詩〈過去作〉赤に付される
高校時代の遺作vol.5
赤に付される
おてほんをなぞったような文字で
教科書のような文章で
赤に付されて帰ってきたことばたち
「これが私だと胸張って言えるならそれでいいんじゃない?」
これが私だと胸を張って言えるものを
いつの時代の私も持ち合わせてはいない
みみずの這ったような文字で
取っ散らかった文法で
ひとつひとつ蠢いていた
これが私だなんて言いたくはなかった
赤の侵食を指先で食い止め
這わせたみみずを反芻し
何も刻まれなくなった思考に時限爆弾を仕掛ける
消えない赤に脅されています
午後三時五十四分、原稿用紙は
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