失わないために頑張るな! 〜玩具は遊ぶ為に有る〜
僕達はいつも都合が良い。
便利な世の中に生まれたせいなのか
希望に満ちた言葉が溢れるせいなのか
この場所に『戻って来られる』
ことを前提にしがちだ。
進んだ先もきっと安全だと思い込んでいる
もしくは、どうにかなると思い過ぎている
積み上げたものは、一瞬で壊せる
壊したものは、元に戻せない
こんな当たり前のことを
僕達はふと、忘れてしまう。
物事には可逆と不可逆があるが
大概のモノは不可逆だ。
さっき、僕の腕に何かゴミのようなものがあって
「もしかして、蚊かな?」と思った。
でも確信はなくて、公衆の中で己が腕をパチンと叩くことを、2秒ほど躊躇った。
僕は腕をぽりぽりと掻きながら、事故に遭うときもこんな感じなのだろうなと想像していた。だが同時に、事が起こる前に痛みを知るのは不可能なのだと実感していた。
地震が起きなければ備えない
怒られなければやらない
食べなければ美味しくない
そんなの当たり前で、
これを愚かと論ずるのは愚かだ。
そもそも時間は不可逆なのだから
結果論でドヤ顔されてはたまらない。
奢れる者久しからず
僕達は小さい頃から知ってたハズだ
オモチャが壊れる悲しみを
ゴメンで済まない過ちを
命が亡くなる理不尽を
僕は蚊を殺さなかったことを後悔しながら
命の儚さを憂いている
そんなものだろうと思う
失うことは簡単で
理由はきっと 理不尽なものだ
不可逆で 不可避なものだ
だから、僕達が大切にすべきことは
失わないようにすることではない。
僕達はいつも都合が良い。
それで良いのだと思う。
最後には失ってしまうのだから。
僕達は小さい頃から知ってたハズだ。
そのオモチャをどうするか?
そんなの、決まってる。
この春の夜の夢が覚める
その前に
あらん限りの歓びを
世界を、遊び尽くしてやるんだ!
( 厂ω )厂うぇーい