【創作小説】まわれ!今川やきくん!中国の巻⑺
ビューン!ビューン!
バサ! バササ。バササ。
中国の とある動物園から 風に飛ばされ 町外れの倉庫へやって来た 今川ダンボと ダンボペー。
「ダンボ耳が 目に 張りついて前が見えなかったぜーーーー! ん? っと、ここはどこだ? なんかの倉庫みた…い…おやおや?なんだ?あれは…」
「ぺ? ぺぺ!ぺ?」
ガランとした だだっ広い倉庫の奥に 何かが山積みされてる模様。
「んむむ…ったくよぉ…。オレたちも とうとう ここへ連れて来られたか!」
「ふむむ…だよなぁ!月餅として、ここに来るってことは もう必要がないってことだもんな…」
「んん?んん!? ダンボペーよ。聞いたか?あの奥にいる お山たち、『月餅!』って言ったぞ!」
「ぺ!」
「あれが、月餅か…。ん? んふ? ふ、ふははは!ぬぁんと!ぬぁんと!オレ様から月餅を探しに行くまでもなかったとはな!願ったり叶ったりじゃないか!」
オレ様? 今川ダンボ 何をいばってるんだ?
飛ばされて来たくせに。ぷ。
「はぁ〜ん…? 月餅って…ああいう形をしてるのか?パンダさんじゃないみたいだな…。オレ様とちょっと似てるじゃないか…。で、で、でもでも…あっちのが…ガッチリこわもて(強面)で強そうに見えるな…」
「ぺ…」
今川ダンボ、すでに 怖気(おじけ)づいたか?
「うんにゃ!! 強さじゃない! “ 旨(うま)い味!” で勝負なんだ! だが、しかし…あの月餅たち、なんだか悲しそうな…」
「ぺぇ…」
「もうちょい 様子をうかがうとするか…」
ダンボ耳を着けて 倉庫の入り口からまた盗み聞き。
「オレたち月餅は、去年より、もっと うず高く山積みされてるみたいだな…」
「ああ。そのようだな…」
「昔は 中国の伝統菓子で、無くてはならないお菓子だったのにな」
「いや、伝統菓子なのは 今でも変わらないさ。中国のお月見の期間は 必ずお供えされるしな」
「そうか…。じゃ…何で ここに連れて来られた?」
「中国の伝統菓子からステータス菓子に変わってしまったからだ」
「ステータス?」
「そう。社会的地位ってやつだ」
「ダンボペーよ。聞いたか? ステータス…社会的地位…だってよ」
「ぺぺ」
「何だ?それは…。旨い味のステーキのことか? それなら オレ様は いきなりステー○を 食べてみたいんだがな! ガハハ!のハ!」
「ぺ!」
ステータスをステーキに変えた 今川ダンボのシナプス。
カメハメハ!じゃないんだから。
ここはごまかし笑いで 次へ進めよう…。
続く