いじめっ子
小学4年生になったころ、祖父と父の事業が傾き始めた。
母は内職をし、食事も質素になり小説も漫画も買ってもらえなくなった。
私は学校の廃品回収のとき、先生に許可を得て何冊も小説を持って帰ったりした。
学校ではその鬱憤を晴らすかのように、クラスメイトに嫌がらせをしていた。
秋に運動会があり、私たちの学校は4年生から6年生までスクールバンドで演奏を披露することになっていた。
楽器の割り振りが先生から発表される。この発表がとんでもない一大イベントなのだ。
そのバンドは各学年から1名、指揮者が選ばれることになっていた。1度選ばれたら、6年生まで任期を全うしなければならない。
他の子たちが白のブラウスに紺のスカートという中、指揮者は真っ赤な羽のついた帽子、装飾が煌びやかなベスト、白のプリーツスカートという衣装。4年生の女の子たちにとって憧れだった。
誰もがツートップのどちらかだろうと予想していた。
しかし、先生が選んだのは、なんと私だった。
一斉に向けられる嫉妬の目、目、目……
せっかくいじめられなくなったのに…その日からまた
いじめられっ子に逆戻りした。
5年生と6年生の指揮者の先輩たちは、才色兼備という言葉がピッタリで元気のない私を励ましてくれた。
それがまた、いじめに拍車をかけた。
両親は私が指揮者になったことを、心の底から喜んでいた。いじめられてるなんて言えなかった。
卒業まで、そのいじめは続いた。
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