全国大会-26歳の冬-
45歳現役アスリート猪頭香緒里の自伝#5
スノーボードクロスのプロ選手を目指し、2シーズン目の冬に突入しました。
スノーボードクロスは障害物競走みたいな競技です。スタートからゴールまで、バンクやキッカー(ジャンプ台みたいなモノ)やウェーブ等のセクションが次々あります。
その中で、コース内にゲート(旗門)があり、決められたコースを最短だったりスピードが伸びるコースを選択しながら滑ります。
しかし、コース内を4人〜6人で同時スタートしゴールを目指して滑走するので、自分の滑りたいコースが滑れない時が多々あります。もちろん、接触もあります。
そういう時、瞬時にコース取りを変えなければいけません。
瞬時の判断が必要な上に、滑走技術は大前提で必要でした。
経験や滑走技術がまだまだ乏しかった私は、どうやったら速く滑走出来るかを、ゲート(旗門)練習から学ぼうと思いました。
ゲート練習が出来る環境を求めて、他のスキー場にも行くようになりました。
早朝に起きて出発し、雪の中、何時間か運転をして通う時もありました。
ゲート練習は思った以上に難しく奥深く、そして、集中力が必要でした。
寝不足で疲労もたまっていたある日、そんな状態でも、成長したい一心でゲート練習に参加していました。
しかし身体は上手に動かず、転倒。
手首を骨折。
シーズン中の怪我は初めてでした。
しかし、複雑骨折では無かったので、テーピング等で固定すれば、痛いけど何とかスタートゲートは引けました(スノーボードクロスでスタートするときに、勢いをつけるため、スタートゲートを引いてスタートします)
レースは何とか出れる!!
そして、前回の屈辱を味わった、地区大会の日がやってきました。
折れた手首は痛いけど、全国大会へ出場するには、地区大会を勝たなきゃいけない。
その想いだけでスタートを切りました。
結果、全国大会へ出場決定。
手首が痛いなんて言ってられない。
滑走技術を上げる為に、日々練習を重ねる事しか思いつかず、毎日のように滑りました。
さらに、プロ選(プロ選手が多く出場するレース)にも積極的に参加していきました。
そして、夢にまで見た全国大会に出場し、
結果、大敗。
3シーズンでプロスノーボード選手になる!!と決めた、私の2シーズン目の冬が終わりました。
しかし、その26歳の冬が終わりかけたとき、次期オリンピック(トリノオリンピック)で、スノーボードクロスが正式種目に決定しました。
アマチュアの全国大会で大敗した後にも関わらず、新しい光が現われたように感じました。
無謀な挑戦ですが、オリンピックに出てみたいな…と、心の中で小さく思ったのです。
現実から私を見ると可能性は無限じゃないのに、私から見る現実は可能性が無限に広がっていました。