急ブレーキ

腰が軽い、フットワークがいい、多動、いろんな言い方があるけれど、つまり私は動いているほうが好きだ。

以前、編集者・ライター仲間と、構成ラフづくり・取材現場・原稿書きの3段階でどの時間が好きかという話をしたとき、そこにいた人はみんな見事に意見がバラバラだったのだけど、私は躊躇なく「取材現場」が好きだと言った。

どんな取材でも、準備したことがうまく運ぶか、ちゃんと「獲れ高」のある取材になるのか、ドキドキする。そのドキドキも含めて、人に会うことや、何かトラブルが起こったら臨機応変にやり抜くことや、そんなことが大好きなのだ。

今回、コロナのせいで生活を制限されるようになって、私の生活は急に止まることになった。これが私はつらかった。

それなのに、自粛するのなんて当たり前だし、フリーランスの編集者は家にこもっていることなんて慣れている。どうってことないわ。今まで忙しかったの、だからお休みする時間ができてよかった。

…なーんて顔をしてみたかったり…したんだね。

トレーニングでもなんでも、動くより「とまる」がむずかしい!

ずいぶんまえに、体操指導の先生の話を聞いていたら、みんな、じょうずに手本通りに動くことよりも、「ストップ」が難しいんですよ、という話があった。

たしかにそうかも、と思った。体操部時代、平均台でも床でも、特にフィニッシュには大技を持ってくるものだけど、最後はビシッと止めなくてはならない。今まで稼働していた筋肉をぴたっと止めるのは、動かすときよりも筋力を使う。

車だって同じ。猛スピードで走ってきたら、急ブレーキを踏むと「がっくん」となっちゃう。

先週の私には、そんなことが起きていたようだった。

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