好き、という気持ち【感想文の日㉗】
こんばんは。折星かおりです。
今夜の第27回感想文の日、感想を書かせてくださったのはMinminさんです。
6月にnoteを始められて以来、ほとんど毎日、本当にたくさんの記事を書かれているMinminさん。プロフィール欄や記事で触れられているとおり、「とにかく書くことが好き」ということがひしひしと伝わってきます。記事を拝読しながら、やはり「好き」はとても大きな原動力になるんだよなぁ、と改めて考えました。ご応募くださりありがとうございます!
それでは、ご紹介いたします。
■ささやかですが・・・
募金箱を見たら、そのときお財布の中に入っている一円玉をすべて入れることにしている、というMinminさん。「大きなことはできないけれど、できることだけ」という心がけで始めたこの行動は軽やかな気持ちよさを持って心を満たしていきます。日々の中に隠れている「ちょっといいこと」が光る、素敵なnoteです。
コンビニやスーパーのレジ、街角、会社や学校……。毎日いたるところで募金箱を目にするけれど、実際にちゃりん、とお金を入れるのって、何だか少し勇気がいりますよね。けれどMinminさんはそこに「一円玉を入れる」と決めているのです。
私の入れた1円玉が、必要なものを買うための、最後のひと押しになってくれていたらいいなと思いつつ、スーパーのレジの横の透明の箱な中に、何枚かの1円玉を投入し続けています。
私も子どもの頃、両親に「一円でも足りなかったら、物を買うことが出来ないんだよ」と言われたことが何度かあります。けれど、Minminさんは「一円」を「最後のひと押し」と考えている。とっても素敵な捉え方だと思いました。どこかで誰かが必要としているものを買うための、小さいけれど重要な、それでいて軽やかなひと押し。
きっと、Minminさんがこれまでに入れてきた一円は、記事のトップに選ばれている桜の花びらのように、美しく、繊細に積み重なってきているのだと思います。
■夕方の風。
家にいるのが息苦しくなって外に出た、ある夕方のこと。汗をかいた身体をさらさらと撫でるワンピースの生地、踏むとシャクシャクと音を立てる枯れ葉、どこか懐かしい夕焼け。Minminさんは心ゆくまで「風のある夕方」を楽しみます。心を満たす描写が続く、静かなエネルギーが満ちてくるようなお話です。
この記事を書かれたのは八月。少し日が暮れ始めた頃にさっと吹く、涼しい風を思い浮かべました。昼間はぎらぎらと眩しい日の光を浴びている植物やアスファルトも、夕方になると少ししっとりとするように感じられますよね。
風のある夕方に、またいつか行きたいです。
こちらの締めくくりの一文に、ぐっときました。「夏の夕方」でもただ「夕方」でもなく、「風のある夕方」。こんなにロマンティックな呼び方ができる夏が、ちょっぴり恋しくなりました。
■紡いで、染めて、織り上げて
美しい布を完成させるまでの、途方もない道のり。雪の重みで折れた桜の枝を煮だすと現れた、濃いピンク色。テレビ番組で偶然見かけた美しい仕事や仕組みをきっかけに、Minminさんは「幸せ」についての思いを巡らせます。いつか辿り着きたいところへそっと手を伸ばすような、ちょっぴり切ないエッセイです。
冒頭で紹介される志村ふくみさんの芸術教室や染色のお話に、ほうっとため息が出てしまいました。美しい桜色は、あの花ではなくて雪の重みで折れてしまった木の枝にも秘められていたんですね。
じっとしてる木の中で、蕾や葉っぱや枝になるものを、なんにも言わずに準備している。
外からはわからないけど、どんな木も黙って準備をしてるんだとしたら、
静かに見える森の中は、実はものすごい勢いで準備し続けているたくさんの木の集まりで、聞こえない音や見えない動きに満ちている場所なのかもしれません。
私たちの暮らしを豊かにする「美しさ」は自然の営みの中にあるもの。きらりと文章が光ります。そして、その美しさや力強さは、きっと私たちの中にも。
文章を書く人は桜の木のように、文章になるものを自分の中に準備していて、それを書いて形にしていっているのかもしれません。
記事の後半、Minminさんは芸術教室で染色をするひとたちの表情を「幸せそう」と綴ります。歓びとお金をもらうことはなかなか重ならないこの世界だけれど、いつか。そう思って手を伸ばすことは、誰にでもきっとできるはずです。私もいつも、ちょっぴり頬をピンクに染めて「幸せそうな」顔をしていたいです。
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毎週土曜日の「感想文の日」、感想を書かせてくださる方を募集しています!(1~2日程度、記事の公開日を調整させていただく場合があります。現在、2021年1月9日以降の回を受け付けています)
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