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メリリーウィーロールアロング
メリリー見てきたの!!
逆再生ミュージカル!!
話しは、フランク(平方元基さん)っていう、ある40代の大成功した音楽家のパーティーから始まるの。フランクはスノッブな人たちと、軽く楽しく付き合ってて、奥さんのガッシー(朝夏まなとさん)がいるけど浮気してる。パーティーでは、元脚本家のメアリー(笹本玲奈さん)がくだをまいてる。
軽い会話を重ねて、メアリーの攻撃を優しくいなして、ガッシーを気にしながら、若手に、「どうしたらあなたみたいにかけるんですか?」って聞かれて、初めてフランクが困ったような顔をするの。人に忠告をすることが一番馬鹿なことだと思ってるって一度断ったのに、わざわざ呼び止めて「ここ(頭)で書くんじゃない、心で書くんだ。」っていって、言ったなり後悔したみたいな顔をする。
パーティで脚本家のチャーリーの話題が出ると急に場の空気が凍って、フランクとチャーリーは触れちゃいけないほど犬猿の仲だってわかるの。メアリーは、チャーリーとメアリーとフランクは切っても切れない友達どおしだったんだって言うんだけど、周りは、へえってしらけちゃってる。
パーティはお開き。フランクもガッシーもお互いに結婚したことを後悔して、フランクは「チャーリーと元に戻れるなら今の暮らしを全部捨てても惜しくない」っていう。
そこから、お話しがどんどん前に遡っていくの。
強い絆に結ばれた友達のフランク(作曲家)、チャーリー(脚本家)、メアリー(小説家)が、夢に向かってもがいて、扉を開いて未来に飛び出そうとして、でもなかなかうまくいかなくて、メアリーはフランクが好きで
小さいナイトクラブで自作のミュージカルをかけて、そこで出会った女の子ベスとフランクが結婚して、
フランクとチャーリーが作ったミュージカルが売れて、フランクがそのミュージカルの主演女優だったガッシーと不倫をして、ベスと離婚して、ガッシーと結婚して、
ちょっとづつ見てるもの、したいことが離れてくるフランクとチャーリーをなんとかメアリーがつなぎ止めて、でもうまくいかなくて、決定的に決別して
っていうのを、全部逆再生でみていくの。
未来って、無限の可能性があって、そこから自分で選択していくことができるでしょう?でも、メリリーの世界では私たちはすでに選択した結果を先に見てるの。選びとった未来がわかっていて、ターニングポイントターニングポイントで選び間違っていくのを見ていくの。
最後のシーンは、逆再生だから、3人が出会うシーンなんだけど、まだ若い3人が人工衛星を見るために上った、アパートの屋上が出会いの場所なの。フランクがチャーリーの脚本を読んで、寝られないくらい気に入って興奮して、君はすごいって言って、チャーリーもフランクの音楽について「きみはここ(頭)で書かずに、心で書けるんだ。」って言う。メアリーもフランクの作曲をすごいって評価すると、フランクはメアリーを指して「僕の結婚相手みつかった!」っていうの。3人で僕たちの未来が始まる。何でもできるって歌うの。
私たちは、その先の先を知っていて、チャーリーがフランクの言葉を大事に羅針盤みたいにして持っていて「頭で書かずに心でかける」ってことを、チャーリーと決別したあともずっとずっと心に大事にしていることも知ってるし、メアリーが、フランクの「僕の結婚相手」って言葉で恋に落ちて、ずっと、ずっと好きだった経過も、その先の、どうにもならない恋心も見てるの。そのたびごとに選び取られた選択肢の先を見てる。フランクが有名になっても、すべてがぐちゃぐちゃになったパーティの時もずっと持ち歩いている赤い表紙の台本は、このときにチャーリーが書いて、フランクが命名した、「左向け左」っていう作品の台本だったんだって言うことにも気づく。
でも、そうやって大事な記憶があっても、どうにもならない未来があるんだって知ってるの。
ちなみに、ずーーっと話にだけ出てくるチャーリーの奥さんがメアリーのルームメイトだってこともここで初めてわかるの。全員「イーブリンさん!あなたでしたか!!どうもどうもお噂はかねがね!!」ってなる。
でね、はじめの、何でも選び取れるって言ってるシーンまで見て思ったの。きっと、今、これを見てる私たちは、この、何でもできるって希望にあふれてる、選択肢が無限に与えられている最後のシーンの地点にいるんだなっておもうの。過去と未来のちょうどあいだの、今、何でも選べるところに今いるっておもってわくわくする。将来を選び取っていけるって素敵なことだなって。
お話しの一番最初に歌われていた、「未来は選び直せる」っていう言葉を思い出して、そっか今まで、私たちも、選択を間違ったり選び取るべき物を選ばなかったりして失敗したけど、これから、もう一度選び直すことができるし無限に選択肢が残されてるのが「今」なんだなっておもうの。わくわくしない?
そうやって、自分たちにもパワーをもらったし、フランクとチャーリーとメアリーの三人も、きっと、あの、ぐっちゃぐちゃのパーティ、逆再生だと最初のシーンのあとに、自分の気持ちに正直な、でも勇気がいる選択をしてくれるはずって思いました。
そして、お話しも面白かったけど、曲も面白いの。ソンドハイムさんの曲。難解で洒脱できっと歌う人を選んで、おしゃれで耳に残る。チャーリーのウェンツさんがうたうのが、もう、すっごいの。技術と表現力とチャーム。
メアリーの笹本玲奈さんもすごかった。上へ下へのものすごい歌を軽々すごいパワーで歌って、でもかわいくてかわいそうで不器用で大好き。
フランクの平方さんって、歌ってないみたいにかるがるお歌を歌って、歌うみたいにお芝居をする人だなって思うんだけど、難解なこの作品でも、ずっとメロディが流れてるお芝居で、お芝居を観てるようなお歌で、本当に素敵だったの。あと何しろ、ほら、神様も作っといてびっくりしたでしょうねみたいな美しさだから。神様この世界に平方元基さんをありがとう。
あと、見に行った人みんなに高木裕和さんのキャッチーなたたずまいを見てほしい。立ち居姿が私たちを捉えて放さない。
たのしかった!!
あとね、二回見ると、すでに始まりを知ってるもんだから開始5分で佳境を迎えることになるから気をつけて。こんなにしょっぱなからしゃくりあげたのはじめてよう。