![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129670867/rectangle_large_type_2_f375350d6ab62cb3fca105f5b92c3511.png?width=1200)
Photo by
wakakusa_se27
ツノがある東館【毎週ショートショートnote】
「ツノなんか無いじゃねーか!」
東館の廊下で、ぼくは叫んだ。
この高校には学生寮が4つあり、東館、西館、南館、北館と呼ばれている。
新入生歓迎会で先輩に訊かれた。
「きみは何館なの?」
「東館です」
そう答えたら、彼はニヤリと笑った。
「ツノがあるんだよ」
他の先輩たちも口々に言った。
「そうそう、ツノがあるよね」
「でも怖くないから大丈夫」
怖くないと言われても、実は怖がりのぼくは、こっそり東館を廻ってツノを探した。
立入禁止の倉庫も覗いた。
外壁も見たし、シャチホコやシーサーや鬼瓦かもと思って屋根も見た。
でも、無い!
先輩にからかわれたのか?
ぼくの大声を聞いて、何人かがロビーに駆けてきた。
「どうした?」
「東館にツノがあるって言われたのに、無いじゃないですか!」
「ひがしかん、じゃなくて」
皆が、一番最後に駆けてきた大柄な男性を見た。
「寮長の東館(ひがしだて)さんだ」
寮長の髪は極端に癖が強く、まるでツノのようにぴんと左右に立っていた。
(408字)
=====
魔法使いサリーのパパの髪型をイメージしました。
![](https://assets.st-note.com/img/1706939900823-ccdc76pWJz.jpg)
=====
毎週ショートショートnoteに参加しました。
=====
【今日の写真】みんなのフォトギャラリーから。
「洋館」で検索。
「館」というと「洋館」を連想してしまいます。
冒頭で主人公が叫んでいたのは、こんな感じの廊下かもしれません。