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詩〈過去作〉白い声

高校時代の遺作vol.6


白い声



どこまでいっても平行線
几帳面な猫のひっかき傷を
見えないふりを貫いている

声を発さない術を身に着けてしまったから
私は君の沈黙を上書きできない

正月に一緒に見た太陽はどこまでも水平線を照らしていたけれど
君の平行線は一度も照らされることはなかった

「どんな君でも君だよ」と
ドラマのヒーローは言っていたけれど
私はヒーローになんてなる気はないし
君をヒロインにさせる気もない

どんな言葉も沈黙に勝るものはない
言葉は力を持ちすぎる
強すぎる光は一瞬にして身体を破壊する
治癒力を誰も君に与えてはいない
残りのHPなんて誰が見ても明らかなほど

誰しもの背後で静かに崩れ落ちるその瞬間
少しだけ小さな吐息を聞いたような
声になりそこなった息が
そこに


       浮かんでいた




その白い字をそっと撫でることができたなら
あなたをもっと知れたのでしょうか

色褪せても枯れない花になりたい


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