精油や芳香蒸留水:フランスの事情と飲めるのか飲めないのかの話。
フランスのエルボリストリで、または自分のキャビネでフィトテラピーのアドバイスをするときに
〇〇のHydrolat (芳香蒸留水)を☆☆に薄めて、飲んでみてください。
△▲の精油を、1滴。これこれあーして、□日間飲んでみてください。
などと精油や芳香蒸留水の飲用の話をすることは、日常的にある。
フランスでは精油や芳香蒸留水は飲用される
は全く間違いではない。ただ全てが正確に伝わってはいない。
これが一人歩きしては大変だ!ということでまことしやかに「フランスだろうが日本だろうが精油は危ないから飲んではいけない」と伝える人もいるようだが、私はそれには同意できない。
フランスで実務的に経験しているならともかく、全くおかしな「フランスでは・・・」を語る人も結構いるようで、ここらへんで私からも伝えようと思った。
フランスの精油・芳香蒸留水事情
フランスで精油はどこで市販されているかというと主に薬局、エルボリストリやオーガニックショップ、そしてインターネット が挙げられるだろう。実店舗では消費者は多くの場合、自由に手に取ることができる。時々鍵のついているショーケースに入っているお店もある。
市販の精油でも、まずそもそもフランスの中でも飲用に使えるもの、使えないものがある。それは次の場合だ。
・商品として食品ではないないから飲めない
・植物によっては精油で飲んではならない種類は飲めない。飲用として有用ではない場合もある
芳香蒸留水は精油よりマイナーかもしれない。手に入れられる場所は精油とほぼ同じだが、取り扱いは少ないかもしれない。化粧品として製造、販売されているものもある。
これらフランスの精油、芳香蒸留水で食用、補助食品用として使用できるものには「usage alimentaire」「complément alimentaire 」と表示されているから明確に飲用できるものを判断できる。その場合、飲む量の目安や飲み方が記載されている。前述の通り、消費者が手にとって自由に買うことができるものである。本などを参考に買い求める人もいれば、専門家のアドバイスを受けて購入する人もいる。薬局やエルボリストリであればその場で助言を求めることもできるが、全ての薬剤師が精油について詳しいことを説明できるわけではない。
そして雑貨として販売されている精油は、デフューザーなどに使用する目的に限定されるので、もちろんその表示もされている。
日本で時々「メディカルグレード」という言葉を耳にするが、メディカルグレードだったら飲めるわけではないし、、、それが最高品質かというとそうでもないが、品質が一定で安心という点はある。
というよりそんな言葉、フランスでは使われていないし、ちゃんと商品の区分が明確になっているので、好みの域を超えてどこのメーカーがいいだの悪いだの言うのはごく一部のユーザーだ。
調剤薬局で調剤するときに使われる精油は、薬局で棚に並んでいる市販品ではない。調剤してもらったものは、飲むことができる。飲み方も説明してくれる。
ところ変われば
そして日本では・・・に戻る。あくまでも日本で精油のほとんどは雑貨という立ち位置なのはよく知られているが、
・食品添加物として認められているから時々飲用を謳っているものもある。
・芳香蒸留水で食品(飲料)として販売しているものも存在する。
上記のものは、明らかに飲める。
それ以外の場合はあくまで自己責任だが、精油や芳香蒸留水は
①フランス製のもので (他の国のものについては言及できない)
②ABマークが付いていて(オーガニック 農産物に付けられるフランスのオーガニックマーク)
③alimentaire の表示があるもの(日本に輸入されている時点で表示がされていないものもある)
は中身の物質としては飲用可能と言える。
ただし、販売店に 飲めますか?などと問い合わせはしないこと。
必ず飲用はしないように注意が書いてあるし、販売側の答えとしては、食品でないものは飲めないと回答することになる。飲めますかの質問が来る度にかなり迷惑がかかる。
どうしても飲みたい場合は、フランスから取り寄せて上記の条件を確認した方が確実だ。
それから芳香蒸留水は特に劣化が早い。取り扱いや保存方法にも気をつける必要がある。開封する時はすばやく、なるべく外気に晒さないように。そして開封後は冷蔵庫へ。
ややこしい?
ここまで色々書いてしまったが・・・精油、芳香蒸留水は飲めるか飲めないかは商品の表示の通り。
精油、芳香蒸留水は物質として飲めるか飲めないかはある程度判断可能。
ということを、小さい声で伝えようと思う。
もちろん安易に飲用するのを勧めるわけではない。精油が飲めるのか飲めないか気になっている人も、やたらに飲もうとは思っていないと思うが。
私は薬剤師・フランス植物療法士として適正使用のアドバイスと注意事項を伝えている。フランス流の使い方をしたいのだったら、一度相談していただきたいのが本音だ。
精油はスパッと使いこなせばかなり効果が高いのが長所だ。また間違っても長期連用はしないこと。
芳香蒸留水は・・・以前熊本で講演させてもらったときに試飲してもらったのだけれど・・・本音としては飲用に使えるようなものが欲しいと思う。
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