【お礼】『カワセミカヌレ』によせて
noteを開くと、ベルにぽつりと赤い光が灯っている。誰だろう。そっと触れると、昔のエッセイが読まれている。ありがたいなぁと思いながら、私もその記事を読み返して、「書いていた瞬間の私」を振り返る。ふむふむ、なかなかよく書いているぞ、と思うこともあるけれど、ちょっぴり恥ずかしくなることもまだまだ多い。
最近はしばらくエッセイを書いていないけれど、昨年の5月下旬にnoteを始めて、10月下旬までは毎日記事を書いていた。単純計算でも、私がここに書いた記事は約150本。毎晩毎晩、細々と書き溜めた。ひとつずつは短くても、振り返ってみるとなかなかのボリュームだ。
先日、拝啓あんこぼーろさんがその記事をすべて辿って、物語を紡いでくださった。
朝、飛び起きて読んだ。お話の中に、海を望む丘の上で、大切な人とパン屋を営む「折星かおり」がいた。そのお店は、14歳の女の子にとっての「とびっきりおしゃれで暖かな縁側」になっていた。本当に隅々まで読み込んでくださったことが分かる、ところどころに散りばめられたエッセンス。いつものあんこぼーろさんらしい、可愛らしいオノマトペ。優しく、それでいて確かに感情を揺さぶる瑞々しいセリフ。
そしてその世界観を、うわの空さんが現実のものにしてくださった。
お話の中に出てくる、クロスステッチで作ったカワセミのチャーム。”かおりさん”と14歳の"まみちゃん"と"おばあちゃん"を繋ぐ、とても温かで大切なアイテムなのだ。美しい青とふっくらとしたオレンジ色のおなかが可愛くて、わ、と声が漏れた。
ため息をこぼし、くすくす笑って、ぽろぽろ泣いた。こんなに贅沢なことをしていただいていいんだろうか。文章をここに書いているのに、この感謝を言葉で伝えるにはどうしたらいいのか分からない自分はまだまだだ。
ここに初めて文章を投稿した日、こんなことが起こる日が来るなんて想像もしていなかった。しばらくしたら書くことから離れてしまって、アカウントもいずれ消す。そう思っていたくらいだから、好きなはずの「書く」と「読む」を、私は心の底からは信じていなかったのかもしれない。
それでも今は、私がぽとりと落としたひとしずくの波紋が、静かに広がることを知っている。小さくても、ゆっくりでも、それに気づいてくださる方がいることも。それを教えてくださったのは、同じように「書く」と「読む」が好きな、ここにいるあなただ。
まだお会いしたことのないかたの中に、こんな「折星かおり」がいる。そう思うと、うんうん悩んで書く苦しみも、読み返したときのちょっぴりの恥ずかしさもどこかへ吹き飛んでしまうのだ。
こんなに素敵な「折星かおり」に、もっともっと近づきたい。あわよくば、いや必ず、「書くこと」と「寄り添う」ことで。
泣きたくなるほどに優しいお話を紡いでくださった拝啓あんこぼーろさんと、温かなクロスステッチでカワセミを縫い上げてくださったうわの空さんへ、心からの感謝をこめて。
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