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Something in me knows it

「直観」って何だったっけ。先週、天海玉紀先生のYouTube配信でタロット1枚引きをしてもらって以来、ずっと思っている。配信はこれね。

1枚引きで出たカードは「女教皇」。沈黙のうちに直観を受け取る女司祭のカード。

「ロジックよりも直観を大切に」、当番は火の強いホロスコープ持ち(ASCが獅子座、チャートルーラーが太陽で射手座に太陽含め4天体持ち)だから本来は直観も強いはず……本来は。

ところが当番は「ロジックよりも直観を大切に」と言われると「うん!」とはならず「直観って……何だったっけ?」と首を傾げるところから始めてしまう。おかしいな、当番のホロスコープ的にはロジックにはだいぶ弱い(風サインに冥王星しかない。水星がデトリメント。水星支配のサインには月がいるだけ)はずなのに、こういうとき必ず「それって何だったっけ?」と辞書を引くところから始めてしまう。たぶんこれは乙女座の月がやっている。

まあ仕方ない。習い性というものなのでうちのツッキー(当番ネイタルにおける月の相性)の気が済むまで辞書をひく。

noun
the ability to understand something instinctively, without the need for conscious reasoning.
"we shall allow our intuition to guide us"
類義語:
instinct
intuitiveness
sixth sense
divination
clairvoyance
second sight
ESP (extrasensory perception)
対義語:
intellect

名詞
意識的な理由づけを要さない、本能的に何かを理解する能力
「我らの直観の導きにゆだねましょう」

類義語
本能・直観性・第六感・神託・予見・千里眼・ESP(超能力)

対義語
理知

Oxford languageより 日本語は当番訳

ふむ。類義語と対義語が参考になる。divination(英語での「占い」の呼びかたのひとつ)が登場してちょっとびっくりするけれど、そういえば divination って元々は神託のことだったわね。

もうひとつ定義が出てきた。

a thing that one knows or considers likely from instinctive feeling rather than conscious reasoning.plural noun: intuitions

"your insights and intuitions as a native speaker are positively sought"

類義語:
hunchfeeling
feeling in one's bones

意識的な理由づけというよりは本能的な感覚から知っている、あるいはそう思うような物事
「ネイティブスピーカーとしての君の洞察と直観を大いに求めている」

類義語

肌身の感覚(本能)

同じくOxfordlanguage より、日本語は当番訳

feeling in one's bone という言い回しがちょっと楽しい。「わしの骨がそう感じておるんじゃ」。日本語では「骨の感覚」とは言わないね、「肌身の感覚」「肌感」が言い回しとしては近いかも。ユングのタイプ論だと「直観」は「感覚」と対になっていてどちらかが優勢ならばもう片方は劣勢なんだけど、「直観」を何とかことばで説明しようとすると「骨が感じる」とか「肌感」とかカラダにまつわる言い回しが類語として出てきてしまうのが面白い。

英語の辞書、日本語の辞書、ユングのタイプ論を解説した記事までいくつか読んでみたのを総合すると、直観とは

論理から導き出された答えではない

感覚に基づいた知覚ではない

経験に基づいた知見ではない

意識的に「こうだからこうである」と説明をつけられるものではない

にもかかわらず「なぜかわかる」「なぜか知っている」こと。「直観」の「直」は「何も介さずに」「すぐに」ということ。「直ぐに観ずる(見てとる)」こと

を示す、らしい。

「『なぜわかるのかわからないのに、わかる』『なぜ知っているのか知らないのに、知っている』が直観なのね」と当番の中でツッキーが溜息をつく。

🌙♍「『なぜわかるのかがわかっていて、わかる』『なぜ知っているのかを知っていて、知っている』は直観ではないのね。それなら私の『わかっている』『知っている』ことはほとんどみんな『直観』ではないわね」

この乙女座の月は色々なことが「パッとわかる」。その「パッとわかったこと」を大体外さない。しかしそれらのひとつひとつは大抵の場合「わかる理由がわかる」「知っている理由を知っている」ものなのだ。彼女はとても記憶力がいい。自分が知っているもの、自分がわかっていることについて「私がこれを知っている/わかるのは、いついつにどこでこれを習い覚えた、経験したからだ。これは初めて見たものではない。いちど見たものだから私にはわかる」とすぐに記憶から引っ張り出してくることができる。

🌙♍「『すぐに出てくる』ことは出てくるんだけれど、ひとつひとつ理由も由来もちゃんとあることを私は『知っている』し『覚えている』の。本当にいっぺんも経験したことがない、新規のものだったら、私は記憶を高速で探って『それは私の記憶にはない、似たような何かも経験したことがない』と秒で返すことができるの。私のこれは『経験知』や『感覚知』であって『直観』ではないわね」

このツッキーは物事の分類に細かい。「『直観』とは何なのかをまずことばで知りたいの。定義上『直観』ではありえないものを曖昧に『直観だ』と思い込んで『私にも直観があったんだ』と糠喜びしたくはないの」と言う。

🌙♍「私の『すぐ出てくる』が『直観』ではないことがわかったのは残念だけど、私の『すぐ出てくる』を『直観』と混同するような浅薄な振舞をせずに済んだのはよかったわ」

ツッキーお前めんどくさいヤツだな、私だけども。

🌙♍「記憶力がよすぎるのもよしあしねえ。もしも私が『経験したから知っている』の『経験したから』の部分をすっかり忘れてしまって『なぜ知っているのかわからないけれど知っている』になったら、それは『直観』になっていたのかしら。でもそれは『記憶喪失だけど自転車には乗れる』みたいなものでやっぱり『直観』ではなくない?」

ツッキーお前本当にめんどくさいやつだな、私だけども。

🌙♍「私が魚座の月だったらもしかして『直観』が強くなったりしたのかしら? 」

魚座の月に生まれてくるにはあと半月長くお母さんのお腹に居座る必要があったわねえ、本来の予定日は実際にその辺り(12月19日近辺)だったとあたしゃお母さんから聞いているけれど、あなたが半月早く出てきちゃったんですよ。

でも、そうね、「記憶喪失」。ツッキーは「『直観』そのもの」ではないかもしれないけれど「それに近いもの」のキーワードを出してはくれた。「なぜ知っているのか説明できないけれど知っている」「なぜわかるのかわからないけれど、わかる」そういう「直観」に近いものとして「なぜ知っているか、なぜわかるか、『理由があるはずなのに忘れてしまった』『理由は思い出せないけれど知っているしわかっている』」がある。

「意識は『思い出せない』」けれど「『意識でないもの』はそれを『覚えている』」。「意識は『知らない』けれど、無意識は『知っている』」。「『意識』は太陽、『無意識』は月」とすれば、月は確かに「直観」を司るのかもしれない。もっとも、当番の月は至ってお喋りなので「私が『覚えているから知っている』ものは『直観』ではないわよ。いつ経験していつ知ったか、全部思い出させてあげる。まず最初に、」と当番に訴えてくるのだけれど。

当番は「知っている」。こういうときはことばだけでどうにかしようとするより歌を歌った方がいい。歌だってことばではあるのだけれど、韻と旋律のある歌の方が沁みこみやすい。「直観」そのものではないけれど、「直観」に近いものを歌っている歌はいくつかある。たとえば「記憶喪失」の歌や「忘れてしまったもの」の歌。

ミュージカル映画(後にブロードウェイで舞台化)『アナスタシア』は「孤児が詐欺師から『アナスタシア大公女の偽物』になるレッスンを受けるが、その孤児は記憶喪失で自分が誰だか思い出せない『本物のアナスタシア大公女』である」という物語。「思い出せないのに覚えている」「なぜわかるのかわからないのに、わかる」という歌が繰り返し歌われる。

Far away, long ago
Glowing dim as an ember
Things my heart
Used to know
Things it yearns to remember…

And a song
Someone sings...
Once upon a December

はるかむかし
熾火のようにかすかにともる
私の心が
かつて知っていて
思い出したがっているもの

そして誰かが
歌ってくれた歌
いつだったかの12月に

『アナスタシア』よりOnce upon a December 日本語は当番訳 

ニューヨーク・シアターの公式動画貼っておこう。


もうひとつ『アナスタシア』から。これは詐欺師が「アーニャ(記憶喪失のアナスタシア)」に向かって、それと知らずに「アナスタシアになりすます」ことを教えようとする歌。「君の中の『何か』が知ってる」と歌うのは詐欺師だけれど、確かに「アーニャ」は知らなくても彼女の中にいる「アナスタシア」はそれを「知っている」。

If I can learn to do it
You can learn to do it
Something in you knows it
There's nothing to it!
Follow in my footsteps
Shoe by shoe!
You can learn to do it too!

僕にできたなら
君にだってできる
君の中の何かが知ってる
なんてことないさ
僕の後について
一歩ずつ
君だって覚えられる!

『アナスタシア』より Learn to do it 日本語は当番訳

これも舞台版のLearn to do it

ディズニーの『メリー・ポピンズ・リターンズ』や『アナと雪の女王2』にも「忘れてしまったものの行先」や「無意識の記憶」を歌う歌があったな、と思い出した。「意識は『知らない』のに『無意識』は知っている」「私は『思い出せない』のに私の中の何かが『覚えている』」というのは「直観そのもの」ではないにしても「直観の隣」くらいにはありそうな概念だから、参考に貼っておく。

Searching for the things
You used to know
Looking for the place
Where the lost things go

探し回っている
むかし知っていたことを
見つけようとしている
なくしたものの行き着く場所を

『メリー・ポピンズ・リターンズ』よりPlace where the lost things go 日本語は当番訳

Where the north wind meets the sea
There's a river full of memory
Sleep, my darling, safe and sound
For in this river all is found

In her waters, deep and true
Lie the answers and a path for you
Dive down deep into her sound
But not too far or you'll be drowned

北風が海と出会うところに
記憶に満ちた川がある
おやすみ愛し子、ぐっすりと
そこではすべてが見つかるから

その水の奥には
お前への答えと道がある
その音へ深く潜っておいで
でも潜りすぎれば溺れてしまう

『アナと雪の女王2』よりAll is found 日本語は当番訳

ヘッダー画像は「オルゴール」で検索して見つけたもの。『アナスタシア』のキーアイテムであるオルゴールに似たものを探していたのだけど、全く違うオルゴール人形を見つけた瞬間に目を離せなくなった。これと全く同じオルゴール人形を、当番はこどもの頃に持っていた。曲は「エリーゼのために」。


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