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No.9 うーん、決めるの難しい! 


「痛みを伴う決断を下すことこそ、リーダーの仕事である」

ハーバード・ビジネス・レビューの最新号が届きました。タイトルは「リーダーの意思決定」。以前からEQの重要性を説いておられる、元ソニーCEOの平井さんの記事も含まれています。「痛みを伴う決断を下すことこそ、リーダーの仕事」と、会社の運命を左右するような数々の決断をされてきた方ならではの、重みのある言葉です。

※平井さんの記事は期間限定で記事全文公開中(DIAMONDハーバード・ビジネス https://dhbr.diamond.jp/articles/-/10927

痛みを伴わない決断でも、最良の結果に結びつく道はあるかもしれません。しかし、痛みを避けるために決断そのものを避けてしまうと、実際には組織内に慢性的な痛み(これはよく見られるケース)が続き、最悪の場合、組織そのものが存続できなくなることもあります。

私も、そうした慢性的な痛みを抱える組織にいたことがあり、「あの時、自分にも何かできたのではないか」と振り返ることがあります。経営レベルの大きな意思決定ではなく、現場リーダーが日々の業務で直面する、小さな意思決定をどうしていくか、ここでもリーダーのEQが力を発揮します。

ということで、本日の「ビジネスリーダー×EQの4つの能力」シリーズ、テーマは意思決定です!

あなたならどうする? 日々の小さな意思決定

状況:チームは新しいプロジェクトに向けて、どのリソースを優先的に使うべきかで意見が割れている。何人かのメンバーは短期的な成果に焦点を当てた意見を出しており、他のメンバーは長期的な投資を重視している。リーダーとして、全員の意見を聞いたうえで、どの方向に進むべきかを決める必要があるが、何回か議論しているもののメンバー間で合意が得られていない。

A:「みんなの意見を尊重したいけど、全員の希望を反映するのは難しそうだから、もう少し考える時間を取ろう。次回の会議で再度話し合おう。」(メンバーの心の声(これで何回目、、、、)
B:「皆の意見をしっかりと聞いた上で、今回は長期的な投資を優先することに決めました。短期的な視点では負担が増えるかもしれないけど、長期的に見れば、この選択がチーム全体に大きな成果をもたらすはずです。しばらくの間、困難があるかもしれませんが、全員で乗り越えていきましょう。」

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A:「みんなの意見を尊重したいけど、全員の希望を反映するのは難しそうだから、もう少し考える時間を取ろう。次回の会議で再度話し合おう。」(メンバーの心の声(これで何回目、、、、)

EQ解説:テーマや状況によっては、全員の希望を反映し、全員が納得するような案が出るまで何度も議論を重ねる必要がある場合もあることでしょう。しかし、このリーダーが、毎回毎回そういう行動パターンをとっているのなら、ぜひEQの開発に興味をもってもらいたいです!

  • 感情を避けている「自己認識」):例えば、このリーダーは、メンバー全員の意見を取り入れることが難しいことに気づいているはずですが、その事実を受け入れる代わりに、感情を避ける行動(決断の先延ばし)を選んでいます。自分が優柔不断になっていることや、決断を避けたいという感情に対する認識が不足しているようです。

  • 感情を管理できていないから決断できない(「自己管理」)一見みんなの意見に配慮をしているようにも見えますが、意思決定を先延ばしにする背景には、「誰かの不満を避けたい」という不安やプレッシャーがあるのかもしれません。その不安に対処できず、優柔不断な行動に陥っているならば、自分の感情を管理できていない例です。

  • 他者の感情に気づいていない(「社会的認識」)そして言うまでもなく、先送りに対するメンバーの反応に気づいていない様子は、他者の感情を認識する能力が未開発といえるでしょう。

意思決定の先延ばしが続くと、メンバーはリーダーの決断力不足に不信感を抱いたり不安が増します。また、実際にプロジェクトの遅延が起こり、全体のパフォーマンスが低下するリスクが高まることでしょう。


B:「皆の意見をしっかりと聞いた上で、今回は長期的な投資を優先することに決めました。短期的な視点では負担が増えるかもしれないけど、長期的に見れば、この選択がチーム全体に大きな成果をもたらすはずです。しばらくの間、困難があるかもしれませんが、全員で乗り越えていきましょう。」

一方、EQの高いリーダーは、

  • 自分の感情に気づいている(「自己認識」): 決断がチーム全員にとっては厳しい選択であり、メンバーの不満が生じる可能性を理解しつつも、リーダーはそのプレッシャーや不安に気づいています。

  • 自分の行動が他者に与える影響を理解している(「自己認識」): このリーダーは、自分の決断がメンバーにとって最善でないかもしれないことを認識していますが、チーム全体の成功を目指しているため、短期的な不満や痛みを受け入れる必要があることも理解しています。彼は、自分の決断がチームに与える影響(メンバーが一時的に落胆する可能性や、長期的に成功する可能性)をしっかり把握し、それに基づいて行動しています。

  • 感情をコントロールできている(「自己管理」): リーダーはメンバーからの反発や不満を避けたいという感情に振り回されることなく、チーム全体にとって最善の意思決定を先延ばしせずに下しています。その場の感情に流されず、冷静な判断を保っていることは、自己管理が高い証拠です。

  • 人間関係を維持しながら目的に対して行動する(「人間関係管理」): 意思決定をした後も、このリーダーは、悪いニュース(短期的に困難があること)も正直に話したうえで、前向きな見通しとともに、メンバーの気持ちに配慮しながら動機づけをしています。

自分の意見が採用されなかったメンバーの中には一時的に不満が生じるかもしれませんが、リーダーの決断力と冷静で客観的な視点、誠実な対応に対して信頼を寄せるようになるでしょう。


自分や他者の気持ちを把握し、それらを面倒くさいものとしてではなく、積極的にリソースとして活用する、EQ能力の差異は、チームのウェルビーイングや成果に大きな差を生むことがこの例からも伝わったらなと思います。

本日も最後までお読みいただき、心より感謝いたします!



弊社では様々なEQプログラムを通して、しあわせに成果を出すリーダー育成、チームづくりをご支援しています。ぜひお気軽にお問合せください。

しあわせリーダーズ合同会社
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