ママのこと②異変

ある日私達のリビングの方へ来て、
「ああ〜、こっちは明るくていいなぁ。子供たちもいるし、楽しそう。」
と言ったママ。
「向こうは大人だけでシーンとしちゃって本当につまらない。」
そんなことを言うので
「こっちにいたければいればいいじゃん」
と返したけど、そういうわけにもいかん。と帰っていった。
同じ屋根の下にいるのに生活が変わって孤独を感じているようだった。
今思えば晩御飯くらい今までのようにみんなで囲めばよかった。

そして秋頃、ママに異変が起きた。
瞼がすごく腫れたのだ。なんだろう？ものもらいかな？と眼科で目薬をもらっていた。

そして10月頃だったと思う。
母の妹の娘さん（私の従兄弟）が軽井沢で結婚式を挙げた。
前々からママとパパは出席予定で楽しみにしていた。私の末妹も子供を連れていった。私は子供達の学校もあったし行けなかった。
コロナ禍で旅行に行けてなかったママの最後の遠出となった。旅行が大好きだったのだ。バスツアーや海外旅行もよく行っていた。
お土産もたくさん買ってきたし、ワインも飲んだよと楽しげだった。

それからしばらくして、祖母がまた施設に戻りたいと言い出した。
祖母もそれまで一人暮らしだったわけだし、施設といってもグループホームのようなところだったので割と自由にやっていたのだ。
ママもその頃にはだいぶ祖母に手を焼いていたので、私はあぁよかった。と思った。

幸い元いた施設に空きがあったので祖母はまた同じ場所へ帰っていった。

そして11月始め、娘の5才の誕生日。ケーキは毎年ママが買ってくれた。みんなで食べよう。と言うと、パパとママで二人で一切れで良いと言った。
夕食後だしお腹が空いてないのかな？と思った。

後からパパに聞いた話だと実は夏頃から食欲がないと言っていた。
パパは引っ越しや祖母のお世話でストレスでかと思っていたそうだ。