「先」に進むための遺伝カウンセリング
※本記事は、2016年の頃のことです。
2010年(1回目)、2010年(2回目)、2015年死産、2016年まで、一人出産できたものの、流産3回・死産1回をしてきた私。
1回目の双子流産以外、胎児染色体検査をしていますが、全て正常な男児、でした。
その結果をシンプルに考えると、私は男の子を流産する何かがあるのかもしれない。そう思うようになってきました。
そんな気持ちを心の片隅に感じながら、流産報告(アスピリン服用中)を杉ウィメンズクリニックの杉先生へ報告すると、「やっぱり男児は流産するのかも」と先生からも気になる一言が・・・。
やっぱりそうだよね。
これで、遺伝子カウンセリング、もしくは夫婦染色体検査を受けよう、と決意しました。
ただ、夫婦染色体検査となると、当然のことながら夫の了承がいる(かなりハードルが高い)、娘や家族への影響も大きく踏み切れず、とりあえず遺伝カウンセリングを受けてみることにしました。
1.遺伝カウンセリングを大学病院で受ける
遺伝カウンセリングでは、この2つが相談事項でした。
遺伝について知る、というのは、全ての血縁者に関係する、倫理的な問題にもつながる、非常にセンシティブなものです。と、まず最初に説明を受けました。
専門医と私の1対1。
静かな部屋でのカウンセリングでした。
私と夫の家族構成、3親等くらいまでの情報、死因、病歴などを聞かれ、先生は家系図を書かれていました。
(正直、死因・病歴はわからないことがほとんど・・・)
そして、これまでの胎児染色体検査結果を持参し、見てもらいました。
結果としては、
①は過去に同じようなケースは見たことはあるが、はっきりとした原因はわからず、私の場合も含め、
「遺伝子に何らかの異常がある『可能性』はあると思う」とのこと。
しかしながら、それは誰もが持っている数多くの遺伝子情報と変わらず、健康な人でも探せば何かしら出てくるもので、それだけまだ未知の領域が遺伝子の世界であるとのこと。
遺伝子レベルの異常を探る方法として、研究レベルならばやっている機関はある。
私の場合、胎児の検体があれば、まずはそこから情報を探っていくことになると思う、とのことでした。
胎児の検体は既になかったし、遺伝子レベルを調べるということは、相当な覚悟と労力がいることを思うと、そこまで調べることは考えられませんでした。
先生としては、1回目の双子の流産時の胎児染色体検査をしてない以上、「本当に男の子がダメなのかは分からず、たまたまかもしれない」という表現もありました。(さすがに偶然とは思えないけど…。)
②については、染色体異常が考えられる病気を持つ人は家系にはおらず、何か異常があったとしても今回は劣性遺伝であろうということ。
だから子供も同じような状態かどうかについては、可能性としては低いのではないか、ということでした。これはとても安心することでした。
これまでの息子達の胎児染色体結果を見る限り、夫婦染色体検査をしても、ダウン症等の本数異常や転座といった構造異常は出ない可能性が高そうとのこと。
遺伝カウンセリングの結果は、「異常があります」というわけではなく「異常がある可能性はある」という表現で、有益な情報は得られず、あいまいな結果に終わってしまいました。
2.先に進むために
先に進む。
途方も無い道に放り出され、出口のないトンネルに居続ける私。
その「先」には何があるのだろうか。
子を産むために、もう一度がんばる「先」かもしれない。
子供を諦められるための「先」かもしれない。
何度も書いていますが、夫からは何度も「もう諦めてくれ」と言われていました。
ただ、もしも、もう一度妊娠の機会に恵まれるのであれば、絶対に後悔したくない、調べられることは調べておきたい。
終わるにしても、納得して終わりたい。
自分を動かしているのは、その気持ちだけでした。
2015年の死産後、すぐに不育症の追加検査を受け、異常はなく「原因不明不育症」と診断された私ですが、あの時はあくまで「追加検査のみ」でした。(1回目の不育検査、2回目の追加検査)
4回目の妊娠は31週の死産でしたが、週数に対して成長が遅かったので、1回目の検査以降、体質が変わり、実は血流関係に問題が出ているのではないか?と再度、全ての不育症検査をするかどうか迷っていました。
もしくは、不育症検査にあまり意味がないのであれば、やっぱり夫婦染色体検査しかないのではないか。
ということで、杉先生へ質問してみました。
・夫婦染色体検査+不育症検査のやり直し
・不育症検査やり直しのみ
・夫婦染色体検査のみ
・何も受けず、妊娠したら前回同様アスピリン
先生からは、
・不育症検査やり直しは、あまり意味は無いかもしれない。
・夫婦染色体検査を受け、異常がなければ、原因不明不育症でアスピリン無効、ヘパリンステップアップの選択肢が出るかもしれない。
ということで、答えは出ました。
子を持てるかわからない、でもやるだけやって、納得できるまで。
後悔しないように。
そう心に決め、夫婦染色体検査を受けるべく、夫の説得に入りました。
というか、ここまでしないとステップアップできないのか・・・。
という原因不明不育症の闇というか沼というか・・・。
治療が一足飛びにできないのは頭では分かっていますが、可能性にかけ、流死産する。
その度に命を亡くすというのは、本当辛すぎることです。
患者の気持ちとしては、どうして最初から高度治療を受けられないのか、本当に本当に苦しかったです。
次回は、夫婦染色体検査について書こうと思います。
****Kao****