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ごちそうさま→じゃあ、明日のご飯は何にする? 〜食の英才教育〜
ウチはそれほど裕福という訳では無いけれど、エンゲル係数(支出のうち食費が占める割合)だけはヤケに高い家庭だった。
夕食には肉料理と肉料理と魚料理が並び(野菜はあまり見た記憶が無い)、今日はしゃぶしゃぶだからオカズが無いな、とか言い出す家庭だ。
…父のオカズの概念は最後まで分からなかったな。
これがお祝いとか客人のおもてなしともなると、食べ物がテーブルに乗り切らないくらいに並ぶ。皿の上に傾いた皿が乗る。満漢全席の如き布陣の『予備』として、念の為冷蔵庫には鰻と餅が入っていて、念の為冷凍庫にはポテトフライとピザと餃子が入っていて、念の為炊飯器には赤飯が炊かれているが、そもそも卓上の大量の寿司が消化しきれないので赤飯は次の日の朝ごはんに回される。
会場が居酒屋であればテーブルに乗り切らないくらい頼むよう教育され、世間知らずの僕は大学時代に周囲をドン引きさせていた。
で、コンセントの抜き忘れとか電気の消し忘れはめちゃくちゃ怒られる。ウチにはお金が無いんだぞ!と。
…いや、まず料理の品数を減らせよと。
そんな、食べることにしか興味のない家庭では、夕食の「ごちそうさま」の後、デザートに煎餅を食べながら、「明日の朝食は何にする?」という質問が飛んでくる。
…いや、今まだ考えられないぞと。
こんな調子で、我が家の会話は『食』を中心に回っている。幼少期からの食の英才教育を受けてきた僕。ウチにあった数少ないマンガ本「美味しんぼ」を30回くらい読んでいた僕。自由なテーマでエッセイを書いているハズなのに、食の話題がめちゃくちゃ多いのは、まぁ、当たり前なのかもしれないなあ…
そんな訳で、食に関する記事を、マガジンにまとめてみました。人生観、価値観、倫理観。楽しいこと、悲しいこと。何を語ろうとしても、なぜか食べ物の話になってしまう。
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食べることは、生きること。
僕にとってこのセリフは
生命維持の意味ではない。
食が人生そのものなんだ。
…それっぽく言ってみたけれど
いや、全然カッコよくないな。笑
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