軽やかに追いかけて【感想文の日㉜】
こんばんは。折星かおりです。
第32回感想文の日、今夜感想を書かせてくださったのはこふくさんです。
イラストやアクセサリー、温泉など、ご自身の「好き」を記事でたっぷりと紹介されているこふくさん。記事を拝読するなかで「ハンドメイド作家」というこふくさんの夢のスタートを見せていただけたようで、とっても嬉しくなりました。改めて、ご応募くださりありがとうございます!
それでは、ご紹介いたします。
■さよなら、予定調和の旅人
これまで、これでもかというほど予定を詰め込み、綿密に計画を立て楽しむことが多かったというこふくさんの旅行。社会人になってからは、うまくいかないことが多い仕事の反動から、余計に「すべて意のまま」の旅に熱中していったそうです。しかし、とうとう旅程を考える予定もなくなり、宿と飛行機だけを決めて旅に出ることにして……。
すべて計画通りの旅も、行き当たりばったりの旅も楽しいけれど、「すべて意のまま」の旅には独特の達成感がありますよね。私もぎっちり予定を詰め込んでしまうので、その気持ち、ちょっぴり分かります。
自分はできない奴だった。
今まではわりとうまくいってたはずなのに
自分で動くとやることなすこと
全て的はずれ。
周りのひとはいい人たちばかり。
そんな人たちが段々と笑顔を崩し
隠し抜けない、
苛ついた一瞬を私に向けることが増え
泣きたい夜も増えていった。
うまくいかない仕事に、ぐんぐんと無くなってしまう心の余裕。旅の計画を立てるのは趣味だったはずなのに、それすらも出来なくなってしまったところでは、胸がぎゅっと締め付けられました。
バスが来なくて特急列車に乗らなければならなくなったり、芋焼酎をほんの少し味わうつもりが、がっつり定食を食べることになったり。予定を立てずに飛び出した旅は、ハプニングの連続だったそう。けれどそれが「ガイドブックにはない、こふくさんだけの旅」。うまくいかないことはあっても、だからこそ見つかったささいな幸せを綴る言葉に、必ずまた来る「旅に出られる日」がとっても待ち遠しくなりました。
■きっとよくなるさ
どちらも未来の可能性を語るときに使われる「きっと」と「たぶん」。ものごとが起こる可能性が高いのは「たぶん」だけれど、「きっと」のほうがポジティブな言葉が後に続きます。短い作品でありながら、読んでいるとぐっと気持ちが上を向く、力強いnoteです。
きっと晴れる。
きっと大丈夫。
きっとよくなるさ。
こうして並ぶと、まるで風がさあっと吹き込むような爽やかさが溢れてくるようです。「たぶん」と「きっと」、同じ状況で使える言葉だけれど、確かに「きっと」の方が、私たちの言葉を前向きな方へ導いてくれるのかもしれません。
ひらがなでたった三文字。それでも、その三文字が変えられるものがあるのです。そう思うと、書くことも、言葉も、やっぱり面白くて奥深いなぁとしみじみ思います。
■「キレイ」と「おしゃれ」
部屋に来た人に言われた言葉で一番嬉しかったのは「おしゃれだね」でも「新しいね」でもなく「キレイだね」だった、というこふくさん。センスや技術からなる「おしゃれ」を磨くことも素晴らしいけれど、幾重にも重なる努力からなる「キレイ」を認められるのは嬉しいこと。丁寧な生活を送りたくなる、素敵なエッセイです。
今回拝読した中で、個人的に一番ぐっときた作品でした。「おしゃれ」より成果が出づらく、時にはぐっとこらえることも必要な「キレイ」。
「おしゃれ」はセンス、技術だと思う。
それを磨くことも素晴らしいことだけど、
「キレイ」のほうが幾重もの努力で
支えられていると思っている。
「キレイ」はマイナスをゼロにする営みで
「おしゃれ」はゼロをプラスにする営み。
仕事で疲れたときや、今日は良いかなと思ってしまう日。けれどもう少しだけ、自分の豊かな生活のために頑張ってみたい日。そんなときにきっと、この言葉を思い出すのだろうなと思います。
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