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Netflix「地面師たち」

一般的な会社より夏休みが長めな我が会社。いろいろあって遠出ができないのもあり、つい映画やドラマをのんびり観ることが多くなってしまう。
今年はなぜか、ダークな作品が続いた。……と言うと他人事のようだが作品を選ぶのは子どもたちなので、お付き合いでみるうちに引き込まれているパターン。
地面師とは土地の取引にかかわる詐欺グループのことらしいけど、事件の大小はともかくこの手のグループはあるのだろうと推測する。物件を見つけてくる役、騙す相手を信用させるようカタギの行政書士やら弁護士を装う役、土地オーナーの替え玉になる気の毒な人をキャスティングする役……どれもそれらしい役回りで、まるで小さなビジネスを回しているような感覚。
知り合いにいくつものビジネスを次々と立ち上げているひとがいるのだけど、ふと彼のことを思い出した。いつもセンサーを張り巡らしてどこにビジネスの種が落ちているか探している。見つけたら確実に拾う。どうやったら最速で大きくして自分の利益になるか考える。私とはまるで違うタイプの人間だと思わされる。
そう言えば、私の部下の娘さんたちも起業家気質らしい。まだ20代前半で果敢にチャレンジしている。ぜひ頑張ってほしい。

地面師たちのビジネスがヤバいのは、当たり前だがそれが犯罪であるということ。詐欺そのものはもちろん、かかわった人間を用済みとなった端から殺していく。仲間でさえ。
ドラマで豊川悦司演じるハリソンが殺していく、殺しを命じる様子はまるで快楽殺人で、観ながら思わず眉をひそめてしまう。そういう意味では胸くそ作品であると言える。

それでも最後まで観てしまったこの作品の魅力はなんだろうと考えると、騙される側にも落ち度というか脇の甘さがあり、ありと言うより甘々なのだけど、どこか他人事のように高いところから「あーこんなのに騙されるバカな人たちもいるんだね」と思いながら観る怖いもの見たさのようなものでは、というところにたどり着いた。
と同時に、いつ自分が巻き込まれるか分からないじゃないか、とも思う。何かのはずみに負ってしまった借金のために土地オーナーに扮して詐欺の片棒担がされ、次の日には殺されてしまうなんて、考えただけでぞっとしない。背筋がすーっと寒くなる。

夏休みに観たことでもあるし、これは寒気を楽しむ夏の怪談の類なのかもね。

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