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ラムシュタインの1st「Herzeleid」25周年

のっけからインパクト大の画像ですみません。でも、こういうバンドなんです。

・まずラムシュタインを軽くおさらい

ドイツが誇る世界的バンドラムシュタイン。ジャンルで言えばインダストリアルがかったメタル・ロックとなるのでしょうが彼らはそんなカテゴライズにはまらない唯一無二の存在。

クセが強すぎる巻き舌ドイツ語、煽情的なビート、オペラのような荘厳さ。

ライヴでは火炎放射機から爆炎があがり、ペ○スを模したでっかい筒から真っ白い「アレ」みたいな泡をまき散らしながら「俺のイチモツ!」と叫び、キーボディストがヴォーカルに釜でグツグツ煮られながら食人サイコキラーの曲が奏でられるー。

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かつてはネオナチの疑いをかけられたこともあればPVが過激すぎてポルノサイトでしか配信できなかったことも。

これだけ聞くとキワモノカルトバンドのようですが全くそんなことはなくバンドは世界的人気。本国ドイツでは2nd以降全てのオリジナルアルバムで1位獲得。オーストラリアやヨーロッパの国々でも何度も1位に輝いています。ツアーが発表されればすぐソールドアウトになるくらい。それは彼らが単なるイロモノではなく明確なメッセージと高い音楽性をもった真のアーティスト集団だからです。

デビュー以来一度のメンバーチェンジもない固い結束があり、かと言って惰性で新作を出すことは一切なく、毎回メンバーが衝突し悩みぬいて難産で作品を作りあげるだけに特に近年はリリーススピードが落ちていましたが、昨年10年ぶりにニューアルバムを出し、本国を含む9か国で1位を獲得。アメリカでも過去最高となる9位を獲得したことでも話題になりました。

・1995年という時代とラムシュタインデビュー作「Herzeleid」

そんなラムシュタインがデビューしたのは1995年。アルバム「Herzeleid」でした。

▼しかしすごいジャケだ、、匂いたつ漢気、、

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まず90年代前半から中盤といえばアメリカのメタル・ヘヴィロック界はどうだったか見てみると、今現在の大物たちもまだデビュー間もないか、デビューすらしていない頃。

・バンド名(デビュー年)

Rage Against the Machine(92年)

KoЯn(94年)

マシーン・ヘッド(94年)

デフトーンズ(95年)

ラムシュタイン(95年)

リンプ・ビズキット(97年)

スリップノット(99年)

また、ニルヴァーナのカートが自殺したのが94年5月でした。

つまり90年代中盤というのはグランジ・オルタナブームが終焉を迎え、その後10年以上メインストリームを席捲することになるニューメタルやヘヴィロックが台頭し始めた時代だったのです。

ちなみに・・・

イギリスの大物たちの90年代は非常に厳しい「冬の時代」でした。

ジューダスプリーストはロブ不在期。アイアンメイデンもブルース不在期。ブラックサバスは解散中。オジー単体はソロ活動やオズフェスト主催で気をはいてましたが。

あとメタリカは「Load」(96年)の時期です(笑)

さて、ラムシュタインのデビュー作「Herzeleid」です。

このデビュー作が本当に衝撃的でした。

アメリカのバンドが基本的に後ノリ(ズンズンチャッ)なのに対して、1拍目にインパクトをのせる前ノリビート(ドンツクドンツク)がまず新鮮。大別すればダンスビートになるのでしょうがそれが人力のバンドサウンドで鳴らされる事による突進感、高揚感がすごかった。

1曲目からして自らのバンド名である「RAMMSTEIN」を連呼。11曲目はタイトルがまんま「RAMMSTEIN」。デビューアルバムで自身の名前を入れているのはブラックサバスとソウルフライ、X JAPAN、あ あとBABYMETALくらいじゃないでしょうか(筆者のいい加減な記憶調べ)。この辺りに彼らが当初から自分たちの存在に自覚的であったこと、「RAMMSTEIN」というコンセプトに基づいて活動していくことを念頭に置いていたことが分かります。この後の作品群でも彼らは「ラム○○」という楽曲をリリースしていますがそれも当初から一貫していたんですね。

音楽性の方はインダストリアルをベースとしたヘヴィロック。鋭角なリフと前述の前ノリビートを反復することにより生まれるマシーナリーさ。さらにそこにヴォーカルのティルによる冷徹なドイツ語のバリトンヴォーカルがのっかり、味付けとしてフラケのキーボードが差し込まれる。

基本的には現在に至るまで変わらない黄金律はデビュー作の時点で既に完成されています。

改めて気づかされたのが、ティルってこのデビュー作から現在に至るまでスクリームって全くしてないんですよね。しっぶい低音や朗々とメロディを歌い上げる事はあっても。

それで聴き手を興奮させるエクストリームさを生み出しているのはものすごい才能だなと思いました。

個人的にお気に入りは

④Asche zu Asche

⑤Seemann

⑥Du riechst so gut

⑨Herzeleid

あたりですかね。

アメリカでチャートインするのは次作「Sehnsucht」からとなりますがそれもこのデビュー作で大きな爪痕を残したからこそ。

大きな爪痕を残せた要因の1つが、収録曲の「Rammstein」と「Heirate mich」がデヴィッド・リンチ監督の映画「ロスト・ハイウェイ」(97年)のサントラに起用されたことにあります。

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このサントラにはデビット・ボウイやナイン・インチ・ネイルズ、マリリン・マンソン、スマッシング・パンプキンズなど錚々たるメンツが参加。そこにデビュー間もないラムシュタインも起用されたのです。

楽曲「Rammstein」の映画仕様のPVもかっこよかったですね。

このあとラムシュタインはKoЯn主催のファミリー・バリューズツアーに参加するなどしてアメリカ市場にぐんぐん食い込んでいって現在の世界規模での活躍に踏み出していきます。

・25周年盤「Herzeleid - XXV Anniversary Edition」

▼アニバーサリー盤のジャケ。うん。少し上品になっ、、てない!

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そして今回12月4日に発売されるのが25周年記念の限定リマスター盤『Herzeleid - XXV Anniversary Edition』。

リリース形態は

リマスターCD(デジパック)、リマスターLP、高音質デジタル配信。

なお、リニューアル版のジャケもオリジナルのアートワークを手掛けたのと

同じデザイナーが手掛けています。

個人的にはアニバーサリー盤には当時の未発表曲やデモとか付けて欲しいですけどね~。

次作の「Sehnsucht」(97年)も2022年に25周年を迎えるのでそれにも期待したいです。

 
近年はベストアルバムやボックスセット、ライヴ映像作品などのリリースが多かった彼らですが昨年完全新作のアルバムを発表しまた動き始めました。

改めてデビュー作を聴きなおしRAMMSTEINの「次の10年」に思いを馳せてみようと思います。

ではまた!


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