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古民家リフォームの家暮らし、8年が過ぎて、ようやく落ち着くこの頃
昭和中期に建てられた古民家と分類される家を2016年に購入しました。
夏の日差しが、ギラギラ降り注ぐ中を不動産屋さんの車で、初めて内見(実際は内見はしていませんが)しに来ました。下り坂から、一つの家の屋根が日光に照らされて、ビカッと光りました。
私は、きっとあの家で、きっとあの家を買うのだろうと心の中で思いました。
そして、着いたのはその家でした。
古い作りと、増改築がなされた曲がり屋型の家です。小さな谷戸の端っこに、北側が急傾斜面林、南側には谷戸の畑の景色が広がります。20年近く空き家だった家の周りには、植物が自由に鬱蒼としていて、大量の蚊に襲われながら、不動産屋さんと3人で家の周りをぐるぐるまわりました。実際には、まだ売りに出される前の家でした。
動植物や自然環境に詳しい(専門)夫は家の中を見ずにその場で即決してすぐに契約手続きが始まりました。私は何も言葉になりません。でも坂道家が光って見えたので、そうなるものだと思ったということで、言葉を胸に収めます。仮契約の時にもオーナーさんが、「本当に買うのですか?」と素朴に質問が口から出ました。見るからには、多くの方は、きっと買わないであろう状態だっかもしれません。裏庭には一軒全壊している家がありました。そして、本契約のハンコを押す直前には、「そういえば、井戸があったかも」とオーナーさん。突然思い出したのでしょうか。ヒヤヒヤする不動産屋さん(井戸を嫌がる方もいるそうです)嬉しそうな夫。オーナーさんや不動産屋さんの心配はよそに、夫は喜んでおります。後に馬を飼うことになるとは、私も知らず、今では動植物たちのためになくてはならないお井戸様は、その全壊した家の下に埋もれていました。
農地に建っている古い家は、手続きが色々必要でしたが、不動産屋さんが素晴らしくて、色々と難しい手続きを驚くほどのスピードでずんずん進めてくれました。
今でも、彼とはお付き合いがありまして、先日も独立をして、挨拶にいらっしゃてくれました。
さて、契約の手続きを、いろいろ終えて、自分たちの家になりました。
母屋を中心に、東へ西へ、北へ増改築された新しい部分は経年劣化で、リフォームが必要でした。でも初期に作られた母屋は畳も板の間も綺麗にすれば使えそうです。私でも補修したりできました。壁や床など2人で、少しずつ直したり、信頼できる大工さんと出会うことができて、彼らにリフォームをお願いして、なんとも住みやすい家になりました。リフォームが必要だったのは、増築された部分でした。母屋は、雨漏りを少し直した程度で、土壁もまだ残っています。畳の部屋の一部を土間にして、薪ストーブを設置しました。
西側の曲がっている部分は、夫の好みで一つ屋根の下、共に馬が暮らしています。
都内の集合住宅地で、転々と育った私には、まさかの田舎暮らしの始まりでした。
リフォームは、自分が不便だと感じる部分を直せば良いのでとてもいい形になります。これが、ゼロから新築を設計するとなれば、私の性格には合わなそうです。この、家で最も気に入っているのは、南側にあるお風呂です。目の前は畑です。お風呂は明るいし、カビも皆無です。その裏側がリビングです。夏は、部屋の温度がそこまで上がらないので涼しく過ごせます。東向きの窓もあるので冬は朝日で暖まります。現代では多様なライフスタイルがありますが、日中を肉体労働に勤しむ生活スタイルならば、とても理にかなっています。私は、リビングの奥、北側に絵を描くスペースがあります。昔、学校の先生がアトリエは、光量の変化が少ない北側が良いと聞いたことを、ずっと忘れることがありませんでした。絵を描くスペースの隣は、キッチンです。煮物をしながら、絵を描いたりできるのです。夫が庭でたくさんの野菜や果樹を育てているので、煮たり、干したり、焼いたり、漬けたりと季節のお仕事があります。今では、キュウリや大根の2、30本ならすぐに調理します。スーパーで野菜を買っていた頃とは、全くを持って逆の発想です。
増築部分であったこれらのスペースは、形はいじらず一つの空間にしてあるため部屋の一部が何か用のスペースとなっています。
普通の設計では、北側にお風呂やトイレがまとまってしましますが、まさかの南側なのですが、それがとても気に入っています。
でも、自分で設計していたら、そんな風には絶対にならなかったと思います。不思議な形の家は、動植物が大好きな夫と絵を描くのが好きな私たちの生活にとても良く合う形だったのです。
母屋はそのままで、南向きの和室がありますが、日当たりが良くて、冬でも晴れていれは、部屋はポカポカです。
家の形は、そこに住む人の暮らしによって様々だと思います。
内見もせずに購入した、変わった形の家は、私たち夫婦には絶妙な形でした。
よく、ご覧になられた方が、理想的だとおっしゃって頂いたりますが、その方にはその方の暮らしや好み、趣味に合った形の家があるものだと思います。
仕事をしながら、時間を作って作り上げたのです。
10年ぐらいが過ぎそうな最近、ようやく落ち着いて気がします。それで、こんな記事を書く時間まで、作ることができるようになりました。夫は、里山づくりに、庭づくり、畑作りに、小さな果樹園、馬、ヤギ、ニワトリとの暮らしを楽しそうにしております。ありがたいです。今日も一日を終えて、夕飯を無事に頂けることはありがたいです。
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自分の絵もたくさん描こうと思ってワクワクします。描きたいものがたくさんあります。全て描きたいです。
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最後までお読み頂いてありがとうございます。
感謝と祝福を