、一緒に働くこととなった人たちを紹介します。
まずは私の所属先の構成ですが、階層としては
部長→デスク(責任者)→記者 という構造。
全員が朝番、昼番、夜番のいずれかに振り分けられ、
24時間365日、動き続ける職場だ。
まずは紹介するのが、
この職場の要となる”デスク”
デスクは、記事の最終責任者である。
記事の本文や添えられる写真の最終チェックはもちろん、
どのネタを記事にするかの判断、そして記事の命となる「見出し」
これらはすべてデスクが決める。
デスクも朝番、昼番、夜番に振り分けられ、当番の時間帯は片時も机から離れることなく、テレビやラジオ番組の確認、番組内での著名人の発言チェック、SNSのパトロール、自社のどの記事が読まれているのか、他社がどんなネタを発信しているのか、これら全てを確認しつつ各記者から提出された記事の最終チェック→配信ということを延々繰り返す、非常に多忙かつ判断力やセンスが問われるポジションだ。
デスクによって、見出しや記事の色合いも変わる。
デスクが男性だと見出しの文末が「!」や強調文言が多く、女性だと「●●(誰かの発言)…」「その行方は…」のような ”…” で読者にクリックをさせるように誘導するパターンが多かったりする。
私はデスクから「これ書いて」と指示され、記事を書き、他の記者にチェックをしてもらってから、デスクに提出をしている。
他の記者は、この「チェックしてもらう」というステップが不要のため、私が独り立ちできない限り「誰かの仕事を増やしている」ことになる。これが自分にとってものすごいプレッシャーとなってのしかかった。
次に紹介するのが
デスクを支える"サポート席"
デスクとセットで動き、デスクのすぐそばに着席し、多忙なデスクのフォローをするのがサポート席の役目だ。サポート席は、その日の当番記者の中からエース級の人が選ばれて担当する。デスクは常に記事の最終チェックに追われているため、ニュース速報や番組のウォッチングをしている余裕がない。そのためサポート席に座る記者があらゆる番組、SNSをパトロールし続け、ネタになりそうなことがあれば、デスクに報告をする。また、他の記者が今何を書いているのかも管理し、次のネタをスタンバイしておくのもサポート席の仕事だ。
このサポート席に座る人を何人か観察していると、「サポート席が得意な人」がいることに気づいた。デスクは固定メンバーでまわすが、サポート席はあくまでその日出勤しているメンバーから選ばれるので、サポートのスキルにはムラがある(と個人的に感じた)。
「サポート席が得意な人」はデスクの好みを理解し、意向を汲み取り、デスクの一歩先を進んでフォローできる人だ。このタイプの人がサポート席に座っている時は、他の記者への指示出しが効率が良く、ネタを逃す、もしくは他社から遅れを取ることが少なくなる。
次に紹介するのが、
部長・デスク以外すべての人となる”記者”
記者と一言で言ってもさまざまなタイプがいることが分かった。
芸能が得意な人、野球が得意な人、時事ネタ系、など得意ジャンルがあるのと、「しっかりと内容の濃い記事を書くライター系」「SNSなどの巡回が得意な若さ・スピード系」「エッセイに近い長文を書く作家系」とそれぞれタイプがある。それぞれ各自が得意な内容がデスクから振られることになる。
そして「新聞社」という会社組織において、最も重要なポイントが、
"内勤" "外勤" という文化の存在
であった。新聞社ではたらく人は組織の全構成員を、記事を書いたり紙面に関する仕事を社内でする"内勤"と、あらゆる現場に出向きネタを取ってきて執筆をする"外勤"に振り分けて認識する。そこには「アイツは内勤だから・・・」みたいな属性の違いによる溝のようなものが存在していた。
私の所属部署はこの内勤と外勤、両方の出身者から集められた部署だそうだで、両方の属性者がいるということは、メンバー内に溝が存在するということになる。しかも部署の現在の仕事は内勤作業のため、どうしても内勤優勢になってしまう。そこでその溝を埋めるべく、その部署に飛ばされて?きたのが、最後に紹介する、
部の最高責任者 "部長"
だ。次回は部長が語った「新聞社の内勤・外勤文化」を(勝手に)紹介する。