マタニティワンピなんていらないと思ってた
マタニティウェアはできるだけ買わずに済ませたいと思っていた。期間限定なわけだからコスパも悪いし、なにより日本のマタニティウェアのデザインがひどすぎる。なんというか母性と貞淑を押し付けられて家庭に閉じ込められる囚人服のような(好きな人ゴメンナサイ)イメージであった。
私とは違って保守的な考えの母と買い物に行ったとき、すすめられるがままにとりあえずおなかをすっぽりおおう形のマタニティパンツを1つ買った。それを履いた自分を鏡で見て「これって女を捨てているのでは・・・?」という問いが浮かび、それ以来はいてない。これをきっかけに私のマタニティウェアへの不信は増幅され、「できるだけ買わずに済まそう」と思い、新規購入品としてはマタニティズボン2着のみを買って7ヶ月の今までここまでなんとかやってきた。
でも、ある日メルカリを見ていたら800円でかわいいワンピを見つけた。色も柄もまあまあ好きな感じだったので注文したら、丈も長いしゆったりしているし、もうホントどこから見ても妊婦または貫禄おっかさんって感じのシルエットで、普段体にピッタリしたものを好んで着る私にはやっぱり全然好みじゃなかった。
でもこれを着て電車に乗って出かけたときに、なんとなく感じたのは、マタニティワンピを着ていると、周囲から妊婦だと認識されやすくなる、ということだった。
そうすると他人にとっては、妊婦にちょっとした親切をしやすくなる。例えば、席を譲ってあげようかなと思ったときに、私に声をかけやすい。「声かけたいけどこの人もし妊婦じゃなかったら失礼だよなどうしよう」みたいな迷いがなくなるから。
つくづく思うのは、日本人は、見知らぬ人に声をかけたり話したりするのがすっごい苦手な人たちだから、自分から助けてもらいやすい格好をして歩くというのは、とても理にかなっていることだと思った。
日本の人(特に女性かな)は公共の場で親切されたときに断る人が以外と多いのではないかと思っている。席をゆずったり、重い荷物を持ってあげようかと声掛けして、断る人。あれはひどい。親切した人に恥をかかせているようなものだと思う。たとえ困ってなくてもその人の申し出を快く受け取るべきだと思う。なぜなのかは分からない、警戒しているからか、借りを作りたくないからか?
マタニティマークだって、電車で席を譲ってあげた人がその日1日気持ちよくなれるようなシステムにしないと、普及しないと思う。そしてそれはどういうシステムかというと譲られた人に感謝されることなんだけど、この感謝の表現が下手な(コミュ障?)人がとても多いのではと思う。
マタニティワンピースで出歩くことは、いざというときにヘルプしてもらいやすいし、相手も助けやすいという点で私にとっても周囲にとってもよい道具なのかなという印象を持った。
デザインはやっぱり気に食わないんだけどね。