やわらかな恋心【感想文の日㉕】
こんばんは。折星かおりです。
第25回の感想文の日、今夜感想を書かせてくださったのはサブリナさんです。
プロフィールのコメント「模索中。いろんなことを書いてみたい。」という言葉の通り、ご自身のお話や写真にまつわる記事など、さまざまな文章を書かれているサブリナさん。胸をきゅんとさせながら、時にはしゃきっと背筋を伸ばしながら、記事を読ませていただきました。改めて、ご応募くださりありがとうございます!
それでは、ご紹介いたします。
■あの日生まれた恋心の話。(全3編)
10年ほど前、語学留学のために初めて海外を訪れたサブリナさんは、大学のキャンパス内にある寮で暮らしていました。ある日、寮の庭でスラックラインをしていた男性が気になって声をかけたところ、彼は快くそれを体験させてくれます。その後キャンパス内で偶然すれ違って挨拶をしたとき、彼が見せた素敵な仕草にサブリナさんはすっかり魅せられて……。
初めて訪れた海外で出会った、大切なひととの思い出。長い年月が経った今でも色褪せていないその記憶は、読んでいるこちらにも瑞々しく、そして生き生きと伝わってきます。
すっごく緊張しながら聞いて、教えてもらって、なんかもう挙動不審だったんじゃなかろうか。変に思われなかったかな、いや思われたな、なんて思って、ウワーーーってした記憶が、朧げにあるような、ないような…
(『【前編】あの日生まれた恋心の話。』より)
まるで友達の恋愛話を聞いているような、カジュアルな文章が素敵です。「うんうん、それでそれで?」とぐんぐん読み進めながら、こちらまでどきどき。
サブリナさんが当時いたのは海外。気になるひととの会話はただでさえ緊張するうえ、連絡先を聞くのも、告白も英語です。そこでサブリナさんは、「私→彼専用の告白英文」を作ります。
きっと彼を目の前にしたら、組み上げた文章なんて、頭からスルスル抜けてしまうかもしれない。そう思ったけれど、ぶっつけ本番で言うよりも、伝えたい気持ちを正しく届けたいと思った。
(『【中編】あの日打ち明けた恋心の話。』より)
どんな返事がもらえるか、きちんと自分の気持ちは伝わるか。きっと、さまざまな不安や葛藤もあったことと想像します。それでもただ「伝えたい」という気持ちと真っ直ぐに向き合ったサブリナさんは、とても眩しく映りました。
最後、この恋は胸がぎゅっと締め付けられるような切ない結末を迎えます。中編と後編はぜひ、こちらからどうぞ。
■「真っ直ぐ立つ」ということ。
猫背と反り腰を改善するために、夏前から通い始めた整体。「7番目の背骨が正しい位置に入ると、より綺麗に立てるんですよ」。そう言う整体師さんにぐっと背骨を押し込まれたとき、サブリナさんは思っていたよりも胸を張って立たないといけないことに気づいたそう。正しい姿勢が気づかせてくれた大切なことが、まっすぐに綴られています。
正しい姿勢、難しいですよね。壁に頭の後ろと背中をくっつけてみたり、意識してしゃんと背筋を伸ばしてみたり。改めて意識すると、正しい姿勢になると視線が上を向くことに気づいたことがある、という方も多いはず。そのときの清らかな気づきが、このお話ではとても美しく描かれているのです。
前を向きなさい、あなたは大丈夫。
そう言われた気がした。
心が少し、軽くなった秋の日だった。
「真っ直ぐ立つ」ということは、
「気持ちを整える」ってことだ。
「真っ直ぐ立つ」ことは、「気持ちを整える」こと。忙しかったり疲れているときこそ意識していたい大切なことに出会えたようで、きゅっと気が引き締まる思いがしました。
■いてもいなくても一緒は、いなくていい。
Instagramを見ていて流れてきた「こんな彼女はフラれます」という条件のひとつ、「いてもいなくても一緒」にどきりとしたというサブリナさん。自粛前からどこかうまくいかないと感じていた“彼”と話し合う中で、似たような言葉に出会ったこと、それでも「別れたいか分からない」という”彼”に腹が立ったこと。”彼”との会話を振り返りつつ、大きな決断を下すまでの気持ちを綴る恋愛エッセイです。
「大切にしてくれない人から離れる勇気を」。文字にするとたったこれだけだけれど、実際に行うのはとてつもないエネルギーがいることですよね。そこに「好き」という感情があるなら、殊更に。それでも、サブリナさんは優しく温かいお友達にも見守られ、最後にはしっかりと前を向くことが出来たようです。
自分の中で、腑に落とすって大事だ。
ここまで、と線を引けるまで、出来ることをすればいいと思う。
そうして、こりゃダメだと手放すと、ちょっと、楽になる。
辛いけど、楽になる。
一息ついたとき、仕方がなかったんだな、と気づくことが出来る。
私自身の中にもある、憧れのひとやものへの諦めきれない気持ちにそっと手を触れられたようで、はっと息をのみました。納得いくまで足掻いたら、辛くてもきっと、潔く線を引くことが出来るはず。読んでいるこちらもぐっと前を向けるような、爽やかな気持ちになりました。
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